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高社研/高教研地歴公民部会・福井ブロック研究会

過日、見出しの会が福井県立高志高等学校で行われました。

当日は、私の方から「法教育のあらまし」についてお話をし、法教育の実践例として、
私と高校の先生方との研究会(「福井法教育研究会高校部会」)に作成した日本史の授業「動物愛護法と生類憐れみの令」を提示しました。

「法教育のあらまし」については、持ち時間が20分程度だったこともあり、十分に説明することができず、不明な点も多々あったのではないかと思います。質疑では、「紛争解決学習の事例について、授業の落としどころを定めないと実践が難しい」といったものや、高校での紛争解決学習についての構想についてご質問がありました。

校務との関係で、私の方からのお話が終わり次第中座しました。失礼いたしました。
後日担当の先生にお伺いすると、例年の3倍近くの先生方がお見えになっていたようで、盛会だったようです。

「福井法教育研究会高校部会」は高社研の「研究部会」に位置づけられています。
福井の高校での法教育活動は、高社研との関係抜きには語れません。

今後ともご助言ご協力頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-28 16:07 | 研究のこと | Comments(0)

筑波大学附属中学校研究大会

過日、同校の研究大会に参加してきました。

同校の研究部長である、館潤二先生は法務省の法教育研究会でご一緒していましたし、拙編著本『“法”を教える』にも原稿を寄稿していただいています。

その館先生が「憲法の精神を持つ主権者を育てる」授業づくりに関する研究授業と研究発表をされるというので、楽しみにしていました。

午前中は、京都大学の土井真一先生による「『みんなと共に自分らしく生きる』ための教育」と題する講演。

午前から午後にかけて、研究授業2本。

①関谷先生・歴史的分野「天皇の権威と江戸幕府の政治」
②館先生・公民的分野「『普通選挙の拡大』から学ぶ」

午後から夕方にかけて、館先生による前述した研究発表・質疑といった流れです。

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ここでは研究授業①を取り上げます。

導入「江戸時代の日本の中心はどこだったのか」(江戸が中心なのか、京都が中心なのか、その理由を人口数などから子どもたちに判断させる)

展開1「幕府の役人が作った地図は現在の地図のどのような違いがあるのか」(江戸ではなく京都を標準子午線がしかれていた)

展開2「江戸時代、天皇の『力』はどうだったのか」(天皇の権威の移り変わりを予想したグラフを出し、そのように移り変わった理由を子どもたちに発表させる。また幕末の頃、天皇と将軍の権威が逆転したことについてその背景に気付くよう指導する)

展開3「天皇の権威はなぜ高まっていったのか」(幕府内でも天皇の権威が高まることに対する警戒感があったこと、大嘗会が江戸中期に復活していたことを踏まえ、ききんや打ちこわしの発生など幕府の権威が失われていったこと。相対的に天皇の権威が高まったことを理解させる)

まとめ:天皇の権威が高まる背景には幕府の政治が動揺したこと等があることを理解させる。

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展開2では、「鳴物停止令」(将軍・大御所の死の方が天皇・上皇の死よりも停止期間が長い;将軍の権威が高いことを指す資料)「禁裏御料(皇室の所領が少ないことを示す資料)」「1787年における幕府に対する1500石の救い米が行われた経緯(ききんで苦しむ人たちが御所を取り囲んでおり、その人たちを救うために幕府が米を提供できないか、そしてそのことを朝廷から幕府に指示できないか検討されたこと)」等、10の資料を用いて、将軍の権威と天皇の権威の「力関係」の移ろいを子どもたちに説明させようとしていました。

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指導案の流れ;大きな問い(導入や各展開)の流れは、スムーズに感じられたので、授業を楽しみにしていましたが、いざ授業を拝見すると、それぞれの展開の「小さな問い」の流れがスムーズでなかったために、大きな問いでそれぞれの展開の「めあて;考えるべき問い」を子どもが確認しておきながら、展開の「めあて」とどうつながるのかわからない話が色々と出てきて、結果として子どもは「めあて」に到達しづらい授業になっていました。

また、資料も多く(展開2)、子どもたちが同時間ですべて読み解くことができていないし、そもそもグラフ(折れ線グラフ)で天皇と幕府の権威を比較すること自体に無理があること等、課題が多い授業でした。

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内容的には、知的レベルも高く、資料も見たことのないものがあり「面白い」授業だと思います。指導案の流れ:大きな問いの流れは、スムーズなのだから、小さな問いの流れをうまく組み立てれば良いということです。また、「権威がどちらが上か」といった「曖昧な」問いではなく別の取りを立てて授業を組み替える必要もあると思います。

いつか、本学の学生に「修正案」を教授書形式で作ってもらおうと考えています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-23 17:38 | 研究のこと | Comments(2)

大阪府松原市中央小学校④

今日は過日行われた、公開授業研究会のうち、6年生の授業について報告します。

■6年生「わたしたちの権利・あなたの権利-みんなの権利を大切にして身近なトラブルを解決しよう」

 この授業は、架空のたじひ町で起こった「コンビニエンスストアー建設問題」についてコンビニ建設賛成派と反対派に分かれて議論し、論点を整理した後で、よりよい解決策を模索するといったプロセスで組織されています。この授業で提示される賛成派・反対派の主張は以下の通りです。

▲主張
○お年寄り代表・うめこさん(歩いて15分もかかるスーパーに行くことが難しい。コンビニが近くに出来れば安心だ)
○コンビニ店長・つよしさん(土地を手に入れてようやく店を建てることができた。ここなら競争店も少なく、成功できると考えたのです。今更建てるなと言われても困ります)
○たじひ町会長・まもるさん(この辺りは周りに店もなく街灯もなくて夜は暗くて危険だった。コンビニが出来れば人通りも多くなるし、さびしかった町もにぎわうだろう)

●たじひ町小学校児童会長・きよしくん(小学校の近くにコンビニが建ったら、帰り道に買い食いする子が出てくる。またお酒やたばこも販売しており子どもに悪影響がある)
●近所の人・せつこさん(24時間営業で、深夜に人が集まるとうるさくて寝られません。その上、食べたゴミなどが散らかされたり、周りの環境も悪くなる)
●駄菓子屋さん・ちよこさん(コンビニが出来ると、こどもはそちらに流れる。そうすれば細々とやってきたこの店もつぶれてしまう。その後、どうすればよいのか)

このような登場人物の持つ「権利」(侵害)について確認した後で、それぞれの持つ権利(侵害)の「調整」の結果、どのような政策が望ましいのが意思決定させるといった授業になります。

***

批評会では私の方から以下のコメントを出しました。

□問題が複雑になりすぎている。また子どもの意思決定が教師の予想外の方向に向かう可能性がある。
→焦点を絞って、意思決定させたり、この問題を取り上げる場合でも答えを教師の方でいくつか用意し、その答えを子どもが選ぶ理由を問う等して、問題の解決に一定の「しばり」を設ける必要がある。

□これらの主張をすべて「権利」主張として正当化できるのか。また「権利」主張をする場合の軽重を子どもに判断させるよう(意識させるよう)授業を組織する必要がある。
→「権利」にはその問題状況下において、どの権利を重視するべきかが問われることとなり、その点を授業の折りに強調する必要があること。すなわち、この授業の目的の一つに、「権利」と「権利」が葛藤する場面があり、その「調整」で社会が成り立っていることを理解させることがあるので、前述の点を意識して授業が組まれる必要があること。

批評会では、「ロールプレイを授業の中でどのように位置づけるのか」といった議論もなされました。ロールプレイで最終的な意思決定まで行わせる場合とロールプレイをあくまでも問題状況を把握するための手段として考える場合、どちらが良いのかといった議論です。授業のねらいをどこに置くのかで前者になるのか後者になるのかが変わってくるでしょう。

 また、この問題はコンビニの建設前の設定になっていますが、コンビニ建設後に例えば夜中に騒音がなってうるさいといった状況にした方が「確定した事実」で議論が進むこととなります。その場合、コンビニ建設後の24時間営業の是非などに問題設定を変えることになりますが。

 これまで同小学校では取り組んだことのない授業設計ですので、子どもも慣れておらず、先生方も大変ご苦労されています。今月末には研究発表会が控えています。出来る限り、助力していきたいと考えています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-17 10:50 | 研究のこと | Comments(0)

大阪府松原市中央小学校③

過日、公開授業研究会に伺いました。行われた授業は以下の通りです。

■4年生「図書の貸し出し日数を公平に分ける方法を考えよう」(配分の公平性)

この授業は、「夏休みの本の貸し出し」について発生した問題状況、すなわち、生き物図鑑を借りたいと願い出た子どもが6人いた。でもその本は1冊しかない。夏休みに学校に来て交換できるのは、下記のような日程しかないので、4人しか借りることができない。さあどうすれば「公平」に分配できるのか考えてみよう。といった問題です。

▲日程
①7月25日~7月30日(5日間)
②7月30日~8月2日(3日間)
③8月2日~8月20日(18日間)
④8月20日~9月1日(10日間)

それに対して、子どもたちは以下のような条件を持っていました(なお配分的正義で使用する観点は、必要性・適格性・能力になります)。

○やよい(よく図書係を手伝っている:適格性)
○ゆたか(夏休みの自由研究で使いたいし、この図鑑にしか載っていないもので自由研究をしたいと考えている:必要性)
○ひろき(前に借りた子が次に自分に貸してくれると言っていた。一番先に借りるのは自分だ:3条件に当てはまらない)
○ひとみ(他の5人は図鑑を1回は借りたことがあるが自分はない:適格性)
○あやね(自由研究で使いたいが、乗り物図鑑や植物図鑑をなくしている:必要性はあるが適格性がない)
○あつし(1週間したら田舎に帰ってしまう。田舎のかえるについて調べてから田舎に帰って自由研究をしたいので、最初の5日間だけ貸して欲しい:必要性)

