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大阪府松原市中央小学校授業研究会(201010)。

過日、授業研究会が開催され、参加してきました。
今回は、小学校3年生と6年生の授業を拝見。いずれの授業も11月11日に開催される研究発表会で行われる授業を大会当日とは別のクラスで実施しました。

① 3年3組 代表の役割について考えよう(権威の範囲と限界)
② 6年4組 合意形成をめざして-みんなの意見を大切にして身近な問題を解決しよう-

①の授業は、クラス遊びを決めるクラスの班長は、遊びに遅れる人を少なくすることを目的としたルール「遅れた人は給食当番に代わって、その週の給食の後片付けをしなければならない」を設定したというもの。このルールの是非の検討と同時に、このようなルールを決めた班長は、班長の役割(権限)を超えたものになっているのかいないのかを検討するという「二段構え」の難しい授業です。
→子どもたちはこのルールを丁寧に吟味していました。「遅れる人にも理由があるかもしれない」(「ルールの限界」に言及した良い意見!)「何分遅れたらダメといったようにルールがはっきりしていない」(ルールの明確性に言及した良い意見)「遅れただけで罰するなんておかしい」(手段の相当性に言及した良い意見)が出されており、ルールの吟味自体は良くできていたと思いますが、その続きの班長の役割(権限)を超えているのかいないのかの吟味が時間的な余裕もなかったのか十分ではなかった。。

②の授業は、子どもの安全を第一に考えて、「市長が夜8時以降はどんな理由があっても外に出てはいけない。もし出た場合、その保護者に罰金を払わせる」といった条例を出した、という問題設定。この条例を吟味していくのが本授業です。その際、三者の言い分があり、一つはナオトさんの意見、自分の夢を実現するために、習い事をしている。夜8時以降の外出禁止はその習い事をする上で障害になるという意見。二つ目は、ヨシコさんの意見。自分の子どもが怖い目にあって帰ってきたことを理由にこの条例案に賛成という意見。三つ目は、塾を経営するカワイさんの意見。塾を開いている時間は4時から10時で、この条例は営業妨害も甚だしいといった意見。これらの意見を比較衡量しつつ、自分たちの意見(ルールを認める、ルールを一切認めない、ルールの一部を変える)を構築するといった流れの授業です。
→それぞれの意見の根拠をはっきりさせて議論をさせる手立てがなかったせいか、比較衡量ばかりに目がいってしまいがちですねえ。これは当日までにワークシートを改良するなどして改善しないといけません。やはり、この条例案の目的は「子どもの安全第一」でそれは譲ることが出来ない重要性をもったものです。後、いくつか条例案を作った段階で、子どもから出てくる条例以外の「極端な」条例を複数教師が用意し、子どもから出てきた条例と教師が作った「極端」な条例を比較・検討する中で、この問題を考える上で何が大切なのか(目的の合理性と手段の相当性?)を理解させる、そして、どんなルールでも、法的に大切にしなければならない価値を侵害したものは問題であること、そういったあたりから「人権の知的理解」につなげていくといった作業が必要になると思いました(そこは当日参加の弁護士の先生に説明してもらう手があるかもしれません)。

当日、参加されていた大阪教育大学のN理事からは、ツールの理解を「人権の知的理解」にどうつなげていくのか、その説明が必要になるのでは、という意見もありました。方法知としてのツールだけでなく、内容知としての「ツール」が必要ではないかという指摘だと思います。また、同じく当日参加されていた大阪府教育委員会のN首席指導主事からは、大阪府の青少年育成条例が参考になること、この条例では、青少年がお店(ここではゲームセンターやカラオケ店など)に入ることを許した店側に罰金が科せられるようになっていること、などがお話しされました。この条例も参考になりますし、おそらくこのような条例は他の地域でも作られていると思いますので、探してみて、参考にすることが大切だと思います。

もうひと頑張りですね。当日を楽しみにしています。

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by yasuhirohashimoto | 2010-10-24 16:06 | 研究のこと | Comments(1)

科研申請。

大学の先生方はちょうどこの時期、標記の申請文章を作成するのに「てんやわんや」だと思います。私も、今年度基盤研究(C)一般の申請書作成にそろそろ取りかからないといけないと思いつつ。

「締め切り間近にならないと本気にならない」のは学生時代から成長していない証か(笑)。

昨年「残念賞」でしたが、今年度も「歴史研究」でしぶとく応募しようと考えています。

やっぱり今、自分の研究課題になっているテーマで申請するのが「自然」ですからねえ。

大学は科研費の獲得に全教員全力で取りかかるように様々な手段で仕向けていますが(苦笑)、やっぱり「自然体」でいきたいと思います。

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福井の教員採用試験の結果のご報告です。私のゼミからは、過年度1名、現役1名の合計2名が合格しました。社会系教育コースの他のゼミでは、私が聞いた話だと、過年度が2名合格しているようです。どうも2次は7割だと厳しく、8割だと合格しているようです(専門、面接、小論文それぞれ)。私のゼミ生だと、後もう一歩で合格水準に達していた学生もいましたので、もうひとがんばりですね。今回の試験を反省し、次年度以降の教訓にしてもらいたいと思います。また、私のゼミから東京都を受験した学生さんは「期限付き」でした。この4月から教師として教壇に立ち、来年度面接試験のみを受験することになります。こちらも頑張ってもらえればと思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-20 20:14 | 研究のこと | Comments(0)

法と心理学会。

過日開催された同学会に参加してきました。
今回参加したのは、以下のようなワークショップが開催されたからです。

「法的推論と法教育:心理研究の到達点と法教育への可能性」

市民一人ひとりに対し、社会を構成する一員としての自覚、そして司法に関わる問題への関心が求められている。学校現場では法教育の重要性が認識され、子どもたちに社会の一員としての自覚と責任が深まることが期待されている。このような背景の中、一般市民が司法に関わる問題をどのように判断するのか、およびそれはどのように発達するのかということの解明は緊急の課題である。これらの問題は、心理学においては、道徳性の発達あるいは社会認識の発達という領域のなかで検討されてきた。しかし、それぞれの領域が独立して検討されていること、法教育との関連が十分に議論されていないことなど問題点も多い。
そこで本シンポジウムでは、道徳性発達、社会認識の発達の観点からの研究成果を確認し、さらには、教育現場での法教育の実践についての報告を通して、今後の研究の方向性、および、法教育への発展の可能性について議論していきたい。(法と教育学会プログラム抜粋)

これまでの「法教育」研究は、子どもの「法的発達」段階研究の成果を生かしたものにはなっていません。「発達段階に応じた法教育カリキュラムの構築」を今後目指していくならば、心理学研究の成果も踏まえつつ(参考にしつつ)、研究を進めていくといった態勢も必要になるかなと思います。

このワークショップでは、「言論の自由」の制限を巡る議論(問題のある発言・行為誘導に対してどのように行動すべきか)について、①年少者は全体的に不寛容であること、②判断の理由付けは、「『内容』に注目していた段階から、『自由』に注目し、そして、その両方に注目し、最終的に『権利』に注目していく段階に発達していくこと」「『行為の制限』と『法による制限』を区別できる段階と出来ない段階があり、年少者は区別できないこと」などが研究の成果として発表されました。他のご発表でも、「現在の大学生でも『問題依存』的な判断をしがちであり、抽象的なレベルで考えることは難しいこと」などが指摘されていました。

ワークショップのご提案の一部だけを示しましたが、他にも「法教育」研究者が知っておくべき知見が多々提示されたと思います。

質問の時間がわずか10分と少なく、また、非会員の当日参加費が5000円と教育学系学会の参加費と比べて割高なことに「不満」はありますが(笑)、ワークショップ自体はとても勉強になりました。
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-19 10:32 | 研究のこと | Comments(0)

児童・生徒の習得・活用型学力を育成する・・・

兵庫教育大学の原田智仁先生より過日以下の書籍を献本頂きました。

児童・生徒の習得・活用型学力を育成する社会科学習指導方法と評価に関する研究

公益財団法人 日本教材文化研究財団が本年9月に刊行した研究書籍。「調査研究シリーズ50」号です。

同研究では、小学校社会科における「習得・活用・探究」型の学力ないし学習の機能と相互の関連を明らかにすることを目指したとのこと。また、それらの育成と評価の手立てを学習指導・評価モデルとして構築し、モデルに基づく具体的な授業を試行することで、モデルの妥当性を検証することをねらいとしたとのこと。

研究の方法としては以下が挙げられています。

(1)社会科の学力論・学習論に関する先行研究を整理しながら、社会科における「習得・活用・探究」は学力論が相応しいのか、それとも学習論が相応しいのかを明らかにする。
(2)(1)を踏まえつつ、「習得・活用・探究」の意義と方法を明らかにし、社会科学力ないし学習の全体像に位置づける。
(3)社会科におけるすぐれた先行授業事例の分析等を通して、「習得・活用・探究」型学力ないし学習の育成の論理を究明するとともに、学習指導と評価のモデルを構築する。
(4)小学校高学年の社会科から一定の単元ないし題材を選択肢、(3)の学習指導と評価のモデルに基づく授業・評価計画書を開発する。
(5)(4)で創出した授業・評価計画書に基づく授業と評価を実践し、そのプロセスおよび成果を分析することを通して、学習指導と評価モデルの妥当性を検証する。

「実践研究」の手法を採用し、現在の教育的課題に応えるとても意義のある研究だと思いました。また開発された授業は、「小学校地理学習-『わたしたちの大阪府』の場合-」「小学校歴史学習-『江戸の文化をつくりあげた人々』の場合-」「小学校政治学習-『わたしたちのくらしと地方政治』」の三種類になります。

早速本学の学部生が「卒論研究」で活用しています。これからじっくり拝読したいと思います。下記アドレスを参照頂ければ、内容を垣間見ることができます。

http://www.jfecr.or.jp/pdf/chosa50.pdf
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-14 18:21 | 研究のこと | Comments(3)

経済教育ワークショップ「福井」(2010)。

本年も引き続き開催します。福井での開催はこれで3回目。
今年は中学校の先生方や教員志望学生を対象とした内容になります。
下記を参照の上、ご参加下さい。

篠原総一先生を初め、中学校の現場経験豊かなお二人の先生、
三枝利多先生、奥田修一郎先生をお招きしてのワークショップになります。

http://www.econ-edu.net/announcement/WS2010.11.13.pdf

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献本頂いた書籍も今後ここでご紹介していきたいと思います。
まず第一弾は、広島大学・草原先生からのご献本。

2010年度広島大学教育学部教養ゼミ(社会系コース)学習成果「二十歳のころプロジェクト」

学部1年生を対象とした講義である「教養ゼミ」。本年度、「聞く」「書く」に特化したジェネラルスキルの習得を目指し「二十歳のころプロジェクト」を行ったそうです。このプロジェクトは、学生自身が聞き取りを行いたい人物を決め、アポイントメントをとり、そして、その人物の「二十歳の頃」について取材を行い、原稿化してまとめるといった学習で、この学習を通して、①事実を調べて、記述する、という実証的な研究スタイルを習得する②アポを取る、挨拶をする、礼状を出す、といった社会的なマナーを身につける、③学生としてキャンパスライフを送る=青春を謳歌する指針を自分なりに発見する、という「力量」を養うことを目指すものだそうです。

頂いた書籍には11名の方へのインタビューが掲載されています。その対象は、大学教員や私立学校経営者、バス会社会長、漫画家、市長、新聞記者、アナウンサー、生協副店長など多彩な方々です。

