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対立と合意、効率と公正。

新学習指導要領中学校社会科公民的分野で「現代社会をとらえる見方や考え方の基礎」として提示されたのが、この対立と合意、効率と公正になります。

今回の学習指導要領改訂では、その改善の基本方針として「社会的見方や考え方を養うことを一層重視する」としています。

社会的見方や考え方については、中学校社会科公民的分野で、政治や経済についての見方や考え方が従前より示されているところですが、このたび新しく中学校社会科公民的分野で上記の概念的枠組みが提示されたところです。

また今回提示された概念的枠組みは、大項目(1)イで習得した後で、大項目(2)以降の学習で「活用」すること、大項目(3)イで習得した概念的枠組みを用いて「探究」することを想定しています。

言ってみれば、中学校社会科公民的分野のキモにあたる概念的枠組みということになります。

ただどうも、現場では「公正」は授業化しやすいようですが、「効率」がなかなか難しいようです。

経済教育ネットワーク(http://www.econ-edu.net/)がこのことをテーマにシンポジウムを開催予定のようです。ご参考までに。

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今月は本当に忙しかった。明日でようやく一区切りになります。明後日から溜まった原稿を一つ一つ片付けていきます。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-29 18:37 | 研究のこと | Comments(1)

広島大学附属福山中高等学校研究大会(2010)。

昨日標記の研究大会に参加してきました。
私が福山附属に勤務していたのは今から約8年前。
3年ぶりに学校最寄りの東福山駅に降り立ちました。

駅前の様子は全く変わることなく、また途中学校までの
急坂を徒歩で移動しましたが、これも周りの様子は変わりなく。

社会科教室がある棟に入ると、教室は改装されきれいになっていました。
私が勤務していた時から考えると見違えるばかり。

昨日はまずお二人の社会科授業を拝見。

■森才三先生「近世朝鮮王朝における『朱子学』の受容と自国意識の形成

この授業は、小単元「朝鮮/韓国のナショナリズム」(6時間)のうちの2時間目に
当たります。なお高校1年生を対象にした世界史の授業です。

森先生の最近の研究テーマは各国の「ナショナリズム」「自国意識の形成」を歴史的に解明することで、現在発生している諸課題のバックボーンにある《思想性》を明らかにするといったこと(私の解釈ですが)。今回は韓国のナショナリズムについて、儒教の受容が李王朝の現実的な政策から出発したものだったが、やがてそれが「儒教の国」という意識を形成させるようになったこと、また、「儒教の国」という自国意識は「小国」意識を含意しているということなどを探求させる授業でした。

教材研究がしっかりなされており、いつもながら、とても勉強になる授業です。ただ、この「まとめ」に示される知識も解釈なんですよね。一つの見方であるということだけははっきりさせなければなりません。

■見島先生「さまざまな面からとらえた日本~人口の特色をとらえよう~」

この授業は中学校2年生を対象にした、地理的分野の授業。「世界の人口分布とその変化について」学ぶ小単元のうちの1時間に当たります。この授業は、日本の人口数が上位の5都市を地図化するところから始まり、続いてインドの人口数が上位の5都市を地図化し、どのような違いがあるのかを子どもたちに考察させます。この地図化の過程で子どもたちは、日本は「一極集中型」であるのに対してインドは「多極分散型」であることがわかります。そして、MQとして「なぜ、世界の国々には一つの都市の人口が集中する国と複数の都市に人口が分散する国があるのか」について段階を追って探求させる授業になっています。最終的な結論としては「多くの発展途上国の場合、首都の経済効率を高め成長させるために財政や投資を集中させているので、首都と他の都市との格差が広がり、『一極集中型』になるのに対して、多くの先進国は単一国家であり、さまざまな機能を中央政府のある首都に集中させているので、首都に人口が集まり『一極集中型』になる。連邦国家は、複数の州などが結合して形成されたため、各州の中心都市に人口の集まり『多極分散型』になる」といった都市システムの概念的知識を子どもたちに理解(習得)させることを目的としています。そして最後になぜ日本で「道州制」や「首都機能移転」が議論されるのかについて、習得した概念を使って活用させ考察させるといった場面を設定しています。

指導案で拝見した時には「とても良い授業」だなあと思い、楽しみにしていたのですが。少し単調な感あり。指導案に改善の余地ありです。助言者のK先生が「広島の院生に改善案を作成させる」と言っていましたので、それを楽しみにしたいと思います。とはいえ、「(内容的に)優れた指導案」であるのは間違いないところ。事実認識を踏まえ、帰納的に考察させる中で、概念の探求を段階を追って図っていく。「ちゃんとした授業」を久しぶりに拝見したところです。

二つの授業の助言をK先生が行う。二つの授業を類型化し、改めて意義付け、説明されていました。

私からは「法教育のこれまでとこれから」をテーマに、新学習指導要領にみる「法教育」から政策面での「到達点」を明らかにし、これからの「法教育」のあり方を、シティズンシップ教育としての「法教育」と社会認識教育としての「法教育」の二面から説明しました。

参会者が多かったですねえ。社会科教室の後ろにもイスを並べ、満席でした。

途中休憩の際に、参会されていたある高校の先生とお話しました。「福山附属は批判的思考力育成では『全国一』の先進校だと思う」ので参会されたとのこと。うれしい限りです。

フロアーからの意見交換の際には、参会者から「議論させたり、じっくり考察させるような『活発』な授業場面がなかった」ことに対する意見がありましたが、森先生は「今日の授業が予定通り終わらなかったのは、生徒に質問したためだ」と皮肉?めいたことを言っておられました。しっかりした事実認識こそが批判的思考力の育成の基盤であるといったことを言いたかったのだろうと思います。ただ習得した知識全体を使った単元最終段階で想定される「活用」場面(授業)で批判的思考力を直接育成するような授業も今後必要になると思いますし、福山附属であればそれができると思いますが。いかがでしょうか。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-20 16:07 | 研究のこと | Comments(0)

日本社会科教育学会研究大会。

昨日までの予定で見出しの大会が開催されました。
私は都合で1日目午前中だけの参加でした。

久しぶりに筑波大学に行きましたが、つくばエキスプレスが出来て、とても便利になっていました。駅前は真新しいホテルも数軒出来ており、「都市化」しつつありますね。

私が司会を担当したのは「公民教育・法教育」部会でした。感想は特になし。ただご発表の中には興味深い実践発表もありましたので、今後の私の研究の参考にしたいと思いました。

本学の院生が二人参加していましたので、1日目午後や2日目の様子について話を聞いてみたいと思っています。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-15 08:09 | 研究のこと | Comments(0)

松原市三中校区合同研究発表会

過日、見出しの件、1000人弱の参加者を得て行われました。
松原市立第三中学校を拠点に、布忍小学校、中央小学校、中央幼稚園、布忍幼稚園で構成される校区での人権教育に関するこの3年間の取り組みについて、広くその成果を問うことがこの発表会の目的。

当日は、「人権の知的理解」「生き方・共生」「人間関係スキル」の三つの領域について、各幼・小・中での公開授業を初め、第三中学校での基調講演、三つの領域などに関する分科会が開催されました。

私は中央小学校で公開授業を一通り拝見しました。「人権の知的理解」に位置づけられた「法教育」実践、これは過日既にブログにアップした「中央小学校授業研究会」で実施された授業を改善し別のクラスで執り行ったものです。いずれも前回の課題を踏まえつつ修正したようですが、成功したでしょうか。今回はじっくり拝見できなかったのが残念です。

基調講演の後の「分科会」が私の出番。「三中校区における人権の知的理解学習の意義-リーガルシティズンシップの育成を視点にして-」というタイトルで講演しました。時間の関係もあり雑ぱくな話に終わったなあと少し反省しています。

講演の際にもお話したのですが、以前は中央小学校だけの「法教育」カリキュラムだったのが、布忍小学校のカリキュラムと合わせて、また第三中学校の実践とも関連させつつ、肉厚なカリキュラムになってきました。ここまでしっかりした内容を伴った「法教育」カリキュラムは全国的にはまずないので、そのこと自体まず、評価できると思います。

今後は三中の内容との関連をどう作っていくのか、だと思います。後は幼稚園との関連ですね。アメリカでは幼稚園でも「法教育」をやっていますので。とりあえず幼小との連携でどう内容を設定し、また「差別化」するのか、でしょうか。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-15 07:39 | 研究のこと | Comments(0)

明日は松原へ。

明日は松原市立第三中学校区の合同研究発表会です。
この三年間、文部科学省の指定を受けて進めてきた人権教育の研究発表大会。
私も、「人権の知的理解」部会で講演をします。

三中校区では「法教育」と人権教育のコラボレーションのあり方をこれまで検討してきました。
私自身は、人権概念を「絶対化」せず「相対化」するのが「法教育」の役割だと思っていますし、そうすることが従前の人権教育の発展に寄与すると確信しています。