これらの子どもたちを①~④のどれに当てはめて、図鑑のレンタルを認めるのか。その理由は何かについて議論するといった内容が本時の展開でした。

***

批評会では、私の方から以下のようなコメントをしました。

□6人から4人を選ぶといったことになり、自由に議論させる形式では「収拾が付かなくなる」
→子どもたちの議論が集約しやすい人から埋めていき(例えば、ゆたかを18日に当てはめる子が圧倒的に多い。また、ひとみは20日が多く、あつしは5日が多い)、議論がある点に絞って考えるように工夫する必要があること。

□子どもたちが理由を答える場合が、「よく手伝っているから10日」のように、他との比較の観点がない。
→これについては発達段階もある気がしており、発達段階を踏まえた教材となっていたのか、少し難しくなっていなかったのか。今後精査する必要があること。

ただ、法関連教育の授業としての「方向性」は間違ってはいません。また今月末の研究発表会では別の題材で授業実践を行います。しばらくご苦労をお掛けしますが、中央小学校の先生方、宜しくお願いいたします。

なお6年生の実践については後日。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-14 19:14 | 研究のこと | Comments(0)

後期の講義から②

後期担当している講義に「社会科教育法Ⅰ」があります。

中学校社会科教員免許状における必修科目で、本年度は20数名が受講しています。

以前のブログにも書いたのですが、本年度は15講義を通してのテーマを決めて展開しています。

社会科教育法Ⅰのテーマは、「社会がわかるとは何か」です。

このテーマに沿って「社会がわかる」授業とはどのように構成される授業なのか。地理・歴史・公民の各分野で授業設計する場合は、どのような点に気をつけて授業を作れば良いのかについて、学生さんは学習していきます。授業構成論的な内容が中心になっています。また、このような講義に不可欠な「社会がわかる」授業実践例を豊富に取り上げています。

やはりたくさんの「良質」な指導案を見ていくこと。これから教育実習に向かう学生さんにとって大切なことです。「良質」な指導案とはどのようなものなのか。「良い」社会科授業の条件をそこから見出してもらい、自分たちの中に基準を作っていってもらえればと思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-08 18:25 | 教育のこと | Comments(0)

冬の足音

今日の福井の天候は荒れ模様。今、外ではアラレが降っています。

気温も学会開催時はクーラーを付ける必要がある位、平年に比べ高かったのですが、
先ほど外出すると、秋を通り越して、初冬の気温です。

これも一過性のものでしょうが、一歩一歩、冬の足音が聞こえてきます。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-07 13:14 | 雑記 | Comments(0)

後期の講義から①

後期の講義に「社会教材研究」があります。

小学校教員免許取得のためには必修の講義で、今年度の受講者は90名以上になります。
この講義は、前期に寺尾教官の講義、後期に私の講義と、年2回開講されており、どちらかを履修・修得すれば良いのですが、なぜか今年度は、私の方に履修者が集中しています。

昨年度までは50名程度でしたので、毎年講義後半に行う「授業プランづくり演習」も時間を十分取って行えました。例えば、昨年度は、

■授業づくり→3回
■授業プラン・中間発表→2回(すべての斑が発表;ここで厳しい指導)
■授業プラン・最終発表→2回(すべての斑が発表;更に厳しい指導)

の形式でしたが、今年は事情が事情ですので、

■授業づくり→3回
■授業プラン・発表→4回(4回ですべての斑が発表)

の形式に変えました。「授業プランづくり演習」の回数は同じですが、私が斑の発表を指導する機会はこれまでの2回から1回に変更になります。ただこれまでの1斑当たりの指導時間を増やすことにしました。

学生の皆さんも小学校社会科の指導案を作成すること自体初めてですので、私が講義で取り上げる「理想の指導案」のようには出来ませんが、少しでも近づけるように頑張って欲しいものです。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-07 13:08 | 教育のこと | Comments(0)

全国社会科教育学会⑦

先週末、10月28日・29日に本学教育地域科学部で開催されました。

当初予定していた360名を上回る430名前後の参会者がありました。
参会していただいた方、厚く御礼申し上げます。

「当日参加」でお見えになった方が予想を大幅に上回っていたため、発表要旨集録が足りなくなる失態がありました。また、学会運営は、兵庫教育大学に勤務していた際、経験はあるのですが、全社学規模の学会運営は初めてでしたので、何かと不十分な点があったかと思います。お詫び申し上げます。

今大会は昨年に引き続き、韓国からお二人の先生をお迎えし国際色ある学会になりました。また、これまで前例がなかったのですが弁護士の先生による学会発表もありました。シンポジウムや課題研究については、設定したテーマが難しかったのですが、登壇の先生には十分なご発表を頂いたと感じています。「21世紀社会科の革新」を示すことができたかは参会者の評価をこれから伺っていこうと思います。忌憚ない意見を頂ければ幸いです。

最後に、本学会のスタッフの皆様に感謝いたします。大きな学会を運営するのは自分一人ではできません。全てのスタッフの皆様の献身的な活躍で無事に学会を終えることができました。厚く御礼申し上げます。
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by yasuhirohashimoto | 2006-11-02 09:14 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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