観光研究の成果を組み込んだ「社会科観光」の授業開発とその評価・・・。

過日、表記のタイトルの御論考を恵送頂きました。



佐藤克士、観光研究の成果を組み込んだ「社会科観光」の授業開発とその評価-小学校第5学年産業学習「観光産業」を題材にして-、社会科教育研究、No.118

同論文は、観光研究で中軸になっている9つの概念(「経済情勢」「社会情勢」「観光政策」「観光資源」「まなざし」「観光産業」「地域づくり」「観光問題」「持続可能な観光」)とそれらを束ねる3つの領域(「観光需要及び観光形態に影響を与える要因」「観光地形成に関する要因」「観光によってもたらされる影響」)を抽出し、これらを基盤にした教科書分析・授業分析を行い、現状の課題を明らかにし、その課題を克服するための授業を開発し、実践を加え、その実践結果を分析している。その内容は「教育内容開発研究」「授業開発研究」「開発した授業の評価研究」といったように多岐にわたる。

特に地理的分野で「観光」が注目されており、日本地理教育学会の6月の例会でもテーマとして取り上げられている。

http://www.geoedu.jp/reikai/index.html

新しいテーマで、社会科学的な学問研究の成果を、科学的な認識形成が難しいとされる?小学校の産業学習に取り入れた意義深い研究だと思う。一方で観光学研究の内容分析や教科書分析・授業分析を重きを置いた授業開発研究で一論文を形成した方が読み手にもわかりやすい。「開発した授業の評価研究」まで一論文に掲載しようとすると、前者の内容分析や教科書分析や授業分析に紙面を割けず、現状の問題性・課題性が丁寧に論じられないのではないか。形式的には、「評価研究」まで組み込まざるを得ないのが最近の潮流かもしれないが、紙幅のことも考えた実務的な議論も必要ではないか。

といった感想を持ちつつ、佐藤先生の研究内容には何も不満はない。本学の院生にも「研究の段階性」を伝える上でも意義のある論文だと思う。

佐藤先生、御論考をご恵送頂き、ありがとうございました。
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by yasuhirohashimoto | 2013-05-30 00:00 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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