私の同級生もインタビュー対象でしたので、記載された内容を読んで、懐かしく二十歳の頃を思い出しました。

本学でも「大学入門セミナー」という入門科目があります。社会系の場合、共通講義が終わった後で、各教員がオムニバスで自分の専門領域の話をするのですが、、、これはこれで成果はあるとは思います。ただ、草原先生の取り組みは現在の学生に欠けていると言われる上記のようなスキルをプロジェクトを通して学べる挑戦的な試みで、本学の講義改善にも参考になる事例だと思いました。

草原先生、献本頂き、ありがとうございました。

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by yasuhirohashimoto | 2010-10-12 11:03 | 研究のこと | Comments(0)

福井県高等学校NIE研究推進会議(201010)。

昨日標記の会議が福井新聞社で開催されました。
今回が初会合です。初会合の流れは以下の通りです。

(1)発足に当たっての挨拶:福井県NIE推進協議会 寺尾健夫会長
(2)仁愛女子高校教諭による学校設定科目「NIE」の報告
→「NIE」を作った背景からその概要について順次報告がありました。①比較的時事問題に関心が薄い生徒が多かったことが導入の背景にあったこと、②1学期には「新聞に慣れ親しむ」ために、「新聞の紙面構成」「四コマ漫画を楽しむ」「新聞の見出しを考える」などの活動を行う、③2学期には、各々が切り抜いてきた新聞に対して自分の意見をのべ、他者に意見を伝えていくといった活動を行う、④3学期には新聞記事から社会の問題を考えるといった社会問題の考察の「道具」として新聞を活用する、⑤毎週5日分のNIEノートを必ず提出させる。その内容は、新聞記事に示される内容をまとめて意見や感想を書かせるといったこと。
→報告では「評価の難しさ」が指摘されました。
→(ご発表をお聞きしての橋本の感想)3学期の学習内容と「現代社会」「政治・経済」を上手くリンクして実施できればより「相乗効果的」だと思いました。
(3)会議メンバーの高等学校の先生方18名による本年度の「実践研究概要」の報告
→18名の先生方の研究を全体で議論するのは時間的に無理ですので、4つのグループ「歴史」「生き方」「スクラップ」などに分けて各々の実践研究に対する意見交換を行い、これから授業計画を立てていく上で参考にしていただくこととしました。
→(ご発表をお聞きしての橋本の感想)盛りだくさんの内容ばかりで先生方の「やる気」を感じました。福井の先生は、総じて熱心でまじめな方が多く、福井県が「学力上位」に入るのは頷けます。今回お集まりいただいた先生方も「企画書」はとても良くできていたと思いました。ただ、これを実践するとなると、「現代社会」といった特定の科目だけではなかなか難しい。上記しましたが、他の学習活動(クラブ活動や総合的な学習の時間など)との連携で実施するとか、内容を精選するとか、一考する必要があると思いました。
(4)全体討議
→各グループで話し合われた内容についてご報告があった後、寺尾会長、そして私からコメントをしました。
→「法教育とNIE」といったタイプのご発表もありました。それも日本史で。これも楽しみな研究だと思います。

この会の内容は以下の新聞記事にも掲載されています。

http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news0/24126_21.html

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福井県の教員採用試験合格発表が昨日行われました。
うれしい知らせも入っています。また後日のブログにて。
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-09 11:42 | 研究のこと | Comments(0)

後期が始まり。

先週金曜日から後期授業が始まりました。
私の場合、例年通り、前期は比較的時間にゆとりがあり、
後期は講義がいっぱい、というパターン。

ただ本年度は色々と仕事をお引き受けしている関係上、
出張の多い、月曜日・火曜日・金曜日をなるべく空ける。
その上記曜日に入っていた講義を集中講義に変更したりと、調整を図りました。

その結果、水曜日・木曜日に講義や学部卒論ゼミ、院ゼミが
集中的に入り、首が回らない忙しさ。また火曜日に行われる大学院の共同実践プロジェクトは他のコースの先生方も担当されていることから時間変更はできませんので、結局火曜日・水曜日・木曜日が「講義日」になります。

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今日は福井県高等学校NIE研究推進会議の初会合が行われます。今回は各先生方が今年度取り組まれるNIEの授業展開について報告される予定です。私もメンバーですので参加し、先生方の研究に少しでも良いアドバイスが出来ればと思います。今回は初会合なので、マスコミ公開だそうです。明日F新聞他に掲載されるでしょう。

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通知:兵庫教育大学の關先生のブログに小学校4年生を対象にした社会科授業についてアップされていますので、本学の学生は見ておくこと。

http://blogs.yahoo.co.jp/hs920/61665900.html
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-08 10:58 | 研究のこと | Comments(0)

全国社会科教育学会「社会科教育研究の方法論の国際化プロジェクト」第2回シンポ。

過日、CIC東京で開催された標記のシンポジウムに参加してきました。

今回の登壇者・ご発表テーマは以下の通り。

(1)日本の社会科教育論文の特質と課題-欧米の研究方法論のパースペクティブを通して-
 川口広美・後藤賢次郎(広島大学大学院)
→お二人のご発表は、ご自身の博士論文の概要を事例にして、従前行われてきた社会科教育学のあり方(「広島流の研究のあり方」といった方が正確か?)との比較で、自分たちの博士論文と社会科教育学の研究のあり方の違いを明らかにするというもの。
→お二人の研究のあり方は、英国のカリキュラム、米国の教育思想と、現地の具体の教育状況(個別的な教育状況と言っても良いかもしれませんが)とを関連づけて整理しようとするこれまでの「広島流」にはない研究のあり方を示している。一方で、「広島流」は彼らの言葉で言うと、「文脈超越型」「一般化」に当てはまるもの。すなわち、「日本の社会科教育実践に寄与する研究。認識形成などの実践面の課題を視点に対象を切り取ることで、欧米の文脈を超越」している研究。それが従前の研究のあり方。一方で、お二人の研究は、「文脈依存」型であると述べていた。

(2)日本の社会科教育研究の特質と課題-学問・政策・メディアの関わりに焦点をあてて-
 桐谷正信(埼玉大学)
→全国社会科教育学会の創刊号から第72号までに掲載された591本の論文を分類し、全社学の社会科教育研究の特質と課題を明らかにしようとするもの。
→その傾向分析からは「評価研究が少ない」「実践研究が授業構想段階に終わっているものが多い」「地域を取り上げる理由が不明確な地域研究がある」など課題が示されました。

(3)日本の社会科教育学の特質と課題-学問の成立過程とその目的・方法に焦点をあてて-
 棚橋健治(広島大学)
→社会科教育が社会科教育学になるに当たっての諸条件(学習指導要領の文脈から脱すること、教育政策上の教科目としての社会科とは異なる学問体系を持つ社会認識教育として成立する必要があることなど)を歴史的な経緯を踏まえ丹念に整理されたご発表でした。

議論の中では、そもそも「何のために社会科教育研究をしているのか、なぜアメリカの個別的な教育環境を明らかにする必要があるのか」といった「そもそも」論から、「『文脈依存』型で個別事例を『集積』し分析することが一般化につながるのではないか」といったこと、「たんに『集積』すれば良いのではなく、『集積』した後、どのように研究する必要があるのかを整理する必要がある」といったことなどなどが意見として出されました。

最後、鹿児島大学の溝口和宏先生がおっしゃった通り、私も「相対化」のために行うのが外国研究だと思いますし、それ以上のものでもそれ以下のものでもないと思います。とはいえ、常に自分の研究は何のためにしているのか、を考えていくことは大事ですよね。最も基本的な問いですが、これからも大切にしていこうと思います。

次回は3月中旬の予定。アメリカ合衆国から著名な研究者がお見えになりますし、東京G大学のW先生やO大学のY先生が登壇されます。学会に参加し勉強するのも大切ですが、このプロジェクトに出ることも勉強になります。

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その全社学研究大会(同志社大学)。今年は本学の院生・学部生5名も参加予定。G大学のO先生と話をすると、G大学からも学部生が5~6名参加するとのこと。学部段階で学会に参加するのは昔は「敷居が高かった」。最近は皆、積極的です。「向学心」があるというですね。良いことです。同学会は参加者数が多くなりそうな予感がしてきました。
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-06 10:18 | 研究のこと | Comments(1)

「法の日」イベント。

法曹三者が「法の日」イベントを昨日開催しました。
私は日弁連の、小学生を対象にした「法教育」授業を拝見しました。

東京学芸大学附属小金井小学校の6年生の皆さんを対象にして、横浜弁護士会の村松謙先生が授業を行いました。

授業の主な内容は、以下の通り。

Q1:学校のルール、家庭のルールにはどのようなものがあるのか:導入
Q2:掃除当番をさぼるばかりのA君がいた。A君をどうすれば良いのか
A2:掃除をさぼったら、もう一回同じ場所を掃除させる
Q3:(このルールを吟味していく)このルールで良いのか
A3:さぼる人はずっとさぼる可能性が高い:ルールの効果を疑問視する意見
Q4:さぼった人がずっと同じ場所を掃除するといったルールだったらどうでしょうか
A4:さぼったことに対して罰則が重すぎるのではないか:「公平性」の問題
Q5:そうじをサボった人にグランド10周走らせる」というルールだったらどうでしょうか
A5:掃除の目的と関係ないルールではないか:掃除の目的と関係のない手段でのルール
Q6:掃除をさぼった人に1時間正座をさせるとはどうか?
A6:身体に関わることは問題ではないか:体罰の問題
Q7:そもそも掃除をさぼるって、どういうことなのか?1分でもさぼってもさぼることなのか?
A7:量と質に対応してルールは作られるべきである
Q8:(いや、質問が悪かった)さぼるってことは「あいまい」表現ではないのか?
A8:(教師による説明)ルールは明確にしないと問題がある:ルールの明確性
Q9:「掃除をさぼったらもう一回同じ場所を掃除させる」をA君にも適用すべきか?
A9:(教師による説明)悪いことは悪いが、今まで罰がなかったのに、ある日突然、ある行為が罰になった。そして適用されたら、どう思うのかを考えてみればよい:事後法の禁止

大きくはこの流れで、最後まとめて、授業は終了。

まず子どもたちが洗練されている。これが一番の感想。A7などの回答は通常の6年生だと出てこない。白板もワークシートも何も使わず、ひたすら村松先生が問い、子どもたちが答える(教師が説明する)。その内容を子ども達は教師が特に指示することなく、ノートにメモしていく。今の高校生(大学生)でもできないことをすらすら当たり前のようにする子どもたち。まずこれに「唖然」。村松先生も丁寧に進めておられた。そもそも、子どもの反応(回答)を受け取り、それを教材にし、授業を進めて、教えるべき内容(ルールが本来備えるべき要素:「公平性」「明確性」などなど)を教えており、授業の進め方は難易度Aクラス?(笑)。良い授業だったと思いました。

一方で課題は「事後法の禁止」。これは子ども文化ではわかりにくい。「悪いことは悪い」が通常ですので。ここの発問の工夫は必要でしょう。

授業の振り返りは以下のブログにて(村松謙先生のブログ)。

http://yaplog.jp/teng/monthly/201010/

札幌弁護士会、綱森先生のブログにもその様子が示されています。

http://tuna-lre.jimdo.com/
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-03 06:57 | 研究のこと | Comments(0)

