NIE福井大会・総括②

(続き)

「北陸新幹線建設の是非」を扱った公開授業は、福井新聞といった
地元紙以外にも、既に新幹線が開通した地域の地元紙である東奥
日報や熊本日々新聞などを取り上げて、東北新幹線青森延伸や、
九州新幹線の開通によって地元住民にとってどのような利害が生じ
ているのかを生徒に考えさせ、新聞を読んで考えた同問題に関する
疑問点を生徒から提示させるといった内容でした。

第三セクター化されたことによって生じた問題(運賃の上昇・特急列車
の減便など)を示す記事等や鹿児島の「経済効果」とその「経済効果」
を享受している旅館業者(鹿児島中央駅での新幹線から在来線:指宿
行きの乗り換えをスムーズにすることにより指宿温泉への来客数が飛
躍的に伸びた結果)の記事、また、熊本の地方自治体の長へのアンケ
ートから見えてくる新幹線の経済効果の大小(経済効果の地域格差)、
などの記事を踏まえつつ、生徒たちは疑問点を出していました。

「経済効果」に対する疑問(そもそもどのような算出基準なのか、誰に対
する経済効果なのか)や、「なぜあわら駅を作るのか」といった子どもらし
い意見もありました。

橋本が重視した「疑問」としては、鹿児島県が観光地としての指宿への
来客数増を図るために先述した「乗り換えをスムーズにする」などの取り組み
をJRと共同して行ったことを踏まえ、福井県の場合、現在の観光地は
「恐竜博物館」だが、JRと共同してとか、そういった取り組みは出来にくいので
はないか、「恐竜博物館」への来客数を増やすとかについて、北陸新幹線開通
した暁には、県はどう取り組むつもりなのか、といった趣旨の意見が出ていました。

これまで読んできた新聞記事の内容をしっかり理解して、その記事内容を
踏まえた意見になっていたと思います。

批判的に見る、ためには、地理的アプローチによる比較、歴史的アプローチによる
比較があります。今回は、東北新幹線・九州新幹線の場合といった地理的アプロー
チによる比較をしていました。ただ、それぞれの「地域事情」もありますので、本来は
そのあたりも踏まえつつ、比較・吟味・検討していく必要があったと思います。その点
は本授業の課題だったと思います。

北陸新幹線問題は、民主党政権の「判断」に翻弄されました。当初は敦賀までの延伸
について「凍結」されていたのですが、つい最近になって「着工認可」になりました。
ただ「着工認可」になってこの問題に関する新聞記事が多く出てきましたので、授業づ
くりが充実したのでは、と思います。

とにかく、新聞だけでこの問題を考える、、のは限界があります。本授業では、運賃の
値上げなどは、運賃表を用いていました。また、新聞といったメディアだけではなく、他
のメディアも多用した授業づくりも考える必要があると思います。新聞だけでは、「一面的」
になる可能性もありますので。

いずれにしても、本授業実践に尽力された仁愛女子の奥出先生始め諸先生方、ご苦労様
でした。
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by yasuhirohashimoto | 2012-08-18 00:00 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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