なかなか難しい課題に取り組まれた三中校区の先生方、大会の準備に余念がないと思います。
明日の「研究授業」楽しみにしています。

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今週から始まった「社会教材研究」の集中講義。日曜日が第1回で、3コマ講義をしました。
比較的出席率もよく(1回欠席すると3回分欠席ですからねえ)、まじめに授業を受けていたと思います。ただこれまで毎週1回のペースで計画した講義でしたので、集中講義でやるのは少し内容的にハードかなと思います。欠席した学生もその理由を明示し、宿題を取りに来ました(私の講義は「宿題」が出るものがあります)。その調子でこれからも頑張りましょう。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-10 21:24 | 研究のこと | Comments(0)

全国社会科教育学会全国研究大会(2010)。

過日、同志社大学で開催されました。
参会者は450名近くにのぼり、盛会でした。

研究テーマは「研究方法からせまる社会科」といったように、
現代的要請に関するテーマ、ナショナルカリキュラムの改訂を踏まえたテーマ、
ではなく、むしろマニアックなテーマでしたので、参会者は少ないのでは、、
と思っていたのですが、むしろこういったテーマの方がオンリーワンで、興味を引かれ
て参会された方も多かったのではないかと思います(もちろん、地の利も大きいのですが)。

シンポジウムを聞いていると、理論と実践との遊離を否定的に捉えるご発表が耳に付きました。
ちなみに私は「色々あっても良いのでは」、と思う楽観主義者です。

シンポジウムの間、私はこれまで進めてきた研究履歴を振り返っていました。
アメリカ法関連教育のカリキュラム分析研究から、アメリカ法関連教育カリキュラムの類型化を進める。
そして最近は法関連教育史研究の角度からアメリカ法関連教育を歴史的に研究するといった
「外国研究」「(外国)歴史研究」を踏まえた「理論研究」?を行っています。

「外国研究」をしつつ、アメリカ法関連教育の全体像を考えると、だいたいこのようなカリキュラム類型で良いのでは、という「落としどころ」を探る研究。そして「(外国)歴史研究」を進めることで両者を融合した「理論研究」を進めるといったアプローチです。

この研究を進めつつ、日本の「法学習」改革のために、日本にとって目新しい、アメリカの法関連教育研究の成果(授業構成論)を生かした新授業をこれまで提案してきました。

「理論研究」を生かした実践提案といったところでしょうか。

まあそれが、たまたま、(日本の)時流に合っていて、法務省や文部科学省の「意図」(法務省法教育研究会、法教育推進協議会による「法教育」運動、学習指導要領の改訂)に乗ることになった。もちろん、この間の、法曹三者、司法書士会、特に弁護士会の「法教育」進展に対する影響は大きなものだったわけですが。

これから私は何をすれば良いのか(笑)、もちろんアメリカ法関連教育の体系化研究を引き続き行うのですが。やや今更感があり、そもそも現代的にこの研究は意義があるのか。。ということをもうちょっと整理しないといけないですね。

何か色々と考えさせられたシンポジウムでした。

二日目午前の課題研究は「政策研究」に参加。コーディネーターによる「斬新」な会の進め方が印象に残ります。二日目午後の「自由研究」発表の司会を無事済ませ、今年の全社学も終了。

来週は筑波大学での日本社会科教育学会。大会のテーマは、新学習指導要領の実施を目前に控えた「持続可能な社会形成」の構築に社会科がどう寄与すべきかといったテーマだったと思います。今日的ですね。是非興味の在る方は参加されてはいかがでしょうか。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-06 15:41 | 研究のこと | Comments(0)

法教育シンポジウムin京都。

過日、見出しの会に参加してきました。
会場のアバンティ京都はJR京都駅に直結しており、交通の便がとてもよく。。ただ参会者が少なかったのが残念でした。シンポジウムの概要は以下の通りでした。

①京都大学の笠井先生による基調講演。
→今年度から始まった「京都法教育プロジェクト」についてのご報告でした。

②実践報告(1)立命館中・高校の加賀山先生による中学校1年生を対象にした「ルール作り」の授業。
→地理的分野での実践で、京都の町並み景観を乱すマンション建設について、その是非を、マンション販売会社や地域住民などの立場に立って議論していき、最後に京都ではこのような問題に対処するために景観に関する条例があることを学ぶといった授業でした。
→1年生の学習ですので致し方ない点もありますが、もう少し主張の理由、そして裏付けとなる法的根拠を明確にする授業として組織しないと、子供たちの「経験知」だけの授業になり、一般の先生からみれば、社会科の学習としての意義が見いだしにくいものになります。

