ハワイ出張③。

ハワイ出張二日目の午後は、Susan Chang先生からのヒアリングです。
その内容をかいつまんでまとめると以下の通りです。

*小学校3年生から高校3年生まで幅広くpeer mediation活動が行われている。
*ただハワイ州にある200の学校の内、現在この活動に取り組んでいるのは、15~
20校程度。
*下の学年(小学校を指すと思われる)では、休み時間などを利用して、mediation
の紹介をし、この活動に興味を持ってくれる子どもにmediaorとしてのトレーニングを
行う。一方、上の学年(中・高校を指すと思われる)では、成人で発生する「複雑な問題」
に対処する必要があり、学校によっては、mediationを紹介する時間を設けてもらい、
担任やコンサルタントの紹介などを踏まえ、面接などを通して、特定の生徒にmediator
を御願いする場合がある(特に上の学年の場合)。
*上の学年の「複雑な問題」とは、うわさやネットでの悪口など、巧妙な手口による紛争
を指す。
*mediatorを選ぶ作業では、本人の意思(「やりたいのかやりたくないのか」「勉強と
両立できるのか」などを面接などで問う。また、上級学年の生徒によるリクルートも
ありえる。小学校からmediatorをしている子どもは、そのまま継続的にmediatorを
する場合があり、結局ロースクールに進学するといった生徒もいる。
*mediatorが対象とする紛争は自分と同学年もしくは下の学年で発生した紛争。ただ、
あくまで「上級学年づら」しないような児童・生徒を選ばなければ意味がない(仲裁では
ないので)。
*紛争当事者や教師からmediatorに不満が出た場合は、そのmediatorは別の
者に変わってもらうケースがありえる。
*いずれにしても学校を児童・生徒が卒業してしまったら、それで終わるといった「単発的」
な活動では無く、「継続的」な活動になるよう心がけている。
*取り扱う紛争は、校則(ハワイ州の場合、チャプター19と呼ばれる校則がある)に関わる
問題ではないものを取り扱う。
*学校によっては、mediatorを conflict managerと呼ぶ場合がある。
*ハワイの小学校にはJPO(Junior Police Officer)という「小学生版警察官」の役割を
担う子どももいるし、mediatorの役割を担う子どももいる(係活動の一環としての位置づけ
のような気がしました)。
*JPOは子どもたちから人気がある(「警察ごっこ」のイメージ)が、mediatorは最近いまいち
人気がない。
*mediatorの活動は常にアドバイザーが定期的に様子を見守る必要があり、そのためには、
アドバイザーを雇う予算が欠かせないが、ハワイ州では1990年代に行われた調査で、peer
mediationの効果を少なく見積もられた関係で、予算カットされた(以前は州に専門家がいて
フルタイムで働いていた)。
*調停に向かない事案として「暴力」「薬物」「妊娠」「虐待」(刑事法に触れる犯罪?)があり、
これら以外の紛争が調停の対象だが、高校生の場合、勉強・クラブ活動などが忙しく、紛争当事者
から「事情を聞く」こともままならず、mediation活動が停滞する場合がある。一方で、「下の学年」
では、mediationが「予防効果」をもたらし、紛争が起こりにくくなっている。
*peer mediationの活動は、児童・生徒の問題処理能力を高める上で非常に効果的だとの
調査結果もある。「勝ち負け社会=アメリカ合衆国」の中でwin-winの関係を作るpeer mediation
は社会的にも意義のある活動と言える。

他にもたくさんのお話を聞きましたが、、とても参考になりました。Susan先生ありがとうございました。

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by yasuhirohashimoto | 2012-11-08 00:00 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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