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吉備国際大学集中講義(2009冬)。

備中高梁市に来ています。
毎年、吉備国際大学で夏と冬に「公民科教育法」の集中講義を担当しています。

吉備国際大学の1限目は9:30開始。岡山市内からも通いやすいように「遅めのスタート」にしているようです。備中高梁と岡山市内はJR在来で50分かかりますので。致し方ないのでしょうか。

冬の集中講義は「公民科教育法Ⅱ」。今年は学生に以下の手順で作業をしてもらい、私が逐次指導を行っています。

教材研究→指導案作成→模擬授業→指導案修正→テスト問題作成

今年は受講生が少なく4名。前期と同じメンバーです。4名が、「平等権」「平和主義」「日本の社会保障制度」などをテーマに取り上げて、教材研究を行っています。

教材研究と言っても、学生さんが主体的に行っているというよりは、私が調べる内容を指示している状況ですが(苦笑)。午後から指導案作成です。これからに期待です。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-25 12:43 | 教育のこと | Comments(0)

法と教育学会準備総会・シンポジウム。

本日、2つ目。

過日、見出しの件が開催されました。

法関連教育について、学会が立ち上がった“感慨”については先日ブログにも掲載したところです。

今回は「準備総会」。本大会は来年9月に開催されます。
設立準備委員会の発足が認められ、委員会は「理事者選定」「会則(案)の策定」等を行い、本大会に臨むことになります。

シンポジウムでは、佐藤先生や小玉先生の基調講演の後で、これまで「法教育」に取り組んできた諸氏による実践報告、そして、法曹三者や文科省の取り組み報告が行われました。

私もパネルディスカッションで司会を務めましたが、色々考えさせられました。
パネルの折りに、意見を述べられた諸先生方の「学会としての独自色をどう出すか」といった課題、「これまでの実践との『継続性』の問題」、そして法学の論理をどこまで生かしていくのかといった問題。

「法を法として教える」、それは「正統性」のある確固たる地位を占めている立場ではあります。
ただ、シティズンシップの論理、社会科教育の論理、からは違った視座で法の学習の提起が可能になるのではないでしょうか。一つの領域に「縛られた」形では新たな方向性は見えてきません。

今こそ、法学としての法学習だけでなく、社会科教育学としての法学習を提起すべき時だと思います。

実は、社会系教科教育学会が来年2月20日・21日に兵庫教育大学で開催されるのですが、21日の「課題研究」で「法関連の教材化」をテーマに取り上げられます。

小生がコーディネーターですが、発表者の先生は以下の方々です。

広島大学 草原和博先生
熊本大学 藤瀬泰司先生
福岡県中間市立中間中学校 岩野清美先生

各発表者の先生は著名な方々ばかり。しっかりとした提案を頂けるものと思います。
諸先生方には「地理」「歴史」「公民」で実現可能な授業のご報告をお願いしています。
社会科の中で「法」を取り上げる場合、何が可能で、何ができないのか、、、

私自身は“法”さえやれば社会科になるといった「法社会科=社会科」といった「過激」な発想?を持っていますが、それが実現可能なのか、、

指定討論の岡山大学 桑原敏典先生、 金沢大学・弁護士 野坂佳生先生には、私の「野望」は無視して、客観的にご示唆を与えていただけばありがたいです。

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明日からは吉備国際大学での冬の集中講義。
備中高梁に来ています。

北陸の雪に比べ、瀬戸内は暖かい。
しばらく雪を見ない生活です。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-23 18:44 | 研究のこと | Comments(0)

大阪府松原市布忍小学校授業研究会。

過日、見出しの会に参加し、助言指導を行いました。

布忍小学校も近年「法教育」に力を入れており、同じ校区の中央小学校が4年生から「法教育」を導入しているのに対して、小学校1年生から体系的なカリキュラムを作ろうとしている所や、そのカリキュラムは「地域の問題」を事例とするところに特徴があります。

今回拝見したのは小学校2年生の授業。校区の公園で発生しているゴミ問題について、子どもたちがその「責任」の所在を明らかにする過程を重視した授業です。また、ゴミ問題に対処するためのルールづくりを行おうとする授業です。

