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Jo-ann Amadeo女史講演

先日、広島大学にて、科研の講演会が開催されました。

私も共同研究者の立場で関わっている「市民性調査研究」に関しての内容。AmadeoさんはIEAの市民性国際調査に関わっておられた先生。Close-Up Fondationのカリキュラム部門の次長の立場におられる方です。

今回は、市民性調査の作成目的、作成経過、実施結果の分析状況について報告されました。

調査は、二段階で行われ、第一段階は1990年代中頃に全国規模でのケーススタディ:各学校にてシティズンシップ教育がどのように企画され位置づけられているのか、それぞれの国々でどのような概念の理解を重視しているのか等 に関する調査であり、その調査をふまえて、テスト及びアンケート用紙の作成に入り、第二次調査として実施するといった流れ。

第一段階の調査で判明したのは、三つの国際的な分野を設定する必要性があること(三つの分野が国々共通してみられた)。その分野とは、①デモクラシー ②ナショナル・アイデンティティ ③社会の一体性と多様性 。

第二段階の調査では、①~③を念頭に置いて作成した調査について、9万人の14歳(28カ国)と5万人の高校生(16カ国)を対象に実施し、その内容は市民的知識と技能に関するテスト及び、態度ならびに行動に関するアンケートで構成。また、生徒個々の背景情報に関する問題も出題されました(高校生には経済についての知識調査も行われました)。

第二次調査の結果の分析は以下の通りだそうです。

(1)ほとんどの国において、生徒たちは民主主義についての基本的な理解を有するが、詳細な内容知識は不十分である。
(2)ほとんどの生徒が選挙で投票することの重要さを認識している。
(3)市民性知識が高いほど、市民的活動に参加しようとする姿勢も多く見られるようである。
(4)選挙での投票を除くと、生徒たちは伝統的な形の政治参加(生徒に入党したり、投書する)については批判的であるが、そのほかの形態の市民的参加については好意的である。

といった内容。また、

(5)政府機関への信用の度合いは各国間に大きな差がみられた。年齢が低い生徒のほうが年長者に比べて、より信用度も高い。
(6)移民と女性の権利に対しては、ほとんどの生徒が肯定的な態度を表明していた。
(7)18歳の知識レベルは14歳より高く、特に18歳男子に関しては特に経済分野の知識が女子よりも高かった。

という結果も出ています。

また、共通して「司法に対する信頼が高い」という結果も出ているようです。

面白かったのは、チリ・コロンビア・ポルトガル・アメリカ合衆国における子どもたちのテレビニュースと自国政府に対する信頼度に関する分析。

自国政府やテレビニュースに対する信頼度が高かったのはどの国の子どもたちだと思いますか?

チリやコロンビア、ポルトガルは、テレビニュースに対する信頼度が高いんですよね。その一方で三カ国は自国政府への信頼度は低いんですが。アメリカは両方低い。

「信頼度」が低い方が、市民性が付いている(相対的に事象を見ることができる)という解釈もできるでしょうから、やはりアメリカが市民性が高いと言えるのではないでしょうか。

質問・質疑の中では、「日本でなぜ市民性調査を実施しなかったのか」について当時の「担当者」もおられましたので、当時の判断に関する説明もありました。

講演の後、昼食会で御一緒しました。ご多忙のようで、日本滞在は数日。直ぐにワシントンにとんぼ返りだそうです。初めての来日だそうですし、十分な観光の時間も取れず残念そうでした。

***
講演には広島のドクターやマスターがおられたのですが、流ちょうな英語で質問している方が複数おられました。そんな時代になったのですね~
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-29 18:13 | 教育のこと | Comments(0)

お茶の水女子大学附属小学校研究大会。

過日、見出しの研究大会に参加してきました。
同研究大会は、毎年この時期に開催され、従来の教科目とは異なる「枠組み」でカリキュラムが構成されており、特徴的であること(「市民科」があります)。また、「年度末」ということもあって?多数の参加者がある大会です。

1日目は私は出席できませんでしたが、

□「携帯電話を優先席付近で使用する問題について考えよう」をテーマにし、「お客様」「鉄道会社」「携帯電話会社」の「言い分」をふまえながら、どの立場がリーダーシップをとって問題解決にあたることが良いのか。その理由(根拠)を示しながら提案するといった授業(5年生)