中国弁護士連合会「法教育シンポジウム」。

過日、松江市ホテル一畑で開催された見出しのシンポジウム。
その概要は以下の通りです。

■基調講演(橋本康弘・後藤直樹先生)
私からは「法教育の三原則」について新学習指導要領との関係で説明しました。また、法教育を実践していく上での課題も明らかにしました。後藤先生からは「弁護士が法教育に取り組む必要性」やコールバーグの「道徳意識の発達段階と発達段階に応じた法教育の在り方との関連」を取り上げて説明されていました。
■授業実践報告(島根県立隠岐島前高校、島根大学教育学部附属中学校)
隠岐島前高校の武藤先生からは、「ルールに関する7/8つの視点」(ルールの内容の公平性など)を学習させた後で、そのルールに関する視点を「活用」する学習として「体育館使用のルール決め」そして、さらに発展した学習として現在の法制度を検討する「大人になるのは何歳がいいの?成人年齢を巡る議論から考える」を展開されており、その授業実践の詳細について、また各授業の際の課題について明らかにされました。武藤先生からは「授業時間が足りなかったこと」「対立する議論を『収斂』させることを放棄する生徒がいたこと(どちらも言い分が言い分として成り立ち納得できるものだから、合意を作り上げるといった行為自体を放棄するといった状況が見られること」などが挙げられました。また、島前高校から授業に参加した近藤君と大脇君(2年生)からも感想が述べられました。
島根大学教育学部附属中学校の前島先生からは法務省が作成した「法教育Q&A」に示されるゴミ出しのルールづくりを実践された報告を中心にされました。この実践は有名なもので既に追試が全国で行われている内容です。前島先生からのご報告にもあるように「教師自身が法について系統的に学んでおらず、法の解釈や手続きに慣れ親しんでいないと、自主的に教科書を再編し補い法教育を展開していくことは難しい。今回、弁護士の方々と授業を行うことには、このような教師側の弱点をカバーするメリットが大きい」とあるように、法曹関係者との連携が「法教育」の成功には欠かせないことが明らかになりました。また、三人の生徒さんからは、「ルールづくりを学ぶ意義」が報告されました。どうも「ルールを作って学ぶ、そして守ることが大切」といった感想が多く、特に後者が強調されています。生徒さんがおっしゃる感想はだいたい同じようなもので、私としては「ルールを作る、学ぶ意義」はあくまで「自由で公正な社会をつくる=市民の役割」と位置づけそれが重要だと捉えてほしいと思いました。
■パネルディスカッション
時間を30分とっていたのですが、実際は10分もなく。私と後藤先生から二つの授業実践の感想が述べられ、最後に質問を1件受け付けてシンポジウムは幕を閉じました。

日弁連「市民のための法教育委員会」のM事務局長とも話をしましたが、「法教育」に関わったことのない、初めて「法教育」について聞いた先生方にとっては新鮮なシンポジウムではなかったか、と思いますし、「初心者」向けシンポジウムとしてはかなり完成度の高いものだったと思いました。また、教員研修向けのシンポジウムだったとも思います(もっと島根の先生方に来てもらえれば良かったのでは、と思いました)。

220名近くの参加者で盛会に終わりました。私は体調がいまいちで終わった後の懇親会は失礼しましたが、「出し物」が有名なようで、きっと楽しい一時になったのではと思います(前夜祭は、隠岐料理で新鮮な魚介類、「のどぐろ」も美味しかった)。

各新聞社サイトにもシンポジウムの記事が掲載されています。私が見つけたものは以下の通りです。

http://mainichi.jp/area/shimane/news/20101002ddlk32040487000c.html
http://www.shimanenichinichi.co.jp/kiji/show/14314

また、横浜弁護士会M弁護士のブログ「天狗の庭」でも取り上げて頂きました。

http://yaplog.jp/teng/
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by yasuhirohashimoto | 2010-10-03 05:56 | 研究のこと | Comments(2)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


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