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岐阜大学・生活科講義2回目(2011)。

昨日、岐阜大学で生活科の講義を担当してきました。
先回のブログにも書いたとおり、広島大学附属小学校に
以前勤務されていたN先生の「新実践」が手に入ったので、その実
践記録と授業ビデオを学生さんには見てもらい、その授業の「良さ」
について分析してもらったり、生活科授業を行う上での「難しさ」につ
いて考察してもらいました。

今回学生さんに見てもらったのは「しんかんせん」の授業。
「しんかんせん」の乗り場(広島駅)を見学し、自分たちが普段使っている
「電車」の乗り場(広島大学附属小学校前)と比較し、何が違うのかを
まずは考えさせます。児童からは「乗り場の高さが違う」「乗り場の広さが
違う」「屋根の高さが違う」「売店の有無」等々が提示されます。

その後で、絶妙なタイミングで広島駅にある「テレビモニター」を提示し、
「このモニターは何のためにあるの?」「誰が見ているの??」と問います。

「誰が見ているのか」という問いに対して、児童は「警察官が見ている。
なぜなら泥棒を監視するため」「駅員さんが見ている。警察官の人に
泥棒を発見したら伝えるため」「お客さんが見ている。」等々の意見が
提示され、「誰が見ているのか」に焦点を絞った議論をN先生が促します。

児童からは「駅員さんが、(先述の乗り場の高さの違いを意識して)ホーム
から落ちた人がいたら助けるため」といった趣旨の意見が示され、
「広島駅のホームは電車のホームに比べ高いから、駅員さんの監視が
行き届かない(そういった趣旨の意見)。だから、モニターで見ている」
といった意見を子供が発し、テレビモニターはお客さんの「安全」を守る
ための施策であることを子供なりにつかみます。

学生さんにこの授業を評価させると、この授業の「良さ」を教師の指導技術
(問いを発するときに何人かに当てて効率的に答えさせている等)ばかり
に目がいっていたのが残念でしたが、1時間目のクラス(全部で3クラス
3時間講義をします)では、モニターに焦点を絞ったこと、そして議論をし
やすいテーマを提示していること、などを評価する意見もありました。

2時間目以降のクラスでは私が求めていた答えが出ませんでした。
私の問いの出し方が上手くなかったのですかね。

ただこの授業は「良い授業」ですよ。先回実践記録だけで分析してもらった
「きゅうしょくしつ」の授業も良かったですが。

同講義でお世話を頂いたS先生とお話すると、「(2つの授業とも)良い授業で
しょう。それと、この授業は『生活科』というよりは低学年『社会科』ですよねえ。
また学生はこの授業を行うことの『難しさ』がなかなかわからんですよ」とお
っしゃっておられました。

「なるほど」と思いつつ、しかしこういった講義を続けていくことが大事だとも
思いました。
by yasuhirohashimoto | 2011-05-24 20:06 | 教育のこと

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto