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公民科教育法Ⅱ・模擬授業③(2010)

昨日、公民科教育法Ⅱの模擬授業三回目を実施しました。
今回のテーマは「食料自給率」。

授業では、まず「食料自給率とは何か」「日本の食料自給率はどのくらいか」「日本の食料自給率は他の先進国と比べてどの程度なのか」を問い、その後で、MQとして「なぜ食料自給率を上げる必要があるのか」を提示します。展開Ⅰでは、Qとして「なぜこんなに食料自給率が低いのか」をたて、食生活の変化、安価な輸入食品に頼っていることなどを新聞記事などから読み取らせ、展開Ⅱでは、Qとして「食料自給率が低いと、どのような問題が生じるのか」をたて、食料輸入は相手国の供給力に左右されやすいこと、需要増加と食料価格が世界的に高騰する傾向にあること、環境に悪影響が出ているということ、をやはり新聞記事やグラフ、書籍からの引用文献から読み取らせていきます。そして、終結では、MQを再び提示し、「なぜ食料自給率を上げる必要があるのか」を問い、子どもたちに学習したことを振り返らせました。

授業の批評会では、学生から以下のような意見がなど出されました。
■展開ⅡのQに対応する回答として「自国農業の衰退」が指導案上では示されているが、なぜ授業では触れなかったのか
■導入で示されるMQ「なぜ食料自給率を上げる必要があるのか」が唐突すぎる。
■提示された資料のうち、「世界の農産物価格推移の予測」はそれだけではなく、日本がどれだけどの農作物を輸入しているのかを示す資料があった方が良かったのではないか。
■新聞記事だけでなく、「穀物の国際価格の推移」のグラフや「エビとマングローブ林」など様々な資料が提示されて、Qの回答を考察できるようになっており、資料の提示において工夫がなされていたこと。一方で、1時間の授業で資料を読み取ることが多く「一人学習」になる傾向があったこと。
■「マクドナルドの工夫」(マクドナルドは原材料のコストを下げるために、パンはカナダの小麦、じゃがいもはアメリカのものといったように、原料を各国のマクドナルドで共同して仕入れていること)は資料として面白いが、食料自給率が低くなった原因(輸入食品に頼る傾向がある)を説明する上で十分な資料とはいえないのではないか

他には、ワークシートの改善案など、が提示されました。

私からは、展開Ⅱの回答は重要度で違いがあるのではないか(並列的に扱えないのではないか)、「自国農業の衰退」は重要度が高いのではないか、そうなると、展開Ⅱで扱うべきではないのか。展開Ⅰでは、「自由化」の影響も扱うべきではないのかといったことを指摘しました。

これで公民科教育法Ⅱの模擬授業は終了。学部3年は今回初めて模擬授業を体験しました。明日からは、教育実践研究の模擬授業(小・中)が始まります。それが終わるといよいよ教育実習です。

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by yasuhirohashimoto | 2010-06-17 08:35 | 教育のこと

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto