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法教育推進協議会

昨日、「発達段階に応じた法教育のあり方-高等学校での実践を中心に-」との題目で報告してきました。

報告内容は、アメリカ法関連教育のカリキュラム分析の結果、わかっている学習類型(法機能学習・法制度学習・法原理学習・・・・)をカリキュラム設計する時、どのような配列になるのかということを特に「認識形成を重視するカリキュラム設計の場合」について考えた場合です。

また「認識形成を重視する~」の場合、最後に位置付くと想定できる「法批判学習」をより具体化する教材として「外国人参政権の是非」を取り上げ授業化したものを紹介しました。

委員から出た主な意見・質問は以下の通りです。

「(外国人参政権の授業について)問題として高校生が考えるのには難しいのではないか。正確な知識・認識の基で判断できなのではないか」
「もっと子どもに身近な事例で教材化することで『法批判学習』を実現する必要がある」
「(配列について)法機能学習を最初に位置づけるということはよくわかるが、法原理学習の位置づけを最初に持ってくることも可能なのではないか」
「(配列について)スコープとしての法学の体系について、それで良いのか。刑事系・民事系という枠組みは考えられないのか」
「民法の機能学習は小学校中学年からの位置づけが可能ではないか」

配列については仮説的に提示したもので、これから詰めて考えなければならないことではあります。

たくさんの実践が近年蓄積されてきている状況の中で、カリキュラムの方向性についてはまだまだです。これからいくつかの枠組みを出し議論していく時ではないかと考えています。

なお、議事録の詳細については法務省のホームページをご参照下さい(数ヶ月後に掲載される予定です)。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-30 07:04 | 研究のこと | Comments(0)

福井法教育研究会②

本日は、8月8日・9日に開催のジュニアロースクールの実施形態について議論しました。

〈内容〉
8日午前 模擬紛争解決  午後 裁判所見学
9日午前 法関連教育授業(45分×2コマ) 中学生クラス①・② 小学生クラス

福井県下の中学生60名、小学生30名(5・6年生に限る)を公募し、前述の日程で実施します。詳細については更に同人で検討を重ねますが、本日迄に確定したことは以下の通りです。

(1)模擬紛争解決(模擬裁判ではなく)を実施する。
(2)日常場面における子どもたちに身近な紛争事例をどのように解決していけば良いのかについて意思決定(合意形成)する授業(道徳・学級活動を想定)や社会科の法授業を実施する。

また今回の研究会では、法関連教育研究にご協力いただいている福井市川西中学校の取り組みが『中等教育資料』6月号(ぎょうせい)に掲載されていることが紹介されました(「法教育のあり方を探る」)。ご参考までに。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-24 17:13 | 研究のこと | Comments(0)

高校の先生方と・・・②

昨日、高校の先生方との授業研究会を開催しました。

本年度は前にもブログに記した世界史や日本史、公民で使える「法」の授業づくりです。

今回は各科目どのようなテーマで授業を作るのかについて議論しました。

日本史は、「人足寄場」を事例にしたもので授業化を進めることになりました。
公民や世界史は、いくつかプランはあったのですが、次回の会議に持ち越して更にネタ探しを進めることになりました。

あまりプリミティブな内容に陥らないように、法の原理・原則を念頭に置きながら、現行法を吟味・検討できるような授業を作っていきたいと思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-23 12:29 | 研究のこと | Comments(0)

金沢市立押野小学校

昨日、同小学校で開催された授業研究会に助言者として参加しました。

授業は小学校6年生の歴史単元、鎌倉時代から始まった「武士の時代」が進展する過程の中で、加賀地方を治めていた守護・富樫氏が自害したことについて武士と農民の立場に立ち意見を述べ合うといった構成です。

富樫氏は一向宗の信徒(農民)により自害に追い込まれ、加賀地方は後に100年の間、「百姓の持ちたる国」として存続していくことになります。「武士の時代」が進展していく中で、例外的ではありますが、宗教の影響もあいまって、「百姓支配」の国が成立することになります。

この授業では、子どもたちから富樫氏の自害について以下のような意見が出ました。

〈百姓〉
・豊かにくらせる ・苦しい税を支払わなくてすむ ・同じ百姓なら百姓の気持ちもわかってくれる

〈武士〉
・百姓に負けてくやしい ・なんで私ら武士が百姓なんかにくやしいでござる ・百姓が自分より上というのが不満でござる ・百姓に頭を下げるのがいや


このような子どもたちから出た意見は子どもたちの百姓や武士に関する既有知識(正確かどうかは別にして)を質問に適用し返答したものです。

単元や授業の導入の質問としては適切かもしれません。ただこの後の展開としては、歴史学の研究成果を踏まえて進められなければならないでしょう。当時(富樫氏治世下)の百姓の様子、武士の様子を踏まえて、子どもがそれぞれの立場に立って意見を言う場面も必要になるでしょうし、その結果としての富樫氏の自害を受け、例外的な国である「百姓支配の国」が完成したこと。その意義は何なのかということをこどもに掴ませる必要もあるでしょう。

反省会では「『百姓のもちたる国』の事例で宗教の影響を小学生に学ばせるのは難しい」「『百姓の持ちたる国』を『下克上の走り』として扱う方法もある」「富樫氏の事例を使って何を子どもたちに掴ませるのか、日本の歴史を大きく捉える中で富樫氏の事例はどのような影響を及ぼしたのかはっきりさせる必要がある」等といった意見が出されました。

私自身、小学校社会科は、「関係性の認識」を重視するべきだと思っています。人と人、人と組織、人と国の関わり合いを通して地域そのもの、産業そのもの、政治そのもの、歴史のそのものが作り出されるように構成されるべきです。この授業の場合、武士の立場、農民の立場、宗教家の立場、富樫氏の立場など、様々な立場の人がどのように考え、どのように行動し結果として歴史がどのように作られていったのか。ロールプレイを利用する等して授業構成にも工夫を加え、関係性の認識から歴史そのものを作りだすような授業が必要でしょう。

最後に授業者である菊池先生始め、指導力向上セミナーに関わっておられる先生方、押野小学校の先生方のご活躍を祈念いたします。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-23 12:23 | 研究のこと | Comments(0)

前期の講義から⑤

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先週に引き続き、「生活教材研究」では教材研究の発表会を開催しました。

今週も、畑を使った作物栽培(トマトやハーブ)、栽培した作物を使った料理、草木染め、公園の探検といった「ものづくり」や理科的な内容が多かったのですが、社会認識に関わる「探検」の発表もありました。

「福井駅周辺の探検」斑は、道行く人に昔の駅前と今の駅前の違いについて認識しているのか、利便性の有無についてアンケートを採ったり、駅前の特徴について地図化していました。

「福井大学周辺の探検」斑は、福井大学周辺について子どもの視点でどのようなことを発見すのか(ごみ収集場が多いとか)についてやはり地図にまとめて整理していました。

今後の指導案作りでは、こどもの社会認識の広がりだけでなく、「深化」につながるように気をつけなければなりません。こどもの持つ疑問のうち「なぜこのようになっているのか」に関する問いを大切にして指導案作りを進めていってもらいたいと考えています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-21 17:33 | 教育のこと | Comments(0)

日本公民教育学会

昨日開催の日本公民教育学会研究大会(三重大学)に参加してきました。

今年度は、「経済のグローバル化と公民教育」をテーマにIACSEE(International Association for Citizenship,Social and Economics Education)メンバーも加えた国際色あふれた大会になりました。

午前中、私は第6分科会に参加していました。「法関連教育」と「政治教育」の部会です。
いずれも興味深いご発表でしたが、更に教材研究を進めれば、良い授業になりそうなご発表もありましたので、素材をお借りして本学の学生に「授業改造」させようと思っています。

午後は、アメリカ・ネブラスカ大学オハマ校の経済教育センター長ジェームズ・ディックによる講演、ディック教授・日本の学者・現場の先生を交えたシンポジウムでした。「『市民性教育としての経済教育』と『経済学教育』との異同はどう説明できるのか」について考えさせられたシンポでした。

来年は東京学芸大学で開催されます。来年は何か発表できればと考えています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-19 18:58 | 研究のこと | Comments(0)

前期の講義から④

前期担当している「生活教材研究」ですが、今週・来週の講義で教材づくりの成果の発表会を行っています。

本日は「ものづくり」を授業の中心に据えているグループの発表でした。

例えば、「身近な材料を用いて万華鏡を作る」班は、トイレットペーパーの芯やプラ板、ビーズを使って万華鏡を作っていました。

また写真にもある「身近な材料を用いて楽器を作る」斑は、ストローの長さを変えて8本つなげることで「ドレミ笛」を作ったり、カメラのフィルムケースとストローを使って「鳥のさえずり笛」を作っていました。

他にも変わった形の「シャボン玉マシーン」を使ったシャボン玉作りやペットボトルを使った竹とんぼ作りなど、学生なりに「試行錯誤」して授業のネタづくりに励んでくれたようです。

子どもたちがこれら「ものづくり」を行うこと、すなわち「ものづくり」を行うプロセスの中で「試行錯誤する過程を辿らせる;知的な気づきを導く」ことが「授業のねらい」になってきます。指導案づくりにどう「試行錯誤のプロセス」を組み込むのか、「知的な気づき」をどう組み入れるのか。そのまま教師が作り方を教えたのでは子どもによる試行錯誤は促されません(当然のことですが)。これからが学生さんの腕の見せ所になります。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-12 19:04 | 教育のこと | Comments(0)

法教育委嘱事業報告書刊行

昨年度、本県は文部科学省から「法教育の実践に関する調査研究」事業を委嘱されていました。

この事業は、法務省法教育研究会による報告書(詳しくは『はじめての法教育』ぎょうせいを参照のこと)に示された中学校社会科公民的分野における4学習事例の検証の他、各学校種での法教育授業開発・実践を主な目的にしており、福井県の他、札幌市、茨城県、大阪府、福岡県の各教育委員会等が委嘱を受け実施したものです。

本県では、小・中学校での法教育教材開発・実践を主として行ってきました。一部の実践については先日ご紹介したDVDに収録されています。また過日報告書も刊行されました。

報告書の目次は以下の通りです。

はじめに

1 調査研究のテーマと趣旨
(1)法教育の理念と意義
(2)文部科学省の委嘱の趣旨
(3)福井県における調査研究の方針

2 調査研究の内容及び方法
(1)調査研究の組織
(2)調査研究の内容
(3)調査研究の日程

3 調査研究の結果
(1)福井県法教育推進連絡協議会の開催
(2)福井法教育授業開発研究会の開催
(3)福井法教育授業実践部会の開催及び提案授業の実施
(4)先進県調査研究
(5)ジュニア・ロースクールの開催
(6)研究実践校における取り組み(福井市川西中学校)

4 成果と今後の課題

5 各種資料(※は報告DVDに収録されているもの)
・「ジュニア・ロースクール福井2005」中学生クラスA【ルールづくり】※
・「ジュニアロースクール福井2005」中学生クラスB【プライバシー】※
・「ジュニアロースクール福井2005」小学生クラス【ペナルティ】※
・「川西中学校の法教育」
・福井市川西中学校「校内ロボコンのルールを考えよう」【ルールづくり】※
・福井市川西中学校中学校「座席変えの方法を考えよう」【手続き的正義】
・福井市川西中学校「違いの違い」【憲法・配分的正義】
・法教育授業実践部会活動報告(提案授業【私法】※)
・福井大学附属小学校教育研究発表授業【手続き的正義】

〈参考資料〉
・高等学校地理歴史科における「法反省」の授業
・高等学校公民科における「法批判」の授業


報告書は福井県下の小・中学校に配付されます。参考にしていただければ幸いです。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-10 09:38 | 研究のこと | Comments(0)

前期の講義から③

前期担当している講義に教育実践研究Ⅰ(1回生対象)があります。

教育実習の事前学習である実践研究Ⅱ(3回生)の前提として「学校の雰囲気に慣れ、学生なりに学校教育のあるべき姿を追求する」ことを目的とした講義・演習です。

内容は、(1)附属幼・小・中・養護各学校の訪問・観察をすることで、子どもたちの指導について各教師がどのような対応をしているのかを学生なりに掴む「作業」を行い、省察をする。(2)既に教育実習を終え教員採用試験の勉強に励んでいる?4回生による教育実習体験発表を聞くことで、1回生なりの「教育実習観」を持ってもらう。(3)附属中学校の研究大会に参加し、授業の様子や子どもの様子を語り合う。といったことです。

高校を出たばかりの学生が「教師としての立場」に成長していく過程には必要な授業でしょう。ただ今年初めて担当してみて、その講義内容や方法に不十分な点があることを痛感しています(附属中学校研究大会の語り合いの方法等)。

よりよい講義に改善していければと考えています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-09 17:47 | 教育のこと | Comments(0)

福大附属中学校①

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本日研究大会が開催されました。

本学附属は「探究するコミュニティ」をテーマに各教科でロングスパンの授業開発を行い、実践しています。

本日は「江戸幕府はなぜ260年間も続いたのか」(歴史)と「今、福井市に何が必要か」(公民)を主題にした授業の一コマを参観しました(写真は、公民の授業の様子)。

批評会でも指摘しましたが、いずれも「合理的意思決定」を目指す授業として構成されています。

「合理性」を担保するために、両授業とも、様々な工夫(資料や新聞資料の用意や教師による質問)がなされている点。また「合理性」を担保するために、歴史の授業に関しては歴史学の研究成果と言っても良い「理論的枠組み」(「政治権力集中論」「競合勢力排除論」など)に子どもを「追い込む」ことができるように工夫されています。これらの点は評価できるでしょう。

歴史の授業については、「理論的枠組み」を理解することを到達目標にしている側面もあり、授業のゴールも見えやすくなっていました。ただ、今後の授業構成として「理論的枠組み」の順位付け(江戸幕府が260年も続いた理由としても最も重いものは何か)を歴史学の研究成果を踏まえ行うことも大切になるでしょう。すなわち子どもたちが考える重要な理由と学者が考える理由が異なれば、それは「なぜ異なっているのか」を追究することで、歴史認識の深化が図れると思います。

公民の授業については、「福井市にこれから求められる政策」を検討する上で必要な資料を用いようとはしていましたが、十分な読み取りや「机上の空論」で議論していた側面はありました。ただ「発意」の授業と考えれば許容範囲ではないでしょうか(百歩譲って)。これから子どもたちが自分たちの主張の根拠を見つけることが出来なければその主張は成り立たなくなります。主張の合理性を子どもたちが十二分に調べることが出来る授業構成が今後求められることになります。また公民の授業はこれから「社会参加」で構成することになっており、社会構成員である市役所の専門家による評価を逐次(最後だけでなく)求めることで子どもたちの主張の合理性を担保することが可能になるでしょう。本当は、ある程度、自分の主張の合理性を確保した段階での授業を拝見したかったと思います。また市役所の人にも授業に入ってもらい、議論を調整してもらう場も拝見したかったですね。それとやはり子どもたちが資料を読み取って十分な主張が可能になるように一次資料を出すだけでなく、資料を加工する必要があったのではないでしょうか。

これまで三年間、同じタイプ(形式)での授業実践を繰り返してきました。今後は新しいタイプ、例えば歴史で言えば、歴史学の学者による思考プロセスを用いるもの、また公民で言えば、政策決定プロセスを用いるものが考えられます。特に後者は「政治社会そのもの」であり、社会をより実質的に理解する上では必要になる学習過程です。

また大きな問いだけでなく、大きな問いの答えに至るための「小さな問い(2~3時間)の連続体」として構成する必要も出てくると思います。
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by yasuhirohashimoto | 2006-06-02 18:51 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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