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福井法教育研究会④

過日、開催されました。

今回は、「ジュニア・ロースクール福井2006」で実施した2つの授業についてその報告(子どもたちの反応)と今後の研究の方向性について議論されました。

特に今後の研究の方向性については、今回の授業で示した「法的思考プロセス」を身近な紛争(トラブル)を解決する過程の中で辿らせること。それを繰り返し行うことが子どもたちに「法的思考プロセス」の習得につながるのではないか。そういった「目的-手段モデル」に見られる「法的思考プロセス」をいくつか法曹家から提示してもらい、教師とともに授業づくりを進めていく。今後は、そのような形で実践を作り出し、ある程度整理できたら(体系化できたら)、出版する方向で話がまとまりました。

少し長い道のりになりそうですが、これまでの日本の授業にはない、斬新な内容になることは間違いありません。これからの授業づくりがとても楽しみです。

これからも法曹関係者と現場先生方とのコラボを円滑に進めるよう「コーディネーター」として頑張っていきたいと思っています。

それと今回から新入メンバー3名が加わりました-。嬉しい限りです。
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by yasuhirohashimoto | 2006-08-29 16:21 | 研究のこと | Comments(0)

高校の先生方と・・・④

過日、高校の先生方との研究会を持ちました。
同研究会では本年度、■日本史「人足寄場」と矯正制度 ■公民「裁判員制度を批判する」について授業化を進めることとなり、過日は二つの授業について、指導案の形で提案され、不明な点を議論しました。議論の中で、「人足寄場」については、熊本藩の矯正制度が特徴的であり、現代の制度と比較しても社会への復帰に対する工夫等がなされていたこと(佐賀藩も特徴的な取り組みをしていました)。「裁判員制度」については、「司法の国民参加」を促す国がほとんどの中で、司法の国民参加」を求めていない国の事例として韓国があること等が指摘されました(ただ近々陪審制度が導入されるようですが)。

これらの意見を踏まえ、指導案を再構成していきます。先生方には夏休みの中、専心的に教材研究していただきました。いずれも、オリジナリティのある良い授業になりそうです。
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by yasuhirohashimoto | 2006-08-29 09:59 | 研究のこと | Comments(0)

名古屋法教育研究会

過日、野坂佳生先生に誘われて初めて参加してきました。

愛知県弁護士会は、以前から「法教育」には熱心に取り組んできており、同研究会は福井の場合と同様、地元の弁護士の先生と現場の先生方で構成される「授業作り・実践研究会」です。

研究会では、主に2つの授業について検討が行われました。

一つめは、中学校社会科地理的分野で実践された「日米貿易を関税のかからない自由貿易とすることに賛成か、反対か」です。これは、「ディベートのプロ」として弁護士を位置づけ、生徒同士が議論を闘わせる中で、弁護士が議論(子どもたちの認識が深まるように)を「進行」していく授業です。

議論では、同授業に対して評価する意見が多く出されていました。

二つめは、同じく中学校社会科地理的分野で実践する予定の「様々な立場から子ども安全プランを考えよう」です。この授業は、自分たちに身近な地域である、昭和区内で「児童・生徒を狙った犯罪が多発している状況を踏まえ、犯罪を減少させる方法について、防犯カメラの設置に賛成か反対かを基軸にして議論させることを通して、防犯カメラ以外の別の方法による子どもの安全プランを考え出し、弁護士の意見を踏まえながら、プランを市役所に提案するといった授業です。

議論では、「この授業を実施することでこれまでの授業に対する弁護士の関わり方(社会への模擬的参画から直接的参画へ)が変化する可能性がある実践であり、慎重に対応するべきだ」との意見が出されていました。

私からも若干意見を述べさせてもらいました。その折りにもお話しましたが、二つめの授業は、法関連教育がある意味、「最終的」に目指す社会参加の直接的な実現を企図するものです。是非その結果を何らかの形で報告してもらえれば有り難く思います。

最後に2件苦言を。いずれの授業も地理的分野と位置づけていますが、かなり無理があります。地理的分野の授業よりも公民的分野として位置づけるべき内容だからです。一つめの授業で学習内容として位置づけられる関税や自由貿易といった内容は公民的分野の経済領域で学習する内容ですし、二つめの授業で同じく学習内容として位置づけられるプライバシーや公共の福祉は、公民的分野の政治領域で学習する内容だからです。いずれも、公民的分野の経済・政治の学習の終わりに位置づける発展学習とするのが筋でしょう。

また、名古屋はディベートの実践を多く取り上げているようですが、ディベートはあくまで手段であって、それが目的ではありません。法関連教育の目的には合理的な意思決定や合意形成、社会参加といった要素があります。そのうちでも合意形成が重要視されるべきファクターです。ディベートの授業をするにしても、終わった後に合意形成的な要素を授業に組み入れる等の工夫が必要でしょう。

ただ熱心に取り組まれる中学校の先生方(弁護士の先生方)も多く、羨ましく感じた次第です。

今後の会の発展を祈念致します。
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by yasuhirohashimoto | 2006-08-25 13:13 | 研究のこと | Comments(0)

兵庫県立大学集中・アメリカ社会科研究会・鳥取県センター研修

この1週間、タイトルにある会や講義のために福井を不在にしていました。

まず、兵庫県立大学の集中講義。ここでは「公民科指導法」を担当しています(3年目になります)。履修学生さんは10数名。3日間、1日5コマという厳しい日程ですが、高等学校公民科の授業づくりのエッセンスを学んでもらえたことだと思います。

次に、アメリカ社会科研究会。これは、筑波大学の唐木清志先生を代表とする科研の研究会です。私以外にも、10数名の大学教官が関わっています。今年度初めての会では、これから各自がアメリカ社会科におけるシティズンシップ教育を分析する視点を何に求めるのか。その視点の妥当性について検討しました。私は法関連教育を担当し、分析視点は「批判(criticizm)」を採用しています。社会科とシティズンシップの関係性(どちらがどう包含するのか)をどう措定するのか、また今後の研究の進め方について議論しました。今後、この研究会についてはホームページが立ち上がる予定です。アドレス等についてはここで紹介したいと思います。

最後に、鳥取県教育センターの研修。これは高等学校公民科の教科リーダー研修と法に関する教育研修を兼ねたものです。ここで、2時間にわたり、法関連教育の理論について、また具体については先生方を生徒に見立て、模擬授業を進める形で説明しました。講義後、小学校の先生から、「子どものコミュニケーション力の違いからどのようなグループ分けが望ましいのか(すなわち、コミュニケーション力のある子どもの発言が物を言うような意思決定の形が望ましいとは思えないという発想からのご質問でした)」について問われました。コミュニケーション力の違いは埋めがたいものです。子どもたちが意思決定を行うことはすなわち、コミュニケーション力の育成も同時に行うものとして考えていかなければなりません。子どもたちの意思決定が「いびつ」な形になるのはある程度仕方ないかもしれません。その辺り、教師の指導性をうまく生かしながら、授業を進める必要があると思います。

流石に、この1週間体力が消耗し、残暑のせいもあって夏風邪気味です。皆さんもお気を付け下さい。
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by yasuhirohashimoto | 2006-08-23 10:39 | 研究のこと | Comments(0)

福井市教員対象課題別研修

ジュニア・ロースクール2日目の午後、開催されました。

本年度は、「法教育の視点を取り入れた学級経営を考えよう」をテーマに福井市の小・中学校の先生方30名程度を対象に行いました。

まず、福井法教育研究会代表幹事の野坂弁護士から、「法教育の視点を学級活動に取り入れる意義」について講義があった後で、具体的な実践事例について、福井市川西中学校の秦先生から説明がありました。

川西中学校は、以前にも書きましたが「法教育」実践について大変熱心に取り組んでいます。報告は、昨年度の取り組み「席替えのルールをつくろう」でした。

次に、学級経営の題材(ジュニア・ロースクールの中学生クラス用教材;これも悪口のうち?)を先生方に提供し、授業化する場合にどのように考えるのかについてワークショップを行いました。

最後に、私の方から「法関連教育」の全体像を見据え、本日の話は紛争解決学習に当たること等についてお話しました。

全体的に熱心に考えていただきました(授業づくり等)。これからも学級経営でお困りのこと等を素材として研究会に提供していただければ幸いです。
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by yasuhirohashimoto | 2006-08-15 18:47 | 教育のこと | Comments(0)

ジュニア・ロースクール福井2006 2日目

2日目は、小学生・中学生のクラスそれぞれで、「身近な紛争事例を子どもたちに合理的に解決させる」授業を展開しました。

■小学生クラス「みんながいやがる仕事」

小学生の学校生活では当たり前にある当番と係の仕事。またその仕事の決め方として、くじやジャンケンを手段として用いているケースが多くあります。このような状況下で、例えば負担の重い係の仕事について、その仕事をくじやジャンケンで決めることは「公正」なのか。この問題について、子どもたちに比較考量の手法や法的な観点で考察を促しました。

■中学生クラス「これも悪口のうち?-身体的な特徴をみんなに示すことの是非-」

中学生のA子、身長順に並ぶという「ルール」のために、「なぜ自分はいつも前なんだろう」といった「コンプレックス」を持っていました。それを担任の先生に訴えたという事例について、このような状況(「ルール」)が「公正」なのかを議論するために、「目的ー手段モデル(目的の正当性と手段の相当性)」を用いて、このルールが合理的なものなのかどうかについて考察してもらいました。

いずれの授業も、子どもたちから積極的な発言が出され、ほぼ教師の意図通りに授業展開することができました。特にこちらが子どもたちに気付いて欲しいこと。例えば、小学生クラスでは、「じゃんけんは決める前は『公平』だけど、決めた後は『公平』だとは限らない」こと等が発言されました。

この授業の様子は、ビデオに撮影されており、DVD化する予定です。また指導案についても、次回の法教育研究会で授業反省を踏まえ、若干の訂正を行います。その折りの議論についてはここにアップする予定です。

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by yasuhirohashimoto | 2006-08-15 18:35 | 研究のこと | Comments(0)

ジュニア・ロースクール福井2006 1日目

一昨日と昨日、「ジュニア・ロースクール福井2006」が開催されました。福井弁護士会主催で行われる同行事ですが、今年で3年目を迎えます。特に本年度は福井県の不登校対策事業の一環としても行われました。

私も福井大学に赴任して3年目。赴任してから「ジュニア・ロースクール」の企画にもずっと関わらせていただいてきました。

「ジュニア・ロースクール」では福井の小・中学生を対象に公募をかけ、集まった子どもたちは、様々な行事をこなしていきます。

1日目は、以下のような内容でした。

■紛争解決ワークショップ『フェニックス町内会は大騒ぎ』(福井県教育センター)
■裁判所見学(少年審判廷・調停室)+裁判官のお話(質問タイム)

第一段階:『フェニックス町内会は大騒ぎ』は、カラオケボックスが24時間営業にしているために夜中まで騒音公害がひどい等といった「問題設定」の提示

第二段階:この状況について、様々な利害関係者がどのような「考え方」を持っているのかについて、弁護士の先生が寸劇をする中で子どもたちがその状況を掴む。
登場する利害関係者は、以下の通り。

○カラオケボックス店長(売り上げをいかに伸ばす必要があるかについて考えている)
○常連客のOL(ストレスをカラオケボックスで解消している)
○カラオケボックスの隣人(カラオケボックスが24時間営業のために騒音の被害が甚大で、また酔っぱらいの人が問題を起こしている)
○PTA役員(中学生や高校生がカラオケで夜遅くまで遊んでいる状況に眉をひそめている)
○カラオケボックスの前にあるコンビニ店長(夜中の買い物客が増えて喜んでいる。ただ酔っぱらいが増えて、店への迷惑行為が増えている)

第三段階:(この状況の中で)「何が問題になっているのか」について子どもたちに確認させる。

第四段階:各こどもにそれぞれの利害関係者の立場に立たせて、問題になっていることについてどのように考えるのかを追求させる(一人一役)。

第五段階:各利害関係者の立場(5つの立場)の子どもたちを集めて、自分の立場を主張させたり、他の立場の主張を聞くことで、問題状況を分析し、解決策としてどのような決定が望ましいのかを意思決定する。

第六段階:弁護士の先生からの意見を聞く。

大雑把に分析すれば6つの段階に分かれます。

子どもたちからは、それぞれの立場に配慮し、「カラオケボックスに防音壁を作る必要がある」といった政策(騒音被害を減じる政策)や、「カラオケボックスではフリードリンク制度をとっているので、ソフトドリンクのみをフリードリンクとしてはどうか(アルコールは有料)」といった政策(店への迷惑行為を減じる政策)等が出されました。また、カラオケボックスに防音壁を作る場合の費用負担をどうするのかについても検討が加えられました(第五段階)。

弁護士の先生からは費用負担の前にどの程度、防音壁の設置金額がかかるのかが問題になること、その費用負担は、全額カラオケ店が持つのではなく、若干を周辺住民が負担するといった解決策が妥当ではないかといった付言がありました(第六段階)。

私の類型では、紛争(トラブル)解決学習に該当する授業になります。この紛争解決学習の場合、「法政策的な決定フレーム」を重視した法的意思決定(平井宜雄『法政策学』有斐閣参照)を採っている授業と言えるでしょう。

このような授業によって合理的合意的な紛争解決のプロセスを子どもたちが辿ることになり、紛争解決に「役立つ」ルールを結果として獲得することとなります。

ただ、もう一段階深めるためには、子どもから提案が予想される意見について更に深める議論につながるような資料を準備する必要があるでしょう(例えば、防音壁の価格)。その価格によって、費用負担が配分が違ってきますし、意思決定の在り方も変わってきます(当然、店の経営状態などの資料も必要になるでしょう)。価格を複数用意することで、どのような意思決定になるのかについて子どもに辿らせることは、より紛争解決を現実的にまたより深めた形で実施することになります。

この授業は、何回か行うことで子どもの発想が確定していきます。その発想に対応した形での意思決定の「深め方」を今後吟味する必要があるでしょうし、小・中学生を対象としていますから、どこまで「深める」必要があるのかといった点も問題になってくるでしょう。

長くなりましたので、2日目については別途投稿します。

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by yasuhirohashimoto | 2006-08-10 20:23 | 研究のこと | Comments(0)

大阪府松原市中央小学校②

過日、夏季一日研修会で法関連教育についてお話をしました。

私からは講演として、法関連教育について、その学習論とカリキュラム設計の方向性を中心にお話をし、特に市民性育成をねらいとするカリキュラムの一学習論、紛争解決学習の実践例(小学校)をいくつか紹介しました。

中央小学校からは、法(関連)教育カリキュラムの素案と二学期行う授業について提案がありました。中央小学校では、4年生から6年生を対象として、毎学期、法学習問題を設定し、その解決を子どもたちに合理的に辿らせること(意思決定を行わせること)で問題の解決策を考案する(知的ツールを獲得させる)授業を準備しています。現時点では4年生は「正義」、5年生は「責任」、6年生は「権威」のフレームワークを用意し、そのフレームに当てはまる授業を設計することとし、6年生については社会科とのリンクも念頭に置いています。

私からは「(4年生に正義、5年生に責任を置く理由が見えないので)4年生は『法(関連)教育基礎』として位置づけてはどうか。」と付言しました。ただ、その場合、「法(関連)教育基礎」をどう考えるのか、どのような知を「基礎」として位置づけるのか。また「応用」や「発展」をどう考えれば良いのかについて整理する必要があるでしょう。また、正義、責任、権威を学年段階で別々の概念を学習するようにカリキュラム設計するのか、4年生から6年生通して、正義、責任、権威を学べるようにカリキュラム設計するのかについて考える必要も出てきます。

そして一学期と二学期の内容の「つながり」についてどう説明するのか。一つ一つが独立したものなのか、関連づけて考えるべきなのか。私は後者にするべきだと考えています。

次に、二学期行う授業について説明があり、若干の意見を述べさせていただきました。
またいくつか質問事項がありました。特に「権威は子どもにわかりにくい。適切な言葉は何か」といった質問や「権威に関わる憲法や法律について、どこを重点的に(社会科で)扱えばよいのか。どのように扱えば良いのか」といった質問が提示されました。

十分な回答が出来たかわかりませんが、会の後に気付いたこと等については適宜メールでご連絡するようにしています。

中央小学校は、法関連教育カリキュラムを「ぴあルール」と名付けています。「ぴあ」とは仲間といった意味。「仲間づくり」の基本としてルールを位置づけているということです。この名前に合うような内容構成であるように、「中央小学校ならでは」のオリジナルなカリキュラムになるように、今後も助言出来ればと考えています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-08-07 18:51 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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