渡米報告⑥(オハイオ州・ケンタッキー州)

コロンバス三日目。天候は雪。
毎朝、ホテルで食べる朝食もメニューは複数あるが、同じような食べ物ばかり。
少し食傷気味。

***
さて、コロンバス三日目は、午後からオハイオ州教育局訪問。
食事が終わり次第、午後からの「打ち合わせ」。

オハイオ州教育局を今回訪れたのは、オハイオ州社会科カリキュラムを研究されているH大学のY先生のご希望。ただ、12月の「事前打ち合わせ」の際に、オハイオ州社会科カリキュラムについて勉強会を持ち、その概要を知るにつれて、「五人組」も関心を高めたようです。

今回ヒアリングしたのは以下の方々から。

□William.J.Muthing(カリキュラム・指導・評価部門・社会科担当指導主事)
□Donna Nesbitt(同部門長)
□Thomas D.Rutan(同部門次長)

主には前述のお二方から。オハイオ州教育局社会科カリキュラムの特徴と概要について。また、同カリキュラムに準拠した教科書の有無や、指導資料の作成に関して。また、同部門の教員養成への関わりについて質問をしました。

ヒアリングの中で、同カリキュラムは、全米でもオリジナリティのあふれるカリキュラムであること。その理由は、K-12の配列の特徴として、シークエンスに地理的アプローチと歴史的アプローチを採用しその「接合」の上で、最終的に11学年から「公民」を学習する構成となっていること。このようなカリキュラムの特徴を持つ州は、サウスカロライナ州他、いくつかだけであること。そのため、完全に準拠した教科書は存在せず(アメリカの教科書は生徒個々に配布するというよりは、長い間教室で使用する資料集的な役割を持っているので、販売部数を考えれば、教科書会社は全米共通仕様にしますよね)、全米共通仕様の教科書のオハイオ州における指導資料等のみ存在すること等について伺いました。またスコープとシークエンス両方に存在する「歴史」について、突っ込んだ質問をしました。「どちらが“本来”の歴史なのか」「両方だ」との回答。同州の場合、例えば、歴史をシークエンスに、スコープを歴史や社会諸科学を配置することで、それぞれの「学問」を歴史アプローチで学ぶ。そうすることが、すなわち、政治を学ぶことになり、経済を学ぶことになる。そのさいたるものは、憲法。憲法修正条項がどのような状況下で増やされたのか、どのようなプロセスが原因で現在のような合衆国の諸制度が構築されてきたのか。歴史アプローチで学ぶことで初めて憲法の本来の意義を理解することができるようになる。

N大学のK先生が常々主張されている「地理や歴史で公民は『代用』できる(地理や歴史はもっと公民らしく構成可能である)」を体現したカリキュラム。K先生はヒアリングの後、自分自身のご主張の「裏付け」がとれご機嫌でした。

ただ、日本はそうはいかない。憲法は、アメリカから「付与」されてもの。歴史アプローチではその内容(意義)を学ぶことには限界がある。同様、政治や経済システムについてもそう。

ヒアリングを終えての私の感想としては、同カリキュラムの「公民」学習とそれ以前の地理的アプローチや歴史的アプローチの学習との「関連性」が少しわかりにくかったですね。この点を質問すれば良かったなと日本に戻ってきて反省。

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「五人組」は教育局訪問を終えて、今回の渡米の「仕事」を終えました。
最終日は、イタリアンを食しに、ショートノースへ。

少し高めのワインを奮発し、パスタ・ピザ等々を平らげました。

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翌日は帰国の途へ。多少雪が積もっていたので、飛行機がディレイするのではと思っていたのですが、無事オンタイムで出発。無事関西空港に到着し、お互いの今後の研究の発展を祈って、解団となりました。

今回の渡米は、今までのように、法関連教育の教材収集や教材作成者のヒアリング等のための旅とは異なり、「異分野」の研究旅行。勉強になりました。諸先生方には大変お世話になりました。ここにお礼申し上げます。
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Commented at 2008-01-20 17:16 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by yasuhirohashimoto | 2008-01-19 12:50 | 研究のこと | Comments(1)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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