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教育実践研究・模擬授業②(2010)。

過日、教育実践研究の模擬授業2回目がありました。
小学校4年生を対象にした「消防」の授業。
MQは「どうすれば早く火を消せるだろうか」。
展開1では、火事発生の絵を子どもたちに見せ、火事から人々を守るために働いている人を探し出させます。そして、それぞれの期間が果たす役割、例えば、警察、消防、ガス会社、電力会社、水道局を考察させます。続けて展開2では、消防車や救急車が速く現場に到着するために「消防管制室」があることを理解させ、119番通報から現場到着までの流れを子どもたちに流れ図を作成する中で考察させます。

批評会では、「展開2の流れ図は大学生でも難しい」「(この授業は消防署見学に行く前を想定した授業なのだから)火事発生の絵を見せるよりも、まず火事を消す役割として消防があること、火事を消す役割を担う人=消防士であること、消防士が常駐するのは消防署であり、そこにはポンプ車やはしご車などがあることなどを確認させる必要があるのではないか、そして消防が火事を早く消すための工夫を探究させるべきではないか(消防以外の警察、ガス会社などはその次の段階ではないか)」「子どもは人の行動から学びが深まる。まずは消防士にもっと焦点を当てるべきではないか」などなどでした。

模擬授業の後、別の講義で「消防」の授業のビデオを鑑賞しました。ビデオに出ていた先生の授業では、消防車が現地に到着する時間に着目し、どこで火事が起こっても「3分」で現場に到着することができる。どうしてそのようなことが可能なのか、「速さのひみつは何か」といった問いから授業を始めていました。この問いは、「消防士・消防署の工夫」「消防署の配置」などにつながる子どもの学びをつなげる良い「問い」だと思います。「問い」の作り方は小学校社会科では特に重視されないといけないですから。子どもの学びの筋も考えながら、授業の目当てに辿り着く必要があります。ただ、あまり消防士の工夫ばかりに目がいくと、将来消防士になるわけでない子どもに「些末な知識」を身につけさせることになる。「速く消す工夫」なんて、消防士になる人が知っていれば良い知識。。。そうなると、そもそもなぜ「消防」を社会科で取り上げる必要があるのか、といった問題にいきつく。「なぜ消防の仕事は民間でやらないのか」といった問いになると「公共財」に結びつく。ただ、学習指導要領小学校社会は6年生で政治を学びますから。悩ましい話です。

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by yasuhirohashimoto | 2010-06-30 10:10 | 教育のこと | Comments(1)

社会科フォーラムin福岡④。

「公開授業」が終わった後は、授業の批評会並びにシンポジウム。
批評会では、有田先生が「教材の厳選化;とにかく一つか二つの絞る」の必要性を言われていました。当日朝、有田先生と車がご一緒だったのですが、その際にも教材の重要性を説かれていました。お元気そうで何よりでした。

シンポジウムでは「知識のみえる化とは」「地域学習のニューデザイン」「新指導要録」をテーマに活発な議論が行われました。「地域学習のニューデザイン」では、草原先生が従前の地域学習とは違うアプローチの授業の必要性を説かれました。具体的には、スーパーマーケットを扱う場合でも経済概念を重視した取り上げ方が必要であること、また警察を扱う場合でも「警察官を自分たちを助けてくれる『お助けマン』」として教えるのではなく「権力の行使者としての警察官」といった警察権力の本来持つ意味を子どもたちに伝えることこそ、「間違った」知識形成を促す危険性を持っている「地域学習」の改善になるのでは、といったご提案でした。まあ「地域学習は地域の愛情を育てるのが目的だ!」とか色んなご意見が出ましたが。安野先生が「(スーパーマーケットの授業については)新学習指導要領のねらいに近い?学習の提言をして下さった」といった話がありましたし。日本の「地域学習」は世界から見れば「異端」ですから。そこをもっと強調しても良かったのでは、と思います。小学校社会科を「世界水準」に!これをモットーにしたら良いのでは。とても大切なことだと思います。

会は滞りなく終わりました。いやいや、運営の緻密さにびっくりさせられました。石丸先生、永田先生のご尽力のたまものでしょう。
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by yasuhirohashimoto | 2010-06-27 11:27 | 研究のこと | Comments(0)

日本公民教育学会(2010)。

過日、京都教育大学で開催されました。
午前中は、自由研究発表の司会を仰せつかっていました。
私がいた部会は「法教育」「倫理教育」「公民の授業構成論」などに関わるご発表でした。
「公民の授業構成論」に関わるご発表は発表の先生の「個性」もあって、興味深く拝聴しました。
「倫理教育」のご発表も先生の長い教職経験を踏まえたご発表。「法教育」2つのご発表も、新規性のあるものだったと思います。

ただ、某ブログにも書かれていましたが、「学会研究発表」としての最低限の条件(先行研究分析など)は踏まえた発表をしないと・・・・「学会発表」ですので。単なる「授業研究発表会」なら良いのですが。

午後からは課題研究発表を拝聴しました。「特別活動・ボランティア教育と公民教育」の部会に参加しました。積極的に参画しない選択肢もあっても良いのかなと思いました(私の部会での態度と同じように;笑)。ただ、積極的に参画しないといけない社会的行為も一方でありますので。その線引きをどうするのか、、ですね。

事務局の水山先生初め、水山ゼミ(出身者)の皆さん、大会運営、ご苦労様でした。盛会をお慶び申し上げます。

次年度は愛媛大学での開催です。楽しみです。
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by yasuhirohashimoto | 2010-06-24 08:41 | 研究のこと | Comments(0)

教育実践研究・模擬授業①(2010)。

過日、見出しの模擬授業を実施しました。
「教育実践研究」は本学の学部生の必修講義。教育実習関係の講義になります。本学では、「教育実践研究」の講義の中で、主免実習にこれから参加する学部3年生が、学部1年・2年生を生徒役に見立てた模擬授業を各教科に分かれ行っています。模擬授業で取り上げる教育内容は、主免実習で実際に行う内容になります。

1回目は、中学校社会科地理的分野の「アメリカ」をテーマにした授業でした。
「アメリカはなぜ工業力があるのか」をMQに位置づけ、展開1では、五大湖中心に展開した鉄鋼業について、その周辺に鉱山や豊富な水(当たり前ですが)があること、そして水運を利用することで経済効率的に原材料を運搬できることなどを白地図を利用して探求させ、「五大湖中心に鉄鋼業が盛んになった原因」を子どもたちに理解させようとする内容、展開2では、「エネルギー革命」の後、メキシコ湾岸や太平洋側で工業が盛んになった理由をやはり探求させようとした後で、最後終結でMQに対する回答を行うといった展開でした。

十分な教材研究の時間がどうもとれなかったようで、展開1で「息切れ」したようです。展開2が雑な教え方になっていました。批評会では、このような意見に対して、授業班は、「教科書見開き1ページを1時間で授業を組む」ことを重視したとのこと。ちょっと詰め込み過ぎでしたので、「原則」にこだわらず2時間構成でも良かったのかもしれないと思いました。展開1はまあまあ良かったので、展開2も時間をかければ、良い内容になるでしょう。今後修正作業をお願いしたいと思います。

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by yasuhirohashimoto | 2010-06-23 07:09 | 研究のこと | Comments(0)

社会科フォーラムin福岡③。

「提案授業」三つ目は、椿原正和先生の「地図の読み取り」をテーマにした授業でした。この授業では、「地図記号クイズ」「地名探し(九州の地名探し)」「いろいろな地図を知る(観光地図など、地下にも地図があることを伝える」といった学習活動を経た上で、関門橋の地図を示し、この地図は山口県側から撮影したのか、福岡県側から撮影したのかを問います。子どもたちは、子どもたちなりの根拠(地形やランドマークとなる島の位置関係)を示しながら、福岡県側なのか、山口県側なのかを主張し、最終的には、地図の一部を子どもたちに写させる中で、その回答を説明するといった流れ。

福井フォーラムの時に、谷先生の授業を拝見したときにも思ったのですが、TOSSの先生方は、子どもたちがいかに熱心に活動に取り組むのか、一人の取り残しもいない活動をどう実現するのか、に非常に長けているなあと思いました。今回の授業の問い立ても「山口県側なのか、福岡県側なのか」を説明しようと子どもたちは我先に競い合っていましたよね。

授業討論の際にも意見が出ていましたが、「地理的技能を育む上で意義のある授業だった」と言えるのでしょうかね。

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by yasuhirohashimoto | 2010-06-22 12:24 | 研究のこと | Comments(0)

生活教材研究・体験発表会②(2010)。

過日、生活教材研究の体験発表2回目を行いました。
今回発表した班のテーマは以下の通りです。

3班 ペットボトルロケットを飛ばそう
4班 交通標識について
5班 パンを作ろう
8班 木琴を作ろう
10班 トマトを育ててみよう
14班 ペットボトルロケットを作ろう
15班 ピーマンを育てよう
16班 ジャムを作ろう
18班 われないシャボン玉を作ろう
19班 きらきら万華鏡
20班 いろんな形のシャボン玉を作ろう
24班 アイス、添加物ジュースを作る
25班 アイスクリームを作ろう
27班 石けんをつくろう

特に興味深かったのは、「木琴を作ろう」「石けんをつくろう」「きらきら万華鏡」でしょうか。「木琴を作ろう」はそれこそ、自分たちで木を削り、音の調節をしながら、木琴を作っていきます。また「石けんをつくろう」は廃油を使った石けんづくりをしていたのですが、臭いを消すための工夫を考えて、何度も試行錯誤して作り上げました。「きらきら万華鏡」は、先週の万華鏡作りの班が銀紙を使っていたのに対して、それではあまり「きれい」に反射しない万華鏡になると判断したのか、鏡をカッターで切って、まず三角形の万華鏡、三角形よりも、より「きれい」に反射する万華鏡になるのは、六角形では?と考え、六角形の万華鏡を作っていきました。

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今年はテーマが偏りました。「アイス」「シャボン玉」「ペットボトルロケット」・・・来年度は限定数を決めて、それぞれでどういった創意工夫をしたのかを競争的に発表させてみてはと思っていますし、こちらからも幾つかテーマを用意して選択の幅を拡げていこうかと思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2010-06-21 10:23 | 研究のこと | Comments(1)

社会科フォーラムin福岡②。

社会科フォーラムin福岡、二つ目の提案授業は、香川大学教育学部附属坂出小学校の山内教諭による、小学校5年生「日本の食を支える水産業」をテーマにした授業。

今回の授業のMQは「どうして、日本人は、水産物をたくさん食べているのだろう」でした。まず、子どもたちに、給食の献立を確認させて、給食のメニューにどれだけ水産物が含まれているのかを問います。その後で、日本の水産物消費量の多さを確認するために、グラフを提示し、日本の水産物消費量は、インドの15倍、アメリカの3倍あることを読み取らせる中で、日本人の消費量を多さに気付かせていきます。そして、本授業のMQを発し、子どもたちに仮説を立てさせます。

「きっと周りが海に囲まれているから」「海に面していて漁が盛んであるから」「与那国島、択捉島、四方の一番端にある島があるので、漁をする範囲が広い」「アメリカ人は肉食中心だけど、日本は魚を食べるから」などが提示されました。

子どもたちからは「地理的要因」「文化的要因」が示されたということです。

その後で、子どもたちからは、「台湾だって周りが海なのに、魚の消費量はそう多くないよ」という意見が出され、「海の深さとの関係」を考える最中、この授業はタイムアップ。

この授業の指導案では、「環境決定論」以外にも、消費者や生産者の立場から、「日本人が水産物をたくさん食べる理由」が示されていたのですが、時間切れだったよう。ただ、私が不満だったのは、水産物をたくさん食べる理由は文化的要因もそうですが、やはり安く手に入る「手軽な食品」=水産物であることも大きな要因だと思いました。「経済的要因」を追究できるような観点もこの授業には必要だったと思います。

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by yasuhirohashimoto | 2010-06-20 11:49 | 研究のこと | Comments(0)

公民科教育法Ⅱ・模擬授業③(2010)

昨日、公民科教育法Ⅱの模擬授業三回目を実施しました。
今回のテーマは「食料自給率」。

授業では、まず「食料自給率とは何か」「日本の食料自給率はどのくらいか」「日本の食料自給率は他の先進国と比べてどの程度なのか」を問い、その後で、MQとして「なぜ食料自給率を上げる必要があるのか」を提示します。展開Ⅰでは、Qとして「なぜこんなに食料自給率が低いのか」をたて、食生活の変化、安価な輸入食品に頼っていることなどを新聞記事などから読み取らせ、展開Ⅱでは、Qとして「食料自給率が低いと、どのような問題が生じるのか」をたて、食料輸入は相手国の供給力に左右されやすいこと、需要増加と食料価格が世界的に高騰する傾向にあること、環境に悪影響が出ているということ、をやはり新聞記事やグラフ、書籍からの引用文献から読み取らせていきます。そして、終結では、MQを再び提示し、「なぜ食料自給率を上げる必要があるのか」を問い、子どもたちに学習したことを振り返らせました。

