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特別支援学校における「法教育」。

過日のブログにも記しましたが、第二東京弁護士会で講演をした折りに、
特別支援学校で「法教育」実践を行うので、是非見に来て下さい、との依
頼を受けました。

橋本はこれまで特別支援学校を訪れたことは一度だけです。ただ、特別
支援学校における「法教育」の取組は管見の限り、ほとんど日本では行わ
れていません。



今回訪問したのは、東京都立矢口特別支援学校。
校長先生が前任の学校で「法教育」に取り組まれた縁で、矢口特別支援学校
での実践につながったようです。

今回拝見したのは、軽度の知的障害を持つお子さんたちのクラス(高等部)。
劇仕立てで、キャッチセールスを行い、巨人戦の当たりくじを「えさ」にお店に
連れて行き、お店から出てきた「怖いお兄さん」が高額の商品を購入させよう
とする、そういったお話を見て、自分たちはどうすれば良かったのか、について
考えていくといった流れ。典型的な消費者(保護)教育の教材でありました。

子どもたちの反応は、「くじが無料というのがそもそもおかしい」(既有の知識
からの疑問)「巨人ファンでないからついていくことはない」などなどありました。

「どうすれば良かったのか」については、「逃げる」「相談する」といったある意味
子どもたちにとって「生きるための知識」をしっかりわかっており、最終的に、先生
がそれを確認する。「逃げる」という行為を子どもたち自身に劇仕立ての中に入れる
ことで経験させる、そうすることで「文字」だけでなく「体験」で繰り返し学ばせる、授業
にはそういった特徴がありました。

最後、弁護士の先生が、「クーリングオフ」制度について「相談する」と関連させながら、
わかりやすく説明していました。

ただ、「逃げる」「相談する」といった点に子どもたちの視点は釘付けで、なかなか制度の
理解まで十分到達できたのか、微妙だったと思います。

学校の先生のお話を聞いていると、「重度」よりも「軽度」の方が消費者教育が必要だ、
とおっしゃっておられました。実際の場面だと、お店に連れて行かれると、逃げ出しにくいの
げ現状ですし。連れて行かれないようにする、最初が大切なのだと思います。

また「法教育」をどうするのか、消費者教育的な側面だけでよいのか、考えてみる必要も
あるなあと思いました。
by yasuhirohashimoto | 2012-12-18 00:00 | 研究のこと

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto