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第1回宮崎シティズンシップ教育研究会、回顧。

過日、宮崎大学教育文化学部講義棟L105教室にて、標記の
研究会が開催されました。

教育委員会の先生方や、小・中・高校の先生方、多数が参加
されました。

橋本は参加者が10名程度ではないかと思っていましたので(Y
先生、済みません)、余りの参加者の多さにびっくりしました。

研究会を主催されたY先生もおっしゃっておられましたが、宮崎大学
社会科の「両巨頭」、T先生とK先生のご尽力のお陰ですね。

特にT先生には研究会・懇親会にも出席頂きありがとうございました
(K先生は公務で出席できないとのことで残念でした)。

さて、研究会ですが、その内容も充実していました。

1.開会の挨拶と会の趣旨説明(13:00~13:10)
2.実践研究発表(13:10~14:50)
①「自ら学び、考え、社会を拓こうとする児童の育成」
     郡司美和子(宮崎市立恒久小学校)
②「『効率と公正』概念を取り入れた中学校社会科公民的分野の授業開発」
     新垣智規(宮崎市立宮崎西中学校)
③「高校日本史Bにおける授業改善の一視点-『高橋財政』をどう位置付けるか-」
     中野耕一郎(宮崎県立宮崎南高等学校)
3.ミニ講演(15:00~15:30)
「歴史教育における市民性の育成」
    児玉康弘(新潟大学教育学部)
4.講演(15:40~16:40)
「これからの社会科で育てたい力-新学習指導要領で求められる授業の姿」
   橋本康弘(福井大学教育地域科学部)

実践研究発表は充実していました。

①の小学社会の4年生「伝統的な工業と人々のくらし」の授業実践は、都城の「大弓」づくりについて、「どうして都城の大弓づくりは800年間も続いているのか」をMQにした授業。このMQを「大弓づくりの歴史」「都城の人たちの取り組み」「職人の工夫や努力」の三点から子どもたちが探究していく授業。ただ、T先生のご指摘されていましたが、「なぜ大弓を作る必要があったのか」といった歴史的背景(因果関係)の探究をこの大単元に組み入れられたらもっと面白い授業になったのでは、と思いました。

②は、現在中学校社会科公民的分野で注目の的である「対立と合意、効率と公正」を活用させる授業のご提案でした。地元の川辺川ダム建設問題を取り上げて、新聞資料を読み取らせながら、「効率」と「公正」の観点でこの問題を捉えていこうとするもの、なかなか難しい「効率と公正」の授業づくりにチャレンジされたことにまずは感服しました。幾つか課題はあったと思いますので、更によりよい授業に修正していけば良いのでは、と思いました。

③は、大学の三つ上の先輩である中野先生のご発表。受験指導でご苦労されていることがよくわかりました。東大の二次試験に対応する授業がまず前提としてあって、その中で、少しでも教科教育的な論理を授業に組み込もうとされていました。

研究会の後半は、「講演」です。まずトップバッターは児玉先生。同先生のご講演はとても勉強になります。ご自身が附属新潟中学校の3年生を相手に授業された内容「米騒動と大衆心理の研究」をご発表されました。「鈴木商店がなぜ憎まれたのか」、大衆心理の視点も組み入れた、事実認識を踏まえた学習。最終的には、先生の持論である「解釈批判学習」として組織されています。

最後は橋本の講演、新垣先生がご提案された「対立と合意、効率と公正」のお話を中心にしました。

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終わった後は懇親会。懇親会にも多くの先生方が残られました。
宮崎の先生方はお酒がお好きなんですね(二次会も多数残られたようです)。
前出の中野先生が「黄本」を持参。広島大学教育学部社会科教育専修出身者は
よく知っていると思います。学部1年生向けに学部1年から4年生までが各々A4
1枚程度の自己紹介を書き上げ、それをまとめたもの。懐かしく拝見致しました。
中野先生、わざわざご持参頂き、ありがとうございました。

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同研究会は本年度も継続されるとのこと。初回の様子を見てみると、
今後、岡山の研究会と並ぶ(というか、超える?)、研究会に成長することでしょう。
今後も同研究会に注目です。
by yasuhirohashimoto | 2012-04-05 00:00 | 研究のこと

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto