「法認識科研」スタート。

過日、第1回目の全体会を開催しました。



昨年度までの「法教育科研」の総括をする前に、本年度からの「法認識科研」が
スタートしてしまいました。

昨年度までは、小学校の法教育プログラムを開発する、ただし、小学校2・4・6年生
の法的発達の状況を踏まえて・・・、といった研究を行いました。それが「法教育科研」
の狙い。

本年度スタートの「法認識科研」は、中・高等学校の法教育プログラムを開発する、
ただし、中・高校生が法に対してどのような知識を有しており、どのような意見を持って
いるのか、その「法認識」の状況を踏まえて・・・。という研究。端的に言ってしまえば、
これが「法認識科研」の狙い。

今回は、前回までの心理学者ではなく、社会学者(教育社会学、法社会学)に加わってもらい、
質問紙作成に協力頂くことになりました。

第1回目の全体会では、そもそも、この科研のゴールは何か、その研究目的は何か、
といった点を集中的に議論しました。また、質問紙(案)についても多様な角度から
ご意見を頂きました。

*「法認識」を広く調査するだけなのか?広く調査する目的は何か。広く調査した後で、
中・高校生の「法認識」の実態を明らかにした後のプログラム開発、といった時に、
調査とプログラム開発までの「距離」があるのではないか。調査では、どの知識が身について
いない、どのような意見を持っているか、等はわかるが、それを伝えることが目的なのか。
だから、その知識を身に付けるような授業をどう作るのか、意見を修正するような授業をどう
作るのか、といった点になるが、それで良いのか(プログラム開発が技術的になる?)
→そもそも、どのような知識を身に付けていないのか、それを幅広く調査すること自体、日本
では行われていない。
*子どもたちへの「法認識」調査だけではなく、教師への質問紙の作成も必要なのではないか。
→子どもたちがどのような「法認識」を持っているのか、については、学校で授業を行う教師
の影響力が大きい。教師が例えば、憲法をどのように捉え、その捉えに基づいてどのように教
材研究をし、子どもをどう位置づけ、授業を作り上げているのか、そこを問える質問紙の作成
が必要ではないか。
*「法認識」を調査するといったことよりも、プログラム開発を念頭に置いて、どこかの
法知識・意見に絞って、「優れた授業」を開発し、それを多様な環境で実施し、それを受けた
子どもたちがどうその授業で学んだことを捉えたのか、教師がどのように考え、授業を作り
上げたのか、その点に留意した研究が必要なのではないか。

質問紙(案)についての意見は、ここでは採り上げませんが、第1回目の全体会から白熱した
議論をして頂いたと思っています。

憲法学者・法実務家、法社会学者、教育社会学者、社会科教育学者、学校現場教員といった多様な
専門分野を持つ総勢14名で、3年間、この科研を進めていくことになります。

併せて、昨年度までの「小学校」のプログラム開発については、川崎医療短期大学の中原先生を
代表として、幼稚園から小学校への「接続」を意識した法教育プログラム開発を行うこととして
おり、従来の社会科教育学者だけではなく、心理学者、幼稚園教育の研究者も交えて、研究を進
めていくことになっています。

本科研と「兄弟科研」ということで、今後研究成果を挙げていきたいと考えています。

引き続き、ご指導ご支援を頂きますようお願い申し上げます。

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by yasuhirohashimoto | 2015-05-20 12:30 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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