授業の批評会では、学生から以下のような意見がなど出されました。
■展開ⅡのQに対応する回答として「自国農業の衰退」が指導案上では示されているが、なぜ授業では触れなかったのか
■導入で示されるMQ「なぜ食料自給率を上げる必要があるのか」が唐突すぎる。
■提示された資料のうち、「世界の農産物価格推移の予測」はそれだけではなく、日本がどれだけどの農作物を輸入しているのかを示す資料があった方が良かったのではないか。
■新聞記事だけでなく、「穀物の国際価格の推移」のグラフや「エビとマングローブ林」など様々な資料が提示されて、Qの回答を考察できるようになっており、資料の提示において工夫がなされていたこと。一方で、1時間の授業で資料を読み取ることが多く「一人学習」になる傾向があったこと。
■「マクドナルドの工夫」(マクドナルドは原材料のコストを下げるために、パンはカナダの小麦、じゃがいもはアメリカのものといったように、原料を各国のマクドナルドで共同して仕入れていること)は資料として面白いが、食料自給率が低くなった原因(輸入食品に頼る傾向がある)を説明する上で十分な資料とはいえないのではないか

他には、ワークシートの改善案など、が提示されました。

私からは、展開Ⅱの回答は重要度で違いがあるのではないか(並列的に扱えないのではないか)、「自国農業の衰退」は重要度が高いのではないか、そうなると、展開Ⅱで扱うべきではないのか。展開Ⅰでは、「自由化」の影響も扱うべきではないのかといったことを指摘しました。

これで公民科教育法Ⅱの模擬授業は終了。学部3年は今回初めて模擬授業を体験しました。明日からは、教育実践研究の模擬授業(小・中)が始まります。それが終わるといよいよ教育実習です。

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by yasuhirohashimoto | 2010-06-17 08:35 | 教育のこと | Comments(0)

社会科フォーラムin福岡①。

過日、社会科フォーラムin福岡が開催されました。
ニュースでは「梅雨入り間近」と報道されていましたので、天候が心配されましたが、
フォーラムの日は快晴でしたが、会場の福岡教育大学附属久留米小学校体育館はうだるような暑さでした。

恒例の「提案授業」は三つ。今日は一つだけを紹介します。

■6年生「全国統一への動き」岡山昌司先生(福岡教育大学附属久留米小学校)
→本時までの間に、信長、秀吉のそれぞれの取り組みについて、共通していることやその違いについて、経済・武力の政策といった2つの視点で考察させていきます。その際、信長を受け継いだ秀吉が経済、武力の2つの政策を行うことで、全国で一律の税金制度を作って統一したり武士と農民をはっきりと区別して反乱できないようにしたことで天下を統一することができたこと。また、その後、徳川家康が関ヶ原の戦いで勝利した後、江戸幕府を開くことができた理由について子どもたちに追究させていきます。
→本時では、家康が幕府を開いた後で、豊臣氏を滅ぼしたことに焦点を当てて、「完全に豊臣氏を滅ぼす必要があったのか?」をMQとして「徳川氏が豊臣氏を滅ぼした理由」を教科書や資料集などに例示される資料を活用して、それらを根拠にして、自分たちの主張を組み立てていました。
→子どもたちからは、「必要がない。なぜなら、(大名の配置図を活用して)徳川氏の居住する江戸から離れた領国に配置換えされたから」「必要有り。なぜなら、豊臣秀頼は家康の次の権力がある。幕府に反乱をしかけるかもしれない」「いや、秀頼は権力はないはず。なぜなら、方広寺の鐘(国家安康、君臣豊楽)を家康の命で作らされたのだから」「秀頼が成長した暁に権力が強くなっては困るから、家康は計画的につぶそうとしたのではないか」「豊臣氏を滅ぼすことは必要だった。なぜなら、西日本は豊臣系が多く、江戸から遠いが故に反乱を起こす可能性がある」「石高を減らしているから徳川方の敵ではない」「家康にとっては跡継ぎを作ることが大事。幕府をずっと続かせる必要がある」といった趣旨の意見が次から次へと提示され、様々な資料を活用して自身の主張を説明していました。
→最終段階で、先生から「豊臣氏は65万石、島津氏は73万石、前田氏は120万石。いずれも外様大名で、元は豊臣氏側だった大名だが、なぜ多いところを攻めなかったのか」と問いを出し、「『西国のリーダー』を滅ぼす必要性」が徳川方にあったことを確認して、授業は終了しました。
→私自身の感想ですが、子どもたちがしっかりとした根拠に基づき持論を構築できていたと思い感心しました。また最後のまとめ方も子どもたちの議論が煮詰まる中で、うまく議論を「誘導」できていたと思いました。
この授業をさらに深めるのは、教科書や資料集にある資料以外にも、提示すればさらに議論が深まるのではと思われる資料があったと思います。例えば、豊臣方を滅ぼした理由には、「徳川家康の人物像」に関わること(例えば、家康の年齢に関する資料)であったり、豊臣恩顧の大名が豊臣氏に仕えてきた理由を示す資料であったり(ちなみに、有田和正先生は、資料はむしろ少なめにして絞った良いという意見でした)。
→安野先生からは、資料を多面的に見る事が出来るような工夫が必要とのことでしたが、例えば、子どもから提示された「豊臣方の大名は石高を減らされた(から徳川方にとっては問題ない)」という主張は、「石高を減らされたことで、豊臣方大名系の浪人が増え、治安が悪化する(から徳川方にとっては問題だ)」という主張にも読み替えることができる・・・ということでしょうか。
→授業をされた岡山先生は私の大学の後輩だそうです。今後ご活躍されることでしょうね。

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by yasuhirohashimoto | 2010-06-16 10:13 | 教育のこと | Comments(0)

大阪府松原市中央小学校授業研究会(2010)

過日、授業研究会の助言・指導で、中央小学校を訪れました。
以前から中央小へは、何度も足を運んでいます。「ピアルール」というタイトルで「法教育」の授業実践を1年生から6年生まで体系的なカリキュラムに沿って実施しており、今年は11月にこれまでの集大成を提案する研究大会も予定されています。

今回拝見した授業は小学校3年生と6年生を対象にした授業でした。

■小学校3年生:「友だちいっぱい3年生~代表を選ぼう~(公平・権威)」T教諭

T教諭は、中央小学校が「法教育」に取り組みはじめた当初からその牽引役です。今回の授業は、「あそび実行委員」を何人かの候補者から選ぶこと。そして、その選ぶ際に基準となる「ツール」は、「できるか(仕事)」「ふさわしいか(条件)」です。

「できるか(仕事)」は、「あそび実行委員」の仕事は何かを考えることが候補者を選ぶ際に必要になることから、設定されたツールになります。また、「ふさわしいか(条件)」は、その仕事をちゃんと果たすことができる資質は何かを問うこと候補者選定の基準となることから設定されたツールになります。

「できるか(仕事)」のツールで導き出された回答は、「みんなが楽しく遊べるようにする」「声かけができる」「遊びを決める」「遊びのルールを決める」などが提示され、「ふわしいか(条件)」を問うツールでは、「声かけができる人」「話し合いをまとめられる人」「早く来て準備をする人」「ルールを守る人」などが提示されました。

その後で、三人の候補者の調書と短所を比較しながら、誰が「あそび実行委員」にふさわしいのかを考えていきます。

○A(推薦):朝早く来て、いつもコートの準備をしている。泣いている子によく声をかけている。すいせんされたが、あまり自身がない。
○B(立候補):いつもボールを用意するが、自分がボールをもたないと気が済まないところがあり、たまにけんかになる。じょうだんがすきで、友達を楽しませんので人気がある。2年生の時からの親友。
○C(立候補):ルールを守っていない子にはちゃんと声かけができる。自分の考えや意見をしっかり言える。話し合いの時、人の意見を聞かず、自分の意見をまげない時がある。

それぞれの候補について、ツールを用いながら、「ふさわしい人物」について比較・吟味していきます。子どもたちの議論では、「ボールをもたないと気が済まないBは喧嘩を引き起こす原因になり、そもそも『みんな』の目的である遊びができなくなる」といった理由を優先し、Bへの支持は全くなく、AかCの選択になりました。Aについては、「朝早く来てコートの準備をすることができる」それは、ツールとしての「みんなが楽しく遊べるようにする」に合致しているといった意見や、短所として示される「自信がない」についても、「自信がないけど、仕事をすることで自信がつくかもしれないので短所に入れるのは問題である」といった趣旨の意見も出されました。Cについては、短所として示された「人の意見を聞かない」は、「ルールを決めるのに相談して決めないといけないのに、遊びが楽しくならない」といった理由で問題があるといった趣旨の意見が出されました。また、Aの「推薦」については、「みんなが推薦したのだから、人気があるということだ」といった意見が多く出されました。

結果として、子どもたちは、Aを選ぶ子が多数を占め、Cを最終的に選んだのは数人となりました。既に前時間も含め何回か子どもたちにA~Cの選択をさせており、当初Cが多かったのが、だんだんAを選ぶ子が増えていくといった傾向があったようです。

批評会では、「『人の意見をきかない』ということが遊び委員を決める基準の中で重要なもの」といった落としどころに辿り着くような授業展開になっていることへの意見もありました。私からは、「法教育」の特徴である「事実の吟味」をもっと行うべきといった趣旨の意見を述べました。「自信がない」に見られるように、子どもなりの「事実の吟味」があったと思うので、それは了とすべきだと思ったのですが、「人の意見をきかない」のはどのレベルなのかがわからない(相当強情なのか、全く聞かないのか、説得されれば多少は聞くのか)ので、その辺りの「事実の吟味」があっても良かったのではないかとも思いました。ただ学年の発達段階を考えれば、「ないものねだり」なのかもしれません。

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■小学校6年生:「ぴあ・ルール~みんなの意見を大切にして身近なトラブルを解決しよう~ たじひ商店街の自転車問題を解決しよう!」F教諭

F教諭は何度も法教育の研究授業を行っている、ある意味「ベテラン」?の若手の先生です。今回は、目の不自由なカズヤさんがある商店街で下校途中の高校生の自転車にぶつけられ骨折するといった事故が起こり、けがを負ったカズヤさんの安全を守るためにも商店街の自転車の乗り入れを禁止して欲しいと市に相談したといった問題設定の下で、以下のような立場の意見が提示されます。

○「目の不自由なカズヤさん」
→以前にも自転車にぶつけられて骨折をしている。お年寄りも不安に感じている人が多い。安全のためにも商店街内の自転車の乗り入れを禁止して欲しい。
○「たじひ高校の生徒 ショウタさん」
→商店街を自転車で通ると10分でいける。押して歩くと50分かかる。通学の時間帯は、開いている店も少ない。だから危険も少ない。自転車の乗り入れ全面禁止は困る。
○「お米屋の店主 ナツコさん」
→自転車の乗り入れを全面禁止にすると、お客さんが減って困る。私の店は商店街の真ん中の方にあり、荷物も重いので自転車で来られるお客さんが多い。自転車の乗り入れ全面禁止になると売り上げが落ちてしまうのではと心配している」

これら三者の「利益」について、ツールとして「ゴール(目的の明確化)」「ルート(自分の立場を明確にする」」の二つを取り上げてその問題の解決策を考案し、その解決策が望ましい理由を提示するといった授業になります。

今回の授業は、班でその解決策を考えるのですが、それぞれの班に弁護士が入り、解決策について批判したり、意見を述べたりして構築されていきます。

解決策としては、「商店街の真ん中を『自転車道』にして、『歩道』を両端に置く」といった意見が多く出されていました。

批評会では、「子どもは解決策を考えることを優先し、三者の利益は何か、その利益の『優先順位』は何かといった観点をツールに設定するべきではないか、問題の解決策を見つけるためのツールであるべきだ」といった趣旨の意見も出されました。特に「優先順位」はこの問題を解決上ではとても重要であると思いました。また、各班に入った弁護士の役割について、事前に議論しておく必要があったのではないか、といった意見もありました。ただ、弁護士の先生が各班に入るだけで、議論の質が上がっており、間違いなく教育的効果はあったと思います。また、ツールの「ゴール(目的の明確化)」は示されただけで、あまり使われていなかったですねえ。それも残念でした。

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当日は京都市から弁護士、教育委員会関係者、現場教員の方々がお見えになっていました。今年度から始まった「法教育・京都プロジェクト」。その成功のために「視察」にこられたようです。今後、松原の新しい取り組みに注目が集まれば・・・と思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2010-06-15 10:47 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto
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