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法教育シンポジウムin福井、回顧。

過日、標記のシンポジウムが150名を超える参会者を頂き、開催されました。
橋本の基調講演は、以下の通り。

1.「地域の問題は自分たちの問題」-「自助、公助ではなく共助の時代」
2.それらの問題を解決するための手法-「法的な思考方法」-
3.「法教育」とは何か-4つの特徴と最も重要な要素=「思考方法教育」-
4.新学習指導要領の趣旨と「法教育」-コンピテンシー論から迫る-
5.新学習指導要領における「法教育」-社会科と道徳・特別活動を中心として-
6.新学習指導要領における「法教育」の実際
7.今後「法教育」を進めるにあたっての課題

これらの内容を30分で話しました。

その後で、小学校・中学校・高等学校における「法教育」の取り組みについて、
小学校は、清水北小学校の白木先生による「ルールのランキングの授業」、
中学校は、明道中学校の森川先生による「効率と公正を関連付けた高速道路の無料化の授業」、
高等学校は、藤島高校の青木先生による「模擬裁判選手権福井県予選」、を
それぞれご報告されました。

最後はパネルディスカッション。
エッセイストの安藤和津さんを交えて、コーディネーターは、法務省の丸山さん、
パネリストは、金津高校の三田村校長先生、野坂弁護士、青木先生、そして、橋本でした。

香川・山梨・福井と続いた「法教育シンポジウム」ですが、三者三様で良かったです。
特にパネルディスカッションは三箇所とも「法教育の普及に向けて」がテーマでしたが、
登壇者が変わると、話の内容も変わるものですね。今回は、「『法教育』をわかりやすい
言葉で表すとどうなるか」といったコーディネーターの問いが、「法教育」の社会的・
教育的意義を聴衆に伝える意味で良かったと思いました。

採録記事は明日の福井新聞朝刊(一面記事)に出るようですので、ご覧下さい。
# by yasuhirohashimoto | 2012-03-28 00:00 | 研究のこと

inニューブランズウィック(3)。

ニューブランズウィック滞在三日目。この日が一番ハードでした。

ラトガース大学のイーグルトン政治センターにて、マット-先生から
ラトガース大学が取り組んでいるRU Readyプロジェクト(政治参加
に関するプロジェクト)について説明を受ける。

なにぶん早口であまり聞き取れなかったのですが、政治学専攻の
大学生が高校で「政治参加教育」を実施するプロジェクト。大学生が
学校現場で教えることで、自分たちが習得した知識を用いて説明を
行い、知識を確実なものにする?高校生は大学の教育について、
理解を深めることを目的としているようです(ラトガース大学への進
路決定を後押しすることが真の目的?)。

ただpolitical skillという言葉がキーワードのような気がしました。
このskillを大学生が身につけ、高校生も習得させることが重要だ
といっていたような気もします。

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その後で、このRU Readyプロジェクトを行う場に立ち会いました。
エディソンハイスクールでの授業見学です。

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授業の概要は、自分たちが実現を願う「政策」について、その「政策」を実現するための
方略にはどのようなものがあるのかをグループに分かれて提案させ、それを実際に生徒
にやらせてみる。

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例えば、プラカードを作ってみよう!という「方略」を考えた生徒は、その「政策」に関する
賛否を示すプラカードを実際に作成する。

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この授業の後で、この授業を受けてみての感想などについて生徒たちからヒアリングしました。

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遅いランチを食べた後で、ラトガース大学の、初等教育と中等教育の「社会科教育法」の講義を参観しました。講義を半分づつしか見ていないので、拝見した内容についてのみ言及しますが、中等の授業は、エングル・オチョアの「意思決定モデル」を参考にして、チャータースクールの財政支援に関する論争問題をどう授業化するのかといったことに関する演習、初等の授業は、大統領選挙の学習について学習の組織化の論理としてのステーション方式を採用し、大統領選挙の学習の授業づくりを体験させる?といった演習でした。

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講義が終わった後で、中等教育担当の、学校現場での長い教員経験を経られた先生と懇談。

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今回の渡米を総括して、一番面白かったのは、この「社会科教育法」の講義でしたかね(苦笑)。
非常に緻密に講義が組まれていました。特に中等教育の講義の方法については感銘を受けました。
これまで比較的橋本が「授業づくり演習」をするときには、学生さんの希望を重視してテーマを決めて、
グループに分かれて授業を作ってもらっていました。ただ今回拝見した中等教育の講義の方法は、
授業のプロセス(「意思決定モデル」)を踏まえた、また、論争問題テーマも教員が設定し、それに
関する授業づくりになっていて、その論争問題テーマの内容(論争点など)についても教員がしっかり
理解し、そして、どこを調べれば良いかを把握した講義展開になっていました。

