価値判断力・意思決定力を育成する社会科授業研究会(201107)。

昨日標記の研究会に参加してきました。
この研究会は、お茶の水女子大学附属小学校の岡田先生と、筑波大学附属小学校の梅澤先生が中心になって昨年度立ち上がった組織です。

年に数回、著名な研究者の先生に講演して頂いたり、授業を公開し検討を行ったり、「価値判断力・意思決定力」を育成する社会科授業の在り方についてパネルディスカッションを行っています。

http://homepage3.nifty.com/umesen/kachi1.html

お茶の水の岡田先生の実践は以前から注目しており、このブログでも取り上げたことがあると思います。
お茶の水の「市民科」はシティズンシップ教育を研究する研究者にとって研究対象そのものだと思います。

昨年度は公務多忙で、お茶の水の附属小学校の授業を拝見できず、残念に思っていたのですが、今回の研究会でその振り返りをするということでしたので、参加してきました。

今回の研究会の内容は以下の通りです。

9時30分 受付開始
10時00分 開会行事
10時10分 実践報告 価値判断力・意思決定力を育成する市民の実践報告
               6年「子ども手当をどのように役立てるのか」
               報告者 岡田泰孝(お茶の水女子大学附属小学校)
        実践についての協議会
12時00分 昼食
13時00分 授業づくりパネルディスカッション
         場面設定型授業を提案するうえでの不安点・問題点を解決するためにⅡ
          -歴史的内容領域における価値判断・意思決定の授業づくり-
         パネラー 新貝 朗 (東京都多摩市豊ヶ岡小学校)
                恒川 徹 (愛知県岡崎市立六名小学校)
                梅澤真一 (筑波大学附属小学校)
         コーディネーター 岡田泰孝(お茶の水女子大学附属小学校)
15時00分 講演 「社会的価値判断力・意思決定力を育てる教育が求められる社会的背景とその実践」
             小玉重夫 (東京大学大学院)

残念ながら、所用のため、授業づくりパネルディスカッションの途中までしか参加できませんでしたが、同会に、昨年度までT学芸大学の学生だったN君(現T波大学大学院)がいたので、聞くことが出来なかった話についてはN君経由でリサーチしました(N君ありがとう)。

私のコメントは、「子どもの手当~」の授業については、協議会の際にもお伝えした通りですが、子どもの「自発性・自主性」にあまりに重きを置きすぎたために、元々の狙いである「価値判断力・意思決定力の育成」といった目的がどこかに飛んでしまった感があります。つまり、この授業で行うべき「価値判断・意思決定」は何か、どのような価値対立を想定して、子どもたちに判断を求めているのか、子どもの「自発的・自主的」な学びは子どもの「興味・関心」に基づいて進んでいきますので、最終的に教師が求めている価値対立に辿り着くかは「子ども次第」になってしまいます。今回の授業では、先生が最終的にねらい?としていた「高福祉高負担」「低福祉低負担」(そもそも「中福祉中負担」もありますが)といった国家の在り方を問う価値・概念に特定の子どもの思考は至っていたかもしれませんが(その子は「価値判断力・意思決定力」が身についた?)、他の子どもはどうなのか??他の子どもの「価値判断力・意思決定力」は身についたのか否か。。。その辺りがわかりにくいし、それを検証する「評価問題」も大切になってくると思います。

いずれにしても、協議の中でも議題になっていた「価値判断力・意思決定力」とはなんぞや?といった問いの答えを仮定し、それを段階的に授業の中で育てるためには、どのような授業構成が必要になるのか、授業のスキームを「大枠」でも良いので作った上で、授業づくりを進めていくことが大切だと痛感しました。

午後の部は、梅澤先生が行ってきた歴史学習の中での「価値判断力・意思決定力」を行うための方法原理として「模擬裁判」を採用し授業を展開したことについてのご報告。歴史認識を深めるためのツールとして「模擬裁判」を使ってみたといった趣旨のご報告になっていたと個人的には思いました。「模擬裁判」を用いることの「有意性」(すなわち、ディベートや討論授業との違い)についてもう少し触れて頂ければ良かったのかなと思いました(若干触れられてはいましたが)。

具体的な授業のレベルで語ると議論もわかりやすい。色々と勉強になります。
いずれにしてもご発表の授業は「質の高い」授業ばかりだと思いました。

よく「附属だからできる」という言葉を聞きますが、その言葉は自分自身の授業を「よりよくする」ことを諦める考え方に直結します。「附属だからできる」ではなく「うちでもできる、質の高い授業」を追い求めることが大切だと思います。附属の授業を参考にして、そして普段の授業の質の向上を図ること。。現場に出た橋本ゼミの諸君、頑張って下さい。
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by yasuhirohashimoto | 2011-07-24 18:16 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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