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公園で発生しているゴミ問題の対処方法として「自分(個人)の責任」「みんなの責任」の二つの切り口から、考えていく。「そもそもたくさん出ているゴミは何か」「誰が公園を一番使用しているのか」といったことを考えながら、「一番公園を使っている人の責任が大きいのか」「みんなの責任なのか」といった観点で子どもたちが考えを作り上げていきます。そして、最後にみんながなっとくするルールを作り上げていくといった授業。

批評会では、「そもそも絵で示されているゴミは個人が出したものではないのか(個人に責任が帰着する)。みんなの責任で片付けるべきゴミ(落ち葉)などを事例にするべきではないのか」「もっと事実を突きつめていくプロセスが必要ではないのか。そうすることで『道徳』ではなく『法教育』になる」といった趣旨の意見も出されました。

私からは「小学校2年生にしては上出来ではないのか。よく自分の意見をまとめて言えていたし、よく考えていた」といった意見を述べ、また、「みんながなっとくするルール4つを提示したのも『水掛け論』に終わることなく、結果として『子どもの学び』が深まったのではないか」といった趣旨の意見を述べました。やはり課題は「事実を突き詰めること」そして「意見に対する反論を提示できること」。「公園を使わないから片付けなくて良い」という意見には「公園の防災機能」を踏まえた反論(今使わなくても将来使う可能性がある)が出来ますし、ね。
ただ小学校2年生では出来ることは限られていますので。小学校1年生から体系的なカリキュラムづくり、中央小とは違う、独自性のあるカリキュラムづくりに邁進されている同校には頭が下がります。今後ともよろしくお願いいたします。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-23 11:39 | 研究のこと | Comments(0)

日本の子どもの市民性。

一昨年から2年間かけて全国2000人の中学3年生を対象に行ってきた「市民性調査」。
IEAが行った市民性調査のうち、日本で調査するには「適さない」と考えられる項目を除き1時間程度で全国各地で実施。

その調査結果について過日、研究グループ(広島大学棚橋先生を中心にした科研の研究グループ)で議論を行いました。

私も研究分担者で調査項目のうち、「市民的知識ならびに市民性に関する情報解釈の技能」を担当。「市民的知識」に関する項目は、政治の原理・原則を問うような項目は若干正答率が国際平均よりも低めでしたが、それ以外は国際平均水準。また、「情報解釈の技能」については、国際平均よりもかなり高く、調査対象国の中でもトップクラスの水準にありました。

他の先生方の分析を伺っていると、「日本は役人になることや新聞への投書への反応が他国と比べて低い」であったり、「裁判所と警察に対する信頼度が高いが、政府と国会に対する信頼は世界水準よりも低い」「女性の政治的権利に対する日本の子どもの態度は世界水準よりも肯定的である(移民に対しても同様)」といった傾向が見られるようです。

また総合的な分析としては「市民性知識の高低はニュース番組の視聴頻度との相関関係が見られること」「政治への関心は、文化資本や教育年数と強く相関しているが、教室の開かれた議論の雰囲気などとの相関関係が見られる」といった内容が提示されました。

ここに示した内容は、議論された内容のごく一部に過ぎません。調査結果分析については、以下の会合で広く公開されます。ご興味のある方は、是非参加されてはいかがでしょうか。

日時:2010年1月24日(日)13:30~16:30
場所:キャンパス・イノベーション・センター東京 国際会議室


会費はもちろん無料です。ご参加、お待ちしています。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-21 13:01 | 研究のこと | Comments(0)

岡山法教育研修会。

過日、岡山を訪れ、見出しの会に出席しました。

今回は昨年度までH大学附属中・高等学校に勤務していたT先生(現在は五日市高校勤務)による高等学校公民科の法授業実践についての報告。

T先生は「法的意思決定能力」の育成を重視された授業を以前から作成・実施されておられます。
学会発表の折りに「意思決定モデル」を簡略化する必要性をお話したこともあるのですが、このたび拝見したモデルは単純化され、わかりやすいものになっていました。とても評価できるのでは・・・と感じた次第。

ただ法学を専門にされている先生方からは辛口のコメント。「そもそもこのような意思決定モデルで意思決定を行っていない」といった趣旨の内容。Y弁護士からも「弁護士が持つモデルとは違う」といった趣旨の発言もありました。T先生のモデルは裁判官モデル、「法政策決定モデル」に近く、「判例分析、判例解釈モデル」とは異なるものではないかとフロアでの議論や懇親会でも話題が出ました。これだけ議論になるのだから注目されているということでしょう。

また広島B女子大学のN先生は、ご自身の博士論文で明らかにした小学校における法学習モデルを提示され、現行学習指導要領下で行われている授業では不十分であり、新たなモデルを利用した学習の必要性を唱えられました。今後はその新たなモデルによる授業開発が求められるのではないでしょうか。

懇親会は岡山大学K先生のゼミ忘年会と兼ねたもの。ちょうど忘年会シーズンということもあり、なかなか予約が難しかったようです。弁護士のH先生も参加され、最近の話題をいかに授業化するのか、議論し合いました。

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2月23日に本学で京都大学の土井先生と、岐阜大学の大杉先生による講演会を実施することになりました。詳細は後日ブログに掲載しますが、皆様、ご予定下さい。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-17 19:35 | 研究のこと | Comments(0)

共同実践プロジェクト・附属中学校授業実践③(2009)

過日、附属中学校で社会科指導案を実践にかけました。

当初は11月中旬に行う予定だったのですが、新型インフルエンザによる学級閉鎖などもあって、実践がのびのびになっていました。

「環境問題」をテーマに取り上げた今年度。理科、家庭科と続いて最後に社会科授業2時間です。

社会科では、地球環境問題に関わる法制度、国際条約などを取り上げて、「CO2の削減を行わないといけない」ことを背景に様々な取り組みが行われていることを確認した後で、日本のCO2の排出量のグラフと、景気動向を見比べると、「CO2の排出量が少ない時に景気が悪く、CO2の排出量が多い時に景気が良い」といったこと(仮説)に気付いた子どもたちが、「景気」と「環境」の維持、どちらを優先するべきなのか、どうバランスをとるべきなのかを最後に提案するといった授業でした。

子どもたちからは、「政府による主導でバランスの取れた政策をするべきだ!」といった意見が多くを占めました。

どうしても、「予定調和的」な政策になるんですねえ。といったのが率直な感想。「政府による主導」という言葉は便利でしょうが、「政府による主導」をするということは「規制」や「予算」を伴うということ。今議論されている環境税の問題もありますし、排出規制の問題もあるでしょう。やはりもっとテーマを絞っていかないと深めた議論にはなりにくいといったところでしょうか。

また反省会では附属中学校のT先生から、共同実践プロジェクトの各教科の位置付け、総合との違いの明確化、を行うためのアドバイスを頂きました。ここに記して感謝申し上げます。

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by yasuhirohashimoto | 2009-12-11 08:35 | 研究のこと | Comments(0)

福岡教育大学附属福岡中学校研究発表会2日目。

過日開催された研究発表会2日目。

2日目は、新領域「サプリ・フィールド」と総合的な学習の時間「言いたか放談」の授業を拝見しました。

「サプリ・フィールド」は各教科の学習と総合的な学習の時間を結ぶ「活用型」の授業として位置付けられています。例えば、社会科では、教科の学習として「需要と供給」を概念的に学んでいるわけですが、「サプリ・フィールド」では、「附中パンを売り込め!」をテーマに、実際のパン製作・販売会社であるフランソア担当者と提携し、パンの販売促進計画を子どもたちに立案させます。そして、販売開始2ヶ月目=販売低迷期という状況におけるマーケティング戦略(①顧客(需要)としてねらうべき年齢層とは?、②自社資本の投下効率をよくするプロモーションとは?)を子どもたちに考案させ、考案された戦略をフランソア担当者に評価してもらうといった授業。子どもたちが考案した戦略は、教科の学習で学んだ「需要と供給」の概念を「活用」するといった実社会への適用を意図した内容となっています。

また「言いたか放談」は、各教科で学んだことの意味や価値を実感しつつ、よりよい社会の形成者となることを目指す「探究」活動と位置付けられている学習。総合では他に、「フロンティアタイム」などが設定されています。
「言いたか放談」では「原子力発電って本当に必要?」「病院が危ない?(国、企業、市民の視座から超高齢社会におけるこれからの医療の在り方を探る)」「あなたは何歳で大人になりますか?(成人年齢の引き下げの問題を通して「大人」とはどういうことなのかを考える)」「どちらの薬を使いますか?(先発医薬品と後発医薬品の使用の在り方を考える)」等々、各学年6つ~7つのテーマが設定され、これらのテーマについて1年間かけて問題を分析し、考察していくといった学習過程を子どもたちが繰り返していきます。

「サプリ・フィールド」も「言いたか放談」もとても興味深く拝見しました。拝見した「サプリ・フィールド」は子どもたちのやる気がみなぎっており、授業への取り組み方がとても良い。久しぶりにあんなに活気のある授業を拝見しました。また授業者の授業の進め方がとてもお上手だということもあるのでしょう。ただ「需要と供給」の概念を子どもたちが意識して「活用」していたのか?は少し疑問でしたが。

また「言いたか放談」も子どもたちがサークルになって、問題を議論している様子は十分なものでしたし、そもそも社会科担当者以外の先生方も取り組まれているわけで、その点も感心しました。ただテーマによっては子どもたちの議論になりにくいものもあり、掘り下げた議論になっていないテーマもありましたので、この点は課題なのでしょう。

取り組み始めてまだ2年とのことでしたので。研究指定が終わる3年目である程度完成するのでしょう。来年も時間が許せば参加したいと思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-09 17:38 | 研究のこと | Comments(0)

法と教育学会・準備総会前夜。

明日、法と教育学会準備総会・シンポジウムが開催されます。
今日は打ち合わせも兼ねて、弁護士の先生方と「前夜祭」。
さきほど終了し、ホテルに戻ってきたところです。

「法教育」もここまできたか。。というのか、感慨深さを感じています。

さかのぼれば、十数年前、アメリカ合衆国を対象とすることだけ決まっていたのですが、それだけしか決まっておらず、修士論文テーマを決めるのに困っていたあの頃。
たまたま広島大学図書館でERICを検索していたら、「Justice」「Privacy」といった社会的価値で構成された幼稚園から高校3年生を対象とした教材を発見したことに始まりました。

指導教官のI先生に「とてもおもしろい教材なので分析してみたら」と言われて始まった私の研究者人生。
その時以降、様々な法関連教育カリキュラムをI先生のご指導の下で集め、分析してきました(I先生の研究費を使いながらですが。。)。

マスター時代の特別研究で、M先生に「これは社会科ではない。道徳だ!」と厳しいご指摘を受けながらも、大学院M修了後、何とか、『社会科研究』に拙論を掲載頂けました。

また同時期、T大学のE先生や、遅れてS大学のI先生もアメリカ法関連教育の研究を進められてきました。

平行して、偶然にも「司法制度改革」の流れの中で日本にも「法教育」の導入が叫ばれるようになり、日本弁護士連合会を始め、司法書士会、法務省、文部科学省などが協力しながら日本流「法教育」の展開が新学習指導要領の内容として確固たる地位を占める(ここは批判的な意見があるかもしれませんが)に至りました。

今後は文部科学省が言う「法学習」に縛られることなく、さらにアメリカ合衆国にみられる法関連教育の「多様性」を鑑みながら、社会科教育の論理で法学習をどう構成するべきなのかを検討するべきだと思います。

明日のシンポジウムは、少しでも研究的な進展があれば良いのになあなどと「酔っぱらい」ながら考えている次第です(苦笑)。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-05 22:24 | 研究のこと | Comments(0)

経済教育ワークショップ「福井」開催。

昨日見出しの会を開催しました。
昨年度は中学校の先生方を対象としたワークショップでしたが、今回は高等学校の先生方を対象としました。
また昨年度に引き続き、経済教育ネットワークとの共催で、福井県高等学校社会科研究会福井ブロックにもご協力頂きました。

参加者は50名弱。

司会は経済教育ネットワーク代表の篠原総一先生。篠原先生は、中学校学習指導要領の社会科公民的分野の主査で私もご一緒に仕事をさせて頂きました。先生方のご講演内容をうまくフォローされるなど、名司会者ぶりを発揮されました。ありがとうございました。

ご講演はお二人の先生。

お一人目は、弘前大学の猪瀬武則先生。先生からは「シミュレーションゲームを利用した高校経済の授業例」といった題目でお話頂きました。公共財の基本的な考え方を、マンションの耐震工事費用を誰がどう負担するのかといったシミュレーションゲームを通して理解させるといった内容でした。学生も先生方も公共財の意味がよく理解できたのではと思います。

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お二人目は、同志社大学の西村理先生。先生は「鳩山新政権の経済政策の見方」について、高速道路の無料化や、派遣禁止法案などを取り上げて、経済学的にはどのように考えれば良いのかを、グラフなどを使いながらわかりやすく説明されました。

今回は平日ということもあり、昨年度に比べ学生さんの出席率はあまり高くなかったですね(まあ仕方のないことですが)。一方で先生方はちょうど試験期間中ということもあり、時間にゆとり?があったのでしょうか。予想を超える参加者数でした。

質疑の時間を取ることができなかったのは残念でしたが、今後も現場の先生方の研修会とコラボで、経済教育に限らず、様々な分野で研修を行えればと思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-04 17:30 | 研究のこと | Comments(0)

福岡教育大学附属福岡中学校研究発表会1日目。

過日、見出しの研究大会に参加してきました。
以前に同校を訪れたことはあるのですが、昨年度から同校は文部科学省の指定を受けて斬新な研究を始めたようですので、久しぶりに参加。

1日目は、社会科の授業を拝見し、批評会に参加しました。

先日のブログにも書きましたが、地理・歴史・公民をまたいでのユニット構成。
「民主主義」「開発と貿易」「安定と平和」「紛争と安全」「地方分権」「外交」等々のユニットを1年生から3年生まで配列し、それぞれのユニットにおいて、地理・歴史の内容を配当、それぞれのユニット最後に公民の学習として「水道事業の民営化は妥当なのか?」(開発と貿易の場合)や「核兵器廃絶は可能か?」(安定と平和)といった社会問題学習を位置付けています。

今回拝見したのはユニット「民主主義」の、社会問題学習「なぜ今、再び諫早干拓問題が問われているのだろうか」です。この授業は、この問題のアクターである、農家(干拓推進派)と漁民(干拓反対派)に焦点を当てて、それぞれの主張をトゥールミンモデルで提示した後で、それぞれの表明に対して批判的な議論を行います(実際の授業ではトゥールミンモデルは示されませんでしたが)。例えば、農家の主張に対する漁民の「反論」やその逆を子どもたちが提示する。そして、授業最後の段階になって、この問題が再び問われているのは、当初諫早干拓が提起された折りには想定されていなかった問題が次々と出てきていること等が例示され、「民主主義を守り、維持するためには、決まれば絶対というわけでなく絶えず努力し更新していくことの大切さ」を子どもたちに認識させるといった流れ。

批評会では、「農家、漁民、国以外のアクターはなぜ存在しないのか(この三つの限定した意図は何か)」「ユニットの構成として、諫早干拓問題の後、普天間基地問題を取り上げるが、同じような問題を取り上げる意図は何か(子供達にわからせることが民主主義は不断の努力~であれば、この問題を取り上げたとしても同じことを繰り返し理解させることになるのでは?)」といった趣旨の質問が出ました。

また、ユニット構成については「地理、歴史で体系的に学ぶことを踏まえて公民の学習がある。それを崩すことで、地理や歴史を体系的に学べないのでは?」といった質問も出ました(まあ想定される質問ですね)。

私自身は、地理や歴史は公民をわかるための「手段」でしかない、と思っていますので。非常に興味深くご発表を聞かせて頂きました。

ただ、ユニットのテーマ選択原理や配列原理については再考する必要があるでしょうねえ(なぜ「地方分権」の後に「開発と貿易」なのかがよくわかりません)。また、1年や2年は地理や歴史の学習をイメージさせるユニット(「場所の多様性」「空間と分析」「過去と解釈」など)構成になっていますし、思い切りが足りませんねえ(笑)。

批評会最後は、指導助言の同大学、T先生のお話。「この学校は新指導要領を射程に入れた研究ではなく、20年、30年後の研究をしている」。。納得しました(笑)。

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日本の子どもの市民性を測るために2年前から行ってきた調査がまとまりました。先日、その調査結果をどう解釈すれば良いのかについて、検討を行いました。その検討の概要は後日ブログにもアップしますが、取り急ぎ、調査結果報告会についてご案内しておきます。ご予定下さい。

□科研「世界水準からみる日本の子どもの市民性に関する研究」研究成果報告会

・日時 2010年1月24日(日)13:30~16:30
・場所 キャンパス・イノベーションセンター東京 国際会議室

広島大学棚橋先生、小原先生、池野先生、木村先生、草原先生、千葉大学戸田先生、大阪教育大学峯先生、大分大学永田先生、岡山大学山田先生、そして小生が報告予定です。
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by yasuhirohashimoto | 2009-12-01 19:00 | 研究のこと | Comments(2)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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