T北学院大学のY先生が以前社会系学会誌に投稿された論考に関わる内容ですよね。

2日目の授業は以下の通りです。

□「沖縄本島に転勤させられた会社員が、沖縄に新しい会社を作ることを命ぜられる。ただし、条件がある。その条件とはそこの地形や気候を生かしたものとすること。また、沖縄に住む人々の生活も豊かなものにすること」この課題について、地形と気候を生かしどのような会社が作れるのかについて、「沖縄の産業」「沖縄の交通網」などを調べ根拠を示しながら提案するといった授業(5年生)
□「少子高齢社会が進んでいる現状の中で『高齢者の医療も国民全体で保障する制度にするべきなのか』『高齢者の医療は、自分自身で責任をとっていくべきなのか』の考え方がある」ことを示し、二つの立場について、話し合いを通して、これからの時代に求められる医療保険制度や改革のアイデアを提案するといった授業(6年生)

私は二日目の授業しか参観していませんので、感想を少し。

そもそも同小学校が考える「市民科」とはどのような教科目なのか、その位置づけが見えにくくなっているのではないか。「市民科」を社会形成的な論理と捉えた場合、「社会を形成する上で必要な論題(社会問題)」が取り上げられる必要がある。「少子高齢」の授業は、今後の社会をどう作り上げるのかについて検討する上で大事な論題であるので社会形成の論理に当てはまるのだが、「沖縄の授業」で決定される意思は個人のレベルに止まる内容。社会形成の論理につながりにくいと考えられるが、いかがかということ。この疑問は、同校市民部が「市民科」と「社会科」の違いをどう考えるのか、同校市民部の研究テーマである「社会的意思決定・価値判断力を育てる市民科」といった場合、本当に「社会的意思決定・価値判断力を育てる市民科」なのか。「社会的意思決定・価値判断力を育てる授業」だけではないのか。「社会的意思決定・価値判断力を育てる市民科の授業」に本当になっているのか。「社会的意思決定・価値判断力」の育成と「市民科」の論理が必要・十分なものになるための要素は何なのかということ。この辺りをそろそろはっきりする必要があるのではないでしょうか。

お茶の水の「市民科」の取り組みを三年連続で拝見させてもらい、授業自体は「進歩」しているなというのが感想なので、一通りこれまで作られた授業を振り返りながら、上記の課題の答えを見つめ、さらに研究を進展していただきたいなと考えました。

授業が終わった後の「批評会」では、『シティズンシップの政治思想』でも有名なお茶の水女子大学の小玉重雄先生から、以下の指摘がありました。

(1)教師の関わり方をどうするのか。『集団のペダゴジー』の中に「『教える』から『中断』するへ」の考え方がある。「中断する」とは、子どもの思考の「深まり」を吟味すること。この考え方が大切だということ。そして評価について、シティズンシップでは「個人の中での変容を看取る」だけでは評価はできない。「集団の成長・関係性の変容を看取る」ことが大切であるということ。
(2)憲法をどう扱うのか。英国シティズンシップ教育の「推進役」バーナードクリックは「クリックレポート」の中で「憲法教育はシティズンシップを阻害する」と述べている。このことは憲法教育が、建前・理念教育に陥ってしまい、理念に基づいてどのような政治が行われているのかといった現実を子どもたちにわからせることを遠ざけてしまう。この点から後者の授業は憲法社会権の考え方を教えるのではなく、憲法社会権の考え方が反映された現実社会を教えている。この点がシティズンシップ教育であるということ。また、授業場面で政治に対する「絶望」が子どもたちから語られていたが、その「絶望」を乗り越え、社会をより批判的能動的に考えることができる「肯定的」な内容編成が小・中の連携の中で考えなければならない。
(3)小学校における「市民」は中学校に拡げる必要がある。「沖縄の授業」では「ゴーヤ料理を作って売る」といった発想が出てきた。その場合、黒糖とゴーヤの料理といった内容が提案されたが、これは家庭科的な内容である。「市民科」の場合、他教科に拡がる要素を抱えたのが「市民科」であり、従来の教科の枠組みでは語れない内容編成が必要になってくるし、従来の教科の枠組みをどう取り払い、どうカリキュラムを構成するのかが課題になってくる。

小玉先生の話以上に私が解釈した内容が含まれていますので念のため。
また、梶井貢先生からも授業構成の特徴と課題についてコメントがありました。

***
研究大会には、大学の教官が多く参加されていました。やはり「関心の的」なんですよね。二月は、千葉大学・お茶の水女子大学を訪れ、勉強になりました。三月はドイツ・ドレスデン、ベルリンを訪問します。学校訪問あり、政治教育の先生を訪ねたり、州のカリキュラム構成に関するヒアリングを行ったりと盛りだくさんの予定です。後日詳細はアップしますね。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-24 16:55 | 研究のこと | Comments(1)

岩田一彦先生ご退職記念論叢 社会認識教育実践学・・・

私も大変お世話になっている兵庫教育大学の岩田一彦先生が今年度でご退職になられます。これまで、岩田一彦先生の下で修了していった院生の方々(以下、岩田ゼミ生)は大学や教育委員会、高校・中学校・小学校の現場でご活躍され、教科教育指導(研究)や管理部門等で「リーダー」的立場に立たれている方が多く、力量のある修了生を多数出されているということ。すなわちそれは修了生の力量もあると同時に特に教科教育指導(研究)にあっては大学院時代の岩田先生のご指導の「賜物」といっても過言ではないでしょう。

その岩田ゼミの皆さんが以前論文として執筆されたものを「改訂」され綴った書籍が過日刊行されました。

社会認識教育実践学研究会編著『岩田一彦先生ご退職記念論叢 社会認識教育実践学の構築』東京書籍

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(画像が悪くてすみません)

この書は、岩田先生の御著書『社会科固有の授業理論30の提言』の章立てに準じています。

第1章 社会科カリキュラム論・社会科授業構成論
第2章 社会科における知識論・認知科学論
第3章 概念探究型社会科論
第4章 価値分析型社会科論
第5章 社会認識の空間的・時系列的位置づけ論
第6章 社会科教授方法論・社会科教員養成論
第7章 社会認識・市民的資質の評価論

そしてそれぞれの章立てに「改訂」された論文、3~12を当てはめています。すなわち、「岩田理論」の研究過程に修了生の執筆した論文を位置づけることが可能であり、同書の出版によって、修了生の論文が「岩田理論」をより「具体化」したものであることを示す「ねらい」があると私自身は考えます。また、それぞれの章の最初には、それぞれの章に位置づけることができる論文を評する「コラム」が設けられ、兵庫教育大学に勤務したことのある大学教員他が執筆しています。

さて、私も第4章の価値分析型社会科論の論考を「評」しました。

価値分析型社会科論の研究手法-方法研究アプローチと内容研究アプローチ-

紙幅が3頁ということもあり書き足りない部分があって、わかりにくいかと思います。ご覧頂き、ご意見いただければ幸いです。

また、コラムの第5章分を執筆されているN教育大学のK先生の論考は興味深いです。これまでほとんど触れられていなかった「岩田理論」と「森分理論」の違いを明確に論じた内容だからです。このコラムも是非ご一読下さい。お二人が標榜される「概念探求学習」論の“違い”がよくわかります。

岩田先生も「定年」を迎えるだけで、実際は兵庫教育大学に特任教授で残られるようです。これからも社会科教育学研究を第一線で率いていかれることでしょう。今後の先生の研究成果から目が離せないですね。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-23 19:16 | 教育のこと | Comments(1)

市民のための法教育委員会(200802)

過日、テレビ会議で見出しの会議が開催されました。
当日は委員会終了後、大阪弁護士会の法教育委員会のメンバーとの「学習会」があったので、大阪会場に出席。

今回は札幌・愛知・仙台・大阪、そして東京を結んでのテレビ会議。
音声も画像もリアルタイムで、スムーズな進行が可能。「便利な世の中」になったものですね。

今回の議題は、「各地の取り組み」と法務省・文科省の取り組み、来年度の計画等について意見交換・議論されました。

これまであまり進んでいなかった「中国弁連」も委員会を立ち上げ、取り組み始めましたし、岐阜では法教育研究会の立ち上げが進んでいるそうです。福井にいるとわからないのですが、同委員会に出席すると、徐々にですが全国的な拡がりを見せていることが実感できます。

***
委員会の後は「学習会」。今年、近畿弁護士連合会は冬に「法教育」のシンポジウムを予定しています。その企画を練るための「学習会」。大阪弁護士会所属の弁護士先生からは「学習指導要領改訂における『法教育』」「諸外国の『法教育』の動向」「発達段階に即した『法教育』:小学校・中学校・高校で学ぶ場合の留意点」について話を用意してくださいとの依頼があり、レジュメに沿って説明しました。一緒に渡米したことのあるK井弁護士やK村弁護士もおられましたし、若手の弁護士さんも参加されていました。大阪はとても熱心に活動されています。「法教育」シンポジウムも楽しみです。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-21 12:41 | 研究のこと | Comments(0)

卒論発表会。

過日、社会科教育ゼミの卒論発表会が開催されました。

今年は、お二人の卒業生が以下のテーマで卒論を仕上げました。

□討論を活用した社会科歴史授業の研究
□子どもの学びを深める板書の研究-小学校社会科を事例にして-

前者は、「歴史認識段階(事実認識・関係認識前段・関係認識後段)」「子どもの思考段階(矛盾発見・仮説形成・仮説検証))」「推論段階(仮説的推論・演繹的推論・帰納的推論)」といった三つを宮原武夫氏や米盛裕二氏の緒論から導き出し、三つの(細分化された)段階を組み合わせて「討論を用いた歴史認識形成のフレームワーク」を措定した上で、「討論を活用した歴史授業」を作成するといった内容。ただ、発表会でも指摘しましたが、フレームワーク自体は、歴史認識形成の一般的な授業にも当てはめることが可能な枠組みになっており(このフレームワークは意義があるものだと思います)、敢えて「討論を活用した~」とするには幾分無理があるのではないかといった点は課題でしょうか。
後者は、小学校社会科における一般的な学習過程として、「問題把握の段階」「問題追及の段階」「まとめの段階」があり、それぞれの段階に対応した「望ましい板書」について小河重信氏の論を引用し、実際にご自身が行った教育実習での授業に適用し、「望ましい板書」について開発したといった内容。板書の研究はこれまでほとんど聞いたことがないので、研究をする自体意義があると思います。もっとたくさんの授業事例・板書を集めて、帰納的に研究していくのが良いのではないでしょうか。

卒論発表会の後は、M1の修士論文中間発表を行いました。今年の社会科教育のM1はいずれも現職派遣。来年は現場に勤めながら修士論文を書かなければなりません。ご苦労されることだと思います。

また、学部三年生にも卒論でどのようなことを研究したいのかについて発表してもらいました。学部三年生はまず教員採用試験。この「関門」を突破するように、まずは教採試験の勉強をしっかりとしてもらいたいものです。

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***
卒論発表会の後は、「追い出しコンパ」。4年生から美味しいお酒を頂きました。どうやら私には「お酒をプレゼントすれば良い」といった考え方が定着?したのでしょうか(大学院生や現職の先生方からもらうのは「お酒」が多いので)。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-20 12:35 | 教育のこと | Comments(0)

「法教育」Q&Aワーク・・・他

本日の新聞に「学習指導要領改訂」に関する記事が掲載されています。
是非、精読してください。

私が購読しているA新聞は、一面トップで、2面に渡って詳報されています。
社会科に関しては、よく整理されていると思いました。

「学習指導要領改訂」については後日感想をアップしようと考えています。

***
さて本日は、その「学習指導要領改訂」に合わせたように出版された2冊を紹介します。
1冊目は、「法教育」に関する新刊本。

<新指導要領>ニュー教材シリーズ1 「法教育」Q&Aワーク 中学校編

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江口先生や渥美さん、弁護士の鈴木先生が編集に当たられたようです。主に社会科で実施することを想定した「法教育」実践集のようです。


もう一冊は、「言語力」に関する新刊本。

「言語力」をつける社会科授業モデル 小学校編

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今時改訂の「目玉」とも言える「言語力」について、文科省の「言語力育成会議」委員や中教審の専門部会主査を務められた岩田先生、また兵庫教育大学の米田先生のお二人が編集された書。「習得」「活用」「探究」。「読み取り」「解釈」「説明」「論述」がキーワードになる訳ですが、おそらくこれらのキーワードを社会科授業に落とした場合、どのように構成できるのかについて具体が示されている書籍。また、構成するための方略が記されている書籍。だと拝察しました。

私自身も、明治図書が出版している『社会科教育』の4月号から一年間連載することになっています。テーマは、“歴史事件”を現代の裁判制度で読み解く。福井県の中・高校の先生方との共著での連載。この件についてもご意見いただければありがたいです。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-16 11:50 | 教育のこと | Comments(2)

神戸大学集中講義。

昨日まで見出しの件のために、神戸・三宮に滞在していました。

神戸大学は、旧教育学部(現在は発達科学部)に、私の学部時代の「恩師」であるI藤先生が在籍されたこともあります。現在は、社会科に関して様々な著書を出版され、イギリスのシチズンシップ教育についての論文も出されているI谷先生が在籍されています。

今回の集中講義はそのI谷先生に依頼されてのもの。「公民科教育論A・公民科教育論Ⅰ」を担当しました。

受講生は19名。発達科学部だけでなく、文学部の社会学や心理学専攻、また経済学部の学生さんも受講されていました。

今回は、いつもの「公民科教育法・集中講義バージョン」を多少アレンジした形で講義を進めました。通常のバージョンは、

(1)学習指導要領の解説
(2)公民科授業分析(5事例)
(3)公民科授業プランニング・模擬授業

と、三日間でやるにはハードな内容です。今回は、

□学習指導要領の解説は現在改訂作業が進められているので省略
□公民科の授業分析を5事例から8事例に増やし、現行の学習指導要領公民科(「現代社会」「倫理」「政治・経済」)の特徴を示す授業であり、合理的意思決定(社会問題解決)型や開かれた価値観形成型、道徳的価値注入型、概念探求型、社会的価値探求型等に位置付く授業を分析する中で、それぞれの意義・課題を明らかにする。
□授業分析をふまえ、公民科授業プランニング・模擬授業を行う。

といった構成に変更。さらに「ハード」になったかも(苦笑)。

私自身は、T橋先生の『授業診断』のように一つの枠組みで様々な社会科授業を分析するといったプロセスを学生さんに経験させながら、社会科授業のあり方を考察させるといった講義(演習)を常々行いたいと思っているので、今回分析する授業数を増やしたのは先述の意図があったから。ただ、公民科の学習指導要領の解説もしたいという「二兎を追う」ので、一つの枠組みで語るためには必要だけど、指導要領の特徴を示す授業とは必ずしも言えない「合意形成」型や「社会参加」型は排除されてしまいます。「二兎を追うものは一兎を追えない」のですね(笑)。

***
講義は順調に進み、昨日午後、模擬授業を行い集中講義は終了しました。模擬授業のテーマは、

□政府の役割
□独占・寡占
□平和主義
□原子力発電
□食糧安全保障

でした。模擬授業者はいずれも手慣れた?感じでした。特に「政府の役割」の模擬授業を担当したK君はすぐに現場に出て公開授業をしても「高評価」される授業者でした(授業の進め方・問い出しの仕方・板書の仕方・生徒への対応等々)。これは「持って生まれたもの」でしょうね。後は授業内容がしっかりしていればの話ですが。

これまで「のんびり型」の集中講義を受講してきたようで、今回のような「ハード型」は初めてだった学生さんもいたようです。きっとお疲れでしょうが、レポート提出まであと一頑張りしてくださいね。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-14 15:13 | 教育のこと | Comments(1)

福井-東京-神戸

昨日の大学院入試業務を終え、本日早朝より上京。
東京にて、とある会議に出席するため。

朝一番の特急「しらさぎ」に乗車。
どこかで拝見した方が、「お隣さん」でした。
本学のS教官。組合でもお世話になっているのですが、
同じ教科教育領域ですし、「教科の固有性」を大切に考えておられる
先生ですので、いつもお話しをさせていただくと「共感」させられることが多い先生。
1時間ばかりの間でしたが、色々と勉強させていただきました。

米原で新幹線に乗り換え。
福井はもちろん雪なのですが、珍しく太平洋側も雪景色。
そのため乗車した新幹線「ひかり」も20分の遅れ。

福井から東京へ移動する場合は、「しらさぎ」&「ひかり」が定番。
私が福井に赴任した頃は、「ひかり」の乗客は少なかったのですが、
最近JRが「ひかり」の運賃を「のぞみ」と比較して安くしているせいか、
やたらと乗客が多い。「しらさぎ」は予約が取れるのに「ひかり」の
予約が取れないケースがたまにあります(連休などは「良い時間帯」について予約がとれないケースの方が多い)。

「早め早めのパブ●ン」ではないですが、「早め」の予約で問題は解決するのでしょうが、北陸から東京への「貴重なアシ」がこのような状態では・・・

さて東京での会議は夕方5時前に終了。
今度は神戸に移動。
明日から、神戸大学で集中講義です。

新幹線「のぞみ」に乗車したのですが、同じ会議のメンバー3人が同じ車両でした(笑)。
お互い、疲れていますので、それぞれ「自分」の時間を過ごす。

現在は、神戸・三宮のホテルに滞在。

初めて宿泊するホテル。そしていつも通り「安宿」を予約。
価格が相当なので、どんなものかと不安でしたが。
インターネット環境も整っているし、風呂も広い(これ大切なポイント!)。
「価格よりもお得感のある、良いホテル」です。

連休ということもあるのでしょうが、宿泊客が多いのもうなずけます。

http://www.unionhotel.jp/

明日から3日間、集中講義。どんな学生さんが受講しているのか、楽しみです。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-10 21:39 | 雑記 | Comments(0)

千葉大学教育学部附属小学校研究大会。

一昨日から千葉に出張に出かけていました。

出張目的は、見出しの会に出席するため。

同校の社会科部は、ここ数年間、法経学部や教育学部教官と協働で「法」授業づくりおよび実践を行ってきました。

特に現行の小学校学習指導要領社会に当てはまる「法」授業を開発している(「『法』資料を用いた社会的見方・考え方の育成する授業の開発」が正式な研究題目)といった点が同校のオリジナル。

私の研究もそうですが、アメリカ合衆国の法関連教育のカリキュラムや授業の枠組みから、「演繹的」に授業をつくる場合、そもそもアメリカ合衆国は法関連教育を法関連教育として実践しているのでカリキュラム・科目上の位置づけの問題は起こらないのですが(最近アメリカでは法関連教育は公民(Civics)に入れ込まれているのですが)、日本にその教育を読み替えると、社会科に当てはまったり、道徳であったり、総合であったり、特別活動であったりします。どうしても「広領域」になります。

学習指導要領の中で法授業づくりがどの程度できるのか、現行要領の内容をふまえて、法授業をつくる。誤解を恐れずに言えば、法関連教育の「枠組み」はあまり考えずに。そういった「帰納的」なアプローチをしているのが、同校の研究です。

今回は、4つの社会科(的)授業を拝見しました(同校は社会科部3名+帰国者教室1名=4名の社会科担当の先生がおられます)。

(1)パイロットの守るべき「ルール・規則」は何かについて吟味する中で、パイロットが「安全」運行をするために様々なルールに「縛られている」こと。「法」の授業作り的にはルール・規則には合理的な目的があるということを学べるようになっていた授業。
(2)「千葉ルール」(スーパーのレジ袋を有料化する)が機能していない(ルールが普及していない)現状について、それはなぜなのかを事業者・消費者・行政の視点から考察する授業。「法」授業作り的にはルール・規則の評価を行うことが出来るようになっていた授業。
(3)校内暴力に関する損害賠償請求の事例を通して、立場を変えるとどのような見方ができるのかを考察することが出来るようになっていた授業。「法授業作り的には、「公正」な判断力を育成することが出来るようになっていた授業。
(4)公害防止の歴史的経緯の中で、千葉県では大気汚染防止法を一歩進めた「公害防止協定」が企業と自治体との間で結ばれたこと理解する授業。「法」授業作り的には、「協定」の意義と法や条例との違いについて学ぶことができるようになっていた授業。

いずれもチャレンジングな授業だったと思います。ただ、

(1)については、「なぜパイロットなのか。市民の安全に携わる仕事である警察や消防で代替できるのではないのか」といったこと。
(2)については、「行政」の立場が授業であまり踏み込まれていなかったこと。「行政」の立場が、「消費者」や「事業者」を結びつけひいては「法化」につながるのではないのかといったこと。
(4)については、協定の締結について、企業と自治体との関係性に焦点を当てすぎていたので、結果として協定を求める市民の考え(協定が結ばれる背景)が見えにくくなっていたこと。

等が疑問として残りました。先生方からは、質問した(2)(4)について、「発達段階もあり、視点を増やすことは難しい」との回答がありました。

***
やはりこの手の研究では、体系性(小・中・高校の一貫性)が捨象されてしまいますね。小学校社会で「できること」を研究していますから(中学校では中学校で「できること」。高校では高校で「できること」の研究になりがちです)。それと、そもそも学習指導要領社会は「法」授業づくりを念頭に置いて作られていないのですから(もちろん体系性はありません)。

少し厳しいことを書きましたが、しかし、「現場で直ぐに社会科で実践するにはどうすればよいか」「今ある単元で考えたら『法』授業はどうなるのか」といった問いに一定程度の回答を得られる研究だと思います(評価しているということです)。今後のさらなる研究の進展が期待されますね。

***
千葉大学は、私の大学の先輩であるT先生や、「法教育」を研究しているMさんがおられます。
昨日は夜遅くまで御一緒に語らいました。お付き合い頂きありがとうございました。
また、つい最近、T先生始めとした研究グループは、これまでの成果をまとめた書籍を明治図書から出版されています。拝読しましたが、良書だと思います。是非、興味のある方は購入されたらいかがでしょうか。

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by yasuhirohashimoto | 2008-02-07 20:30 | 研究のこと | Comments(0)

社会科系教科授業研究会 in 岡山

過日、見出しの研究会に参加してきました。

岡山大学のK先生が中心となって学内の予算で研究会を本年度立ち上げ、会は早くも三回目。

1回目はK大学のN先生のよる「憲法学習」の講演、2回目はH大学附属小学校のO先生による実践報告。今回は私が講演を依頼されていました。

演題は「学習指導要領改訂と法教育の導入」。
中教審でも「新しい教育課題」として「法教育」が取り上げられているということもあり、「法教育」への関心が高まっていることを示すかのように参加者が多く、盛会でした。なお会には、小・中・高等学校の先生方、大学院生・学部生、また、「法教育」の実践には欠かせないO弁護士会のY先生やM先生、岡山大学法学部のお二人の先生も参加されました。

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私は大きく四つの柱で講演しました。

(1)「法教育」の「3原則」(理念編)
(2)「3原則」に即した場合、授業はどのように構成されるのか(実践編)
   ①「配分的正義」の授業(松原市中央小学校による実践)
   ②「ルールのランキング」の授業(福井大学教育地域科学部附属小学校による実践)
(3)現行学習指導要領における「法教育」的学習の特徴と問題点
(4)学習指導要領改訂と「法教育」の導入

1時間という「短い」時間であったことと、私が少し話を詰め込みすぎた影響もあり、聞き手にとってはハードな一時間だったと思います。

講演後、教育センターのK指導主事から「社会科中心になるのか、周縁科目での対応になるのか。社会科であれば社会科担当教師の研修、また周縁科目で行うのなら、社会科以外のすべての教員の研修をどう構成するべきなのか。そもそも、社会科と社会科以外で何を担うのかについてはっきりさせないといけないのではないか」といった趣旨のご発言がありました。また、「社会科でどこまでを射程に入れて、法学習を構成するのか」「高校の場合、科目毎に細分化されている。例えば日本史や世界史の教員が法教育を行う場合、どうすればよいのか」等々のご指摘を頂きました。

前2つの質問については、法学習の科目毎の「差別化」をはかった上で(どのように「差別化」するのかについて、特に社会科と社会科以外の「差別化」については、私の著書をお読み下さい)、弁護士会との協働の基で行うといったことが望ましいといった趣旨でお答えしましたし、高校日本史や世界史の授業づくりについては私が昨年3月に編じた報告書が参考になるとお伝えしました。

また研究会では、広島B短大のN先生もご自身の博士論文の枠組みを中心にお話されました。

***
研究会の後、K先生のゼミの学部生やゼミ出身の現場の先生方と、K指導主事、Y弁護士、M弁護士、K大学のN先生と飲みました。なかなか楽しいひとときでした。
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by yasuhirohashimoto | 2008-02-05 14:42 | 教育のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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