③実践報告(2)立命館宇治高等学校の太田先生による「模擬裁判」教材の提案。
→立命館宇治高校は、今年度の模擬裁判選手権関西大会の準優勝校。そのチームのメンバーもおられたと思いますが、太田先生が作成された模擬裁判資料を用いて、検察側・弁護側が論を組み立て、模擬裁判を進めていくという内容。
→いずれにしても、手慣れた進行でした。実際の授業は生徒が行う模擬裁判を他の生徒が見て、判断を下すという授業のようです。
→この様子をご覧になった学校の先生はびっくりしたのではと思います。プロ顔負けですから。ただ一方で「法教育」の実施に不安をもたれた方もおられたのでは。それが心配です。

④パネルディスカッション「法教育の普及における地域社会の役割~学校と地域社会はどう連携すべきか~」
→弁護士会、教育委員会、学校現場、などとの連携でどう法教育を進めるべきかを議論しました。

新しい教育課題として取り上げられた「法教育」。新学習指導要領の盛り込まれはしましたが、現場の多忙感、「法」を教えることを得意とする先生が少数であること、時間のかかる「思考型」法教育という点を考えると、浸透させるのはなかなか難しい。あまり時間がかからない(1~2時間)内容のもので、現場の先生の「専門性」が問われる授業を複数パッケージ作成する。といったところからスタートするのがよいのでは、と思います。今後の課題ですね。


なお、このシンポジウムについては以下のホームページも参考にしてください。

http://yaplog.jp/teng/
http://tuna-lre.jimdo.com/2010/10/31/法教育シンポジウム-未来を拓く法教育in京都/
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-03 21:15 | 研究のこと | Comments(0)

11月。

もう後1ヶ月で師走ですよ。
あっという間の一年だったような気がします。
明日位は、のんびり今年を振り返りたいのですが・・・
そうもいきません。。
今月は今年一番忙しい月になると思います。

原稿の締め切りも抱えていますが、それ以上に講演が続き、
また、通常週1回担当している講義を今年は事情があり集中
講義にしたのですが、その集中講義も土日を使い今月から始まります。
カスミの仕事も・・・。

この状況もあり、私は共同研究者ながら参加できませんが、
昨年まで基盤研究(B)で研究した成果をNCSS・CUFAで
発表される諸先生方。上記の仕事をキャンセルしてデンバー
に行きたい位ですが(笑)、参加できないのが残念至極です。
ご健闘をお祈り申し上げます。

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福井は急にしぐれ、雷鳴がとどろき。
いよいよ秋から冬へ向かうのですね。
寒さ対策を早々にしないと。。
もうそんな季節です。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-02 19:57 | 雑記 | Comments(1)

広島県神石高原町を訪問しました。

過日、研究会に参加するため、神石高原町に伺いました。
同町は福山市の北、岡山県の県境と隣接している町。
福山市から車で約1時間かかります。

泊まりは「湯っくら三和」。スーパー銭湯と「宿泊施設」
が結合した施設。露天風呂は気持ち良かった。

翌日午前中は油木小学校を訪問。算数の授業を3つと、
道徳の授業を拝見しました。

算数はいわゆる「問題解決学習」を採用し、さらに「言語活動の充実」に資するべく子供たちの「説明力」の育成を図る授業を展開されています。

とにかくコミュニケーション力が学年を追う事についてきていることを実感しました。
ただ一方で「説明力」だけではなく、「説明」した内容に対して子供たちに疑問をもたせる工夫も必要だと思いました。

午後からは、中学校の研究大会。
会場の三和中学校では、「社会科」「体育」「数学」の「言語活動」に関する授業実践が行われた後で、授業批評会、そして最後に、私が「言語活動の充実」に関するお話をしました。

とにかく、子供たちは素直で、純朴で、まじめな子供たちばかり。
こんな学校に勤務できる先生をうらやましく感じました。

拝見した授業は課題がいくつかありましたが、生徒があれだけ良いのだから、
しっかり教材研究して授業構想を練って授業を作れば、課題はすぐに解決できると思いました。

これからも目の前にいる子供たちの「学力」をつけるべく、ご尽力ください。
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by yasuhirohashimoto | 2010-11-01 22:28 | 研究のこと | Comments(0)

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto
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