福岡教育大学・三附属中学校共同研究発表会(2011)。
2011年 11月 30日
福岡教育大学では、三附属中学校と共同して各教科毎に研究主題を
設定しています。
研究主題:社会をつくる社会科学習指導法の研究-「対話」でわかりをつくる社会科教師処遇-
公開されたのは、以下の二つをテーマとした授業。
「これからの福祉と生活環境」 東方広海先生
「日本のエネルギー事情」 藤島俊幸先生
前者は、社会保障を充実させるために消費税率を10%に引き上げるか否か
を議論する授業。その際、「増税賛成派に意見が偏った際に、景気への影響の
視点から、増税反対派に意見が偏った際に、世代間扶養の実現性の視点から
問いただす」「将来の社会保障の在り方について考える際、人生前半の社会保障
を充実させる必要があることに気付かせるためにフランスと日本の社会保障給付費
の内訳を比較させる」といった「教師処遇」が設定され、議論を深めようとしています。
後者は、日本のエネルギー事情について、「日本の発電割合」「発電コスト」「一次エネルギー
輸送経路」「一次エネルギー輸入相手国」「カントリーリスク」「世界四大チョークポイント」
「エネルギーミクス」などの観点から、考察を進めていく。その際、「原子力発電にかかる
コストを発電に限定している場合にはコストとはどこまでを指しているのか」「エネルギー
安全保障の根幹がエネルギーミクスであることに気付きやすくするために日本の年間
停電時間が世界最短なのはどうしてなのか問う」といった「教師処遇」が設定されていました。
議論を深めるための「教師処遇」はとても重要!これに異論はないはずなのですが、
「教師処遇」自体を教師による「恣意的な指導」と捉えるとその評価も異なります。
私は「教師処遇」重視派なので、「教師処遇」の在り方(適切さ)を問うことが授業の評価
と直結するだろうと考えます。
後者の授業の場合、「停電時間最短に焦点を当てること」が、エネルギー安全保障の
根幹としてのエネルギーミクスとどう関係があるのか、子供にとってわかりやすくなった
のかが問われるのかなあと思いました。
しかし、前者も後者も、およそ中学3年生の授業とは思えない、レベルの高い意見が
子供たちから提示されていたと思います。やはりしっかり丁寧に授業を作り、そして
「教師処遇」をされている学校(授業)だからこそ、でしょう。
授業を参観に来られていたH大学附属中・高校のM先生は、「うちの生徒とレベルが違う」
といった趣旨のことを言っていました。それは授業態度、授業理解両面を指しているのでしょう。
ここ3年間、毎年拝見してきましたが、また来年時間があれば拝見できればと思っています。