自由にテーマを決めて授業を作る「前段階」の講義として適切だなあと感じました。

ニューアーク(10:45)→成田国際(翌日15:00)CO79
成田国際(17:55)→小松(19:15)NH3116

翌日、無事帰国しました。
# by yasuhirohashimoto | 2012-03-27 00:00 | 研究のこと

ソーントン先生の講演会。

過日、南フロリダ大学のスティーブンソーントン先生の講演会に
参加してきました。

ソーントン先生にお会いしたのは、ちょうど今から4年前。2008年
9月に南フロリダ大学を訪れました。

http://yhasimot.exblog.jp/9579972/

本来は昨年3月にお見えになり、ご講演頂くことになっていましたが、
震災もあり、約1年延期になりました。

今回は先生のご著書に基づいたご講演。「ゲートキーパー論」
についてお話頂いたということです。

橋本はご講演を聴いた段階で失礼したので、その後で、どのような
質疑が交わされたのかよくわかりませんが、「ゲートキーパー論」
自体はこれまで、それこそ「見える化」してなかっただけで、ある意味
「当たり前」の話だったように感じました(実は、後々、現在N大学のK先
生とお話した際、K先生も同じご意見だったようです)。

ただ「当たり前」なのですが、それを「見える化」することによる社会科
教育的意義はかなり大きいように思えます。

「ゲートキーパー論」について説明するのも何なので。
詳しくは、下記のホームページを参照して下さい。

http://socialstudies0912.blog111.fc2.com/blog-entry-867.html#more
# by yasuhirohashimoto | 2012-03-26 00:00 | 研究のこと

inニューブランズウィック(2)。

ニュー・ブランズウィック滞在二日目。
朝方、ルービン先生と院生の方がホテルに
来られる。

ラトガース大学までは徒歩15分程度。天気が良く、暖かい、というか、暑かった。

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部屋に案内されると、早速学科長がお見えになる。
福井からの留学生日下部太郎(福井藩士)とグリフィスがラトガース大学で親交を深めた縁で、グリフィスは、福井藩の藩校明新館で理科を教えることになる。グリフィスはその後、現在の東大に移り、物理と化学を教える訳ですが、日下部太郎とグリフィスの縁で、ニューブランズウィックと福井市は姉妹都市になります。その辺りの話をされていました(グリフィスを扱った展示会を本学の図書館でも以前やっていました)。

他にも副学科長の先生もお越しになり、しばし雑談。

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その後、院生二人に連れられてキャンパスを見て回りました。

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午後はランチの後で、公民教育センターの「ニュージャージー支部」のディレクターであるガードナー氏から、プロジェクト・シチズンの概要について、パワーポイントで説明を受けました。

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プロジェクトシティズンは、邦訳されていますので、興味のある方はご購入されてはいかがでしょう。
政治的社会参画学習の典型的な学習プロジェクトで、「手続き重視」のカリキュラムです。

当日最後は、今回の有権者科研の目的などについて、提案を行い、ルービン先生と議論をすること。

ルービン先生は高等学校での「政治参画学習」設計をこれまでされてきましたので、我々が主として目指している小学校での「政治学習」構築について、とても興味をもたれました。特に、「小学校で政治学習を行う上での課題」を質問されました。日本の小学校では政治的論争問題が好まれない傾向がある、政治的論争問題を学習する場合でも一つの結論の終着させる一つのストーリー性が求められるなどがありえます。ただ、最近では、お茶の水女子大学附属小学校のように、政治的論争問題を中心に授業を展開している学校もあります。日本全体では、政治的論争問題学習がまだまだ進んでいないのが現状でしょう。また、「どのようなカリキュラムを作ろうとしているのか」といったことについても質問されました。我々は典型的な単元を小学校から高校までの間でそれぞれの学校段階で一つづつ(小学校は中学年・高学年でそれぞれ一つ)を作ることを目指していることについて、説明をした後で、ルービン先生からは、「到達目標設定の重要性(ゴールを決めて、時間を想定し授業を作る)」などについて指摘がありました。

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議論が終わった後は、ルービン先生や学科長などを交えた懇親会。とてもリーズナブルで美味しいお店で、お酒を酌み交わしたということです。

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この記事で900記事到達。今年中には1000記事になりそうです。
# by yasuhirohashimoto | 2012-03-25 00:00 | 研究のこと

法教育インタビューシリーズ。

法教育フォーラムのホームページをご存じですか?

http://www.houkyouiku.jp/report.html

法教育に関する情報が満載のホームページですが、
その中に「法教育レポート」があります。

このたび、橋本のインタビュー記事が掲載されました。
詳しくは以下を参照下さい。

http://www.houkyouiku.jp/12032201
# by yasuhirohashimoto | 2012-03-24 00:00 | 研究のこと

福井大学教育学部の社会科教育学担当者が日々感じること、研究のことなどを気の赴くまま記しています。


by yasuhirohashimoto