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法務省法教育シンポジウムin福岡。

過日、見出しの会が開催され、私も参加してきました。

シンポジウムは、まず最初の基調講演で東京大学の大村敦先生から、「法教育の源流」を訪ねると題する講演がありました。講演自体は、戦前の実業学校で東大の先生方が「法学習の充実」に尽力されたことが中心的な内容でした。

また、福岡教育大学附属久留米小学校の4年生を対象とした、学級活動で「クラス遊びのルールを見直そう!」をテーマに「法教育」が行われました。

それは「ドッジボールを行うにあたって、みんなが楽しく遊ぶためのルールはどのように構築できるのか」についてクラスで議論するというもの。「ボールを持った人が判断し、ボールを譲る」べきなのか、「投げる回数を制限するのか」といった提示された「解決策」について、それぞれの解決策の是非を子どもたちが話し合います。

「全然ボールが回ってこなくて楽しくない」「譲り合う気持ちが大切といいながら、同じ人が投げている」「そもそも思いっきり楽しめない」といった意見が提示された後で、「クラス遊びのドッジボールと体育の時間にするドッジボールは目的が同じなのか」「みんなが望むのは、ゲームの楽しさか、参加する楽しさか」「初めて取った子に『ゆずって!』ということは正しいのか」「回数を決めることで、他のもめごとが発生しないのか」「投げる人が偏る原因から、それを減らす方法は他にないのか」とった観点から、クラス遊びのルールを練り上げる過程を通して、「みんなが楽しみという目的を忘れずに、ボールを持った人の立場を判断したり、投げていない人を確認したりして、譲り合って、みんなが参加できるように工夫していくことが大切である」ことを確認する学習となっています。

なかなか子どもたちは頑張っていましたが、どうしても小学校4年生に議論させると「はいまわり」ますね。議論させる場合、テーマを大きくとって、長い時間議論させるのではなく、テーマに段階性をもたせ、短い時間で議論させるなどの工夫が必要です。

ただ従前言われている学級活動の「衰退」の歯止めにも、「法教育」は活用できそうだということは同授業を拝見してわかりました。この分野の研究も今後必要になるでしょう。

後半はパネルディスカッション。福岡教育大学の豊嶌先生をコーディネーターに、文科省担当官、福岡弁護士会弁護士、内閣府担当官、前検事総長、久留米小学校の先生、芸能人によるもの。

諸先生方の「法教育」に関する見識を伺うことができて、とても良かったです。
また福岡弁護士会の先生による久留米小学校の授業分析は秀逸でした。

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1件「宣伝」。

日本文教出版の「社会科教室」第51号(pp.8-11)に拙論を掲載頂きました。

「新・中学校社会科公民的分野の基本構成-目標を視点にして-」

改訂学習指導要領の、中学校社会科公民的分野の構造を、目標分析から明らかにしたものです。

ご参考までに。
by yasuhirohashimoto | 2009-02-25 14:35 | 研究のこと

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto