澤田浩一調査官講演。

先日、国立教育政策研究所の澤田浩一教育課程調査官(倫理・道徳担当)のご講演があったので、拝聴してきました。



これまでもブログにアップしてきましたが、現在、道徳教育の充実に関した議論が行われており、懇談会レベルの議論は終了し、今後は、中教審での議論に移ります。

その矢面に立っておられる、澤田調査官は、小生が1年間調査官を務めた時の「同僚」であり「同期」、普段から仲良くさせて頂いています。

元々は、高校の倫理の先生、現場におられた時は「生命倫理」の実践など、興味深い取り組みをされていました。

さて、当日のご講演は、「道徳教育と法教育との関連」について、です。
ご講演の内、昭和33年に「特設道徳」ができた時のその内容の「説明の論理」はとても興味深かった。

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318318.htm

従前の修身への抵抗感が強かった時代、従前の修身の論理とは全く違う「特設道徳」の論理性は、「全面的な行動育成から(相当)距離を置いた道徳教育」の論理であること、これは、人間が本来持つとされる「良識」「良心」を呼び起こさせる(喚起すること)を重視し、それが、物語教材の多用につながっていること、また、高等学校の「倫理・社会」を「必修」に置いておいた背景には、「特設道徳」の論理性を担保する、思想家の思想を学ぶことは、「特設道徳」からの「延長線上」にあり、「倫理・社会」の学習自体の教育的意義は、「特設道徳」と切っても切り離せないこと。。また、道徳における「規範・きまり」の取り扱い方を、カント思想から説明をされました。前述の「理性の喚起」を促す教材がだから、必要なのだと。。

一方でお話を伺っていて、小生が考えたこと。それは、そもそも、一思想家の思想を絶対的に取り上げ、その考え方がこうなのだから、この授業方法論で、、といった流れになっていたと思うこと。思想家の思想は、時代によって、マッチしなくなる可能性を否定していない、、目の前にいる「子ども」が、現代社会に生きている子どもは、現代社会と切り離されて生きていくことはできない。「二通の手紙」(有名な道徳教材です)の事例でお話をされていたが、「理性の喚起」を促すためには、「現代社会の論理と違う(元さんが解雇されるのは、明らかに法令上問題)教材」を取り上げても良いのか、現代社会の論理は、子どもたちが生きていく中で自然と身につけていく側面もあり、実態と乖離した教材はそもそも有効なのか、「心」に訴えることが可能なのか。小学生なら効果はあるかもしれないが、それ以上に同様の教育方法を採用することは本当に「道徳教育をより良くするのか」、実は、道徳教育の懇談会では、「新しい枠組みの道徳」が提案され、シティズンシップや法教育を取り上げていたのですが、その背景には、従来の道徳教育の問題性があるからではないか。。

従来の道徳教育を「教科化」したところで、上記の問題は解決せず、問題が先送りされただけではないか、、

色々と考える機会を与えて頂けたご講演でした。特に前述した「特設道徳」の考え方、これは勉強になりました。
澤田先生、ご苦労様でした。

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by yasuhirohashimoto | 2014-02-28